世界のAI市場の高い成長予測

マイクロソフト社が人気チャットボット「ChatGPT」の開発元であるOpenAIに100億ドル(約1兆3000億円)を出資する交渉を進めていることが各メディアで報じられている。2019年にマイクロソフト社はOpenAIに10億ドルの出資をし、自社の「Azure AI」スーパーコンピューティング技術を基盤にOpenAIが汎用人工知能(AGI)を開発することを発表したが、成立すれば今回は追加出資となり、マイクロソフトのOpenAIの株式保有比率は49%となる。早ければ3月末にマイクロソフトの検索エンジン「Bing」にChatGPTが搭載されるとも言われている。

マイクロソフトのライバルであるグーグルは2022年11月のChatGPTのリリースに衝撃を受け、自社の検索エンジンの先行きが怪しくなったとしてコードレッドを発動しグーグルのピチャイCEOはいくつかのチームに対してAI製品の開発に集中するよう指示したと報じられているが、2023年はAI(人工知能)ビジネスが年初から熱い。このレポートではAI市場のアップデートと日本株の関連銘柄について紹介したいと思う。

グローバルな市場調査会社のIMARC Group(the International Market Analysis Research and Consulting Group)によると世界のAIの市場規模は、2021年の565億米ドルから、2027年には3,085億米ドルになると予測されており、2022年から2027年までの予測期間中のCAGR(年平均成長率)は31.9%と高い。分散型インターネットのWeb3時代にAIの重要性が更に増し、AIビジネスの市場規模が大きく拡大すると言われているので高い成長予測も現実的であると捉えている。

 

出所:(株)グローバルインフォメーション 市場調査レポート「人工知能の世界市場」 

 

少々古い調査であるが、PwCグループの2017年のリサーチによると2030年までにAIによって世界のGDPは14%増加し、GDP増加分の55%が労働生産性の向上によるものであると推計されると発表した。

日本国内のAI市場予測

さて、日本国内のAI市場の予測はどうであろうか?市場調査会社の富士キメラ総研は2022年4月から8月にかけてAIビジネスの国内市場の調査を行い、その結果を「2022 人工知能ビジネス総調査」にまとめ9月に発表した。この調査は以下項目を対象として行われた。調査方法は専門調査員によるヒアリングおよび関連文献、データベース活用による調査・分析である。

 

サービス5品目

分析サービス

組み込みAI設計

構築サービス導入支援サービス

アノテーションサービス(画像、テキスト、音声などのデータに対して、関連する情報を注釈としてタグ付けする作業 )

AI人材教育サービス

アプリケーション1品目AI搭載製品
プラットフォーム10品目

統合AI/コグニティブサービス

ミドルウェア

AI/コグニティブエンジン

HPC/GPUクラウド

機械学習プラットフォーム

サーバー/ストレージ/IaaS

ディープラーニング専用アプライアンス

AIカメラ

イジングマシン(量子アニーリングマシン)

エッジサーバー

AIビジネス各品目の8業種

製造業

情報通信業

ヘルスケア業

流通業

社会インフラ業

公共/教育業

金融業

エンターテインメント業

 

調査結果によると2022年度のAIビジネスの国内市場の見込みは1兆3,139億円(2021年度比:113.2%)、2027年度予測は1兆9,787億円(2021年度比:170.4%)である。

市場調査結果の分析によると、2021年度は、デジタル上でのデータ管理や業務のオンライン化などDXに向けた需要が増加し、業務にAIを組み込む企業が増えたことから市場は拡大した。

2022年度も引き続き、DXへの投資が伸びており、AI開発やAIを内製化しての活用が進展している。PoC(概念実証)段階から稼働や運用、保守までPDCAサイクルを実現する企業も増え、本格的な導入が進んでいることから、市場は前年度比13.2%増が見込まれる。

2023年度以降は、アプリケーション機能の高度化や特定業務に特化したシステム活用への投資が増えるとみられる。アプリケーションやシステムをユーザーの要望に合わせて複雑化させると、コストや開発スピードなどの要因から外注よりも内製化するケースが多くなると予想される。それに伴い、特に内製化に関連するミドルウェアやサーバー/ストレージ/IaaSなどの品目が大きく伸長することから、2027年度は2021年度比70.4%増の1兆9,787億円が予測されるとの事である。

なお、日本国内のAI市場の市場予測についてIDCは富士キメラ総研より大分違う予測をしている(2021年の2,771億円が2026年には8,120億円、CAGRは24.0%で推移と予測)が、富士キメラ総研はヒアリング対象のサービス、アプリケーション、プラットフォーム、業種も全てオープンにしているために富士キメラ総研の予測の方が信憑性が高く思えたのでこちらを採用した。

日本は世界的に少子高齢化が最も進んだ国の一つであり、生産年齢人口 (15〜64 歳)は1995年をピークに減少を続けている。総務省が発表した生産年齢人口の推移は以下の図表の通りである。

 

 (出典)内閣府(2022)「令和4年版高齢社会白書」   

日本の生産年齢人口は2050年には5,275万人(2021年から29.2%減)に減少すると見込まれており、人手不足と限られた労働人口での生産性向上のために企業によるAI導入は長期的に加速していくものと思われる。

 

日本企業でのAI導入状況

2022年1月に大手コンサルティンググループPwC Japanグループ売上高500億円以上の企業の部長職以上300人を対象に自社でのAIの取り組み内容や活用状況に関して三回目の調査を行い、調査結果を2022年5月に発表した。

 

            出所:PwC Japan 「 2022年AI予測(日本)」              

PwCの調査結果によると全社的に広範囲にAIを導入した企業は13%、一部の業務でAIを導入した企業は40%と一部の業務でAIを導入した企業が前年比13%増と大幅に増加し、2022年1月時点で合計53%の企業がAIを導入した事が判明した。

 

            出所:PwC Japan 「 2022年AI予測(日本)」 

AIの投資に対してメリットを感じている企業の割合が前年に比べて全体的に増加している事が分かった。

 

 

             出所:PwC Japan 「 2022年AI予測(日本)」 

また、AI導入企業に対してデータマネジメント組織およびデータ民主化の環境整備状況について質問したところ、80%の企業がデータ利活用におけるルール(データガバナンス)を導入している事が判明し、67%の企業がデータに関する専門の部門を設置している事が分かった。

AIで何ができるか?

以上各種市場調査の結果について紹介したが、実際のところAIで何ができるのかという基本的な事についておさえていきたいと思う。

以下出典:AI CROSS 株式会社 LabBlog 2022年9月9日 「仕事を効率化させるAI(人工知能)のできることとは?仕組みや活用例を紹介」

①画像認識
画像認識は画像に含まれた特徴を自動で抽出し、何が映っているか認識する技術であり、日々の生活や業務で触れる、多種多様な画像が対象である。

写真やイラストなどの静止画
動画
文字
スマートフォンの顔認証には、画像認識の技術が活かされています。画像は情報量が多くなりがちだが、AIならばスピーディーに処理できる。

 

②音声認識
音声認識は、聞き取った音が何かを認識する技術であるが、以下はその一例である。

話し声や使われている言語の種類
音楽
機械の作動音
鳥や虫など、生き物の声
AIは音声の分類だけでなく、類似する音との識別もできます。「スピーカーから流れる音楽を知る」、「動作音から状況を把握する」といった用途にも使える。

 

③自然言語処理
自然言語処理は、AIが文章の意味を理解するうえで欠かせない技術である。使われている語句や文の構造を解析したうえで、意味や文脈を理解できる。提示された文章の趣旨を自動で把握でる。また適切な応答をAIが自ら作成し、コミュニケーションを取ることも可能である。

 

④異常検知
AIは蓄積されたデータをもとに、正常と異常の判別も行える。あらかじめ正常値の範囲を登録しなくても、通常時と異なる値を自動で検知し異常として通知が可能で、他の技術と組み合わせることで、以下の異常検知も行える。

画像認識と組み合わせることで、侵入者を検知する
音声認識と組み合わせることで、機器が異常音を出しているかチェックする
AIを用いた異常検知は、工場や自動車など幅広く使われている。

 

⑤分析・予測
蓄積されたデータは、AIによる分析に活用できる。モザイクの画像を分析し、元の画像を推定することはその一例である。加えて、将来の予測も可能である。経験や勘に頼らず、データに基づく確度の高い推論を迅速に行える。商品の仕入れや来客数の予測、機器の保全など幅広く使われている。

 

⑥単純作業
AIはコンピューターの一種であるので、繰り返しの単純作業を得意としている。画像や音声、文章やデータが大量に存在する場合でも、一定のスピードを保ち正しい処理を行える。24時間365日、休まず対応できることも魅力である。

 

企業でのAI導入例、実績

AIの企業での導入例、実績についてここではAI・機械学習のコンサルティング会社のブレインパッド(東証プライム、3655)が自社HP上で紹介しているので、転載させていただく。(出所:ブレインパッド、人工知能(AI)の導入事例・実績

 

①業種:建設 活用技術:画像認識、解析  

洪水などの河川の災害対策として重要な役割を担っているコンクリート護岸の点検・改修業務は、熟練した技術者による目視点検が必要だったが、コンクリートのひび割れなどの劣化の有無を撮影した画像から自動で判断できるアルゴリズムを開発。

 

②業種:食品メーカー(飲料)活用技術:需要予測、最適化  

担当者の経験に大きく依存していた食品の需要予測において、過去のデータを用いて「数日先の需要予測モデル」と、「生産工場の振り分けロジック」を構築。また、コストが最小となるように、生産量と物流ダイヤの組み合せを最適化。

 

③業種:製薬、医療 活用技術:データ分析  

データドリブンな顧客アプローチを実現するために、プロモーション活動の特徴を洗い出し効率化のためのデータ活用の可能性を探索。機械学習を用いてプロモーション効果の予測を行うことで、営業活動の期待売上を見える化し、業務効率化につながった。

 

④業種:ソフトウェア開発 活用技術:データ分析 

社内外に埋没しているテキストデータ(非構造化データ)を掘り起こして気づきを促すしくみを提供するサービスの一機能として、「作成中のドキュメントを自動解析し、ドキュメント作成に必要なナレッジをリアルタイムで診断する機能」の開発を支援。

 

⑤業種:物流 活用技術:データ分析、最適化 

配車計画には多種多様な制約条件があり、これまで担当者が暗黙知によって計画を立案していました。属人化していた配車計画の立案業務を、数理最適化技術を用いて自動化し、ルートや配車台数などの最適化によりコスト削減を実現。

 

⑥業種:製造 活用技術:需要予測  

最適化されたプラントの運転手法を事前に決定するシステム開発のために、化学プラントにおける近未来の蒸気需要量の変動を予測するモデルを構築。予測モデルには機械学習を採用し、工場の省エネルギー化と生産効率の最適化に貢献。

 

⑦業種:複合商業施設 活用技術:データ分析 

リアル・Webの来場者の位置情報をフル活用した統合マーケティング基盤を導入。位置情報(地磁気センシングデータ)を用いた、パーソナライズドコミュニケーションを実施し、収益の拡大に貢献。

 

⑧業種:食品 活用技術:画像認識、解析、データ分析 

一般ユーザ・消費者が投稿したSNS画像から、画像認識技術を利用して自社の商品が写っている画像のみを判別して抽出。また自社商品と一緒に撮影されている背景・物体・人物についても解析することで商品の利用実態を把握し新たな知見の獲得に繋げた。

 

⑨業種:化学 活用技術:需要予測 

最適化されたプラントの運転手法を事前に決定するシステム開発のために、化学プラントにおける近未来の蒸気需要量の変動を予測するモデルを構築。予測モデルには機械学習を採用し、工場の省エネルギー化と生産効率の最適化に貢献。

 

⑩業種:FXブローカー 活用技術:データ分析、最適化 

マーケット環境や顧客の取引傾向などから、カバー取引をなるべく少なくし、為替リスクを抑えたまま、収益を最大化するために、カバー取引のタイミングやその規模の最適化支援を実施。新たなアルゴリズムを構築し、アルゴリズムに基づいたカバールールの構築と十分なテストによる再現性を検証し、ヘッジコスト抑制による平均20%以上単価(単位あたりの顧客取引に対する収益)が向上した。

 

AI関連銘柄4選

AI関連銘柄は株探で2017年から2020年まで株式テーマとして常に上位にランクインする人気テーマであった。またコロナ禍の過剰流動性もあり、IPOでは初値が公募価格の何倍もの水準になるAI関連銘柄も多く、上場後にバリュエーションが極端に高くなるAI関連銘柄も多かった。しかし2022年のグロース株の下落で所謂AIバブルも弾け、2022年にIPOをしたAI関連銘柄は上場後に株価がずっと下落し続けている銘柄もあり、バリュエーションも現実的なレベルまで低下している銘柄も多く、長期的な観点から見れば魅力的な買い場であると言えるだろう。

多くのAI関連銘柄はIPO後年数が浅く、赤字の企業もあり、あるいは売上が伸びると共に人件費が伸びてやっとブレイクイーブン、あるいは利益が出ても利益率が低い企業も多い。それ故に長期的な成長を見極めるのが難しいとも言える。

以下にAI関連銘柄をあげるが、銘柄数が多いために四銘柄に絞って取り上げる。

 

ブレインパッド(3655)

ブレインパッドの株価情報

会社概要:2004年創業。2011年上場、現在はプライムに上場している。AI関連銘柄では一番の古株銘柄。プロフェッショナルサービスでは「データサイエンス」の知見をもとに、データ活用の様々なプロフェッショナル人材が在籍し、データサイエンティストの数は国内随一。可視化や効率化に加え、「データによる意思決定」を経営に組み込むために必要なバリューチェーンをフルラインナップで提供している。プロフェッショナルサービスではデータ活用の構想策定からアルゴリズム開発、運用基盤構築に留まらず、専門人材の育成まで含めた網羅したサービスで、データ活用の内製化まで支援している。プロダクトサービスではレコメンドエンジン、マーケティングオートメーション、マッチングエンジン、ソーシャルメディアアナリティクス、拡張分析ツール、統計解析・ビッグデータ加工システム等様々な自社開発及び他社開発のツールを提供している。クライアントは業界を問わず大手企業を中心に1,000社を超える実績がある。

電通とのJVの「電通クロスブレイン」がある。(株式保有比率は33.4%)りそな銀行と伊藤忠商事と資本提携をしている。また、2022年7月にLINE特化型のMA(マーケティングオートメーション)「Ligla」(リグラ)を開発・提供する株式会社TimeTechnologiesを完全子会社化した。2023年6月期は TimeTechnologiesの連結子会社化によるのれん償却費が約1億3,000万円、る「Ligla」の開発・販売体制の引継に要する費用が約9,000万円発生する予定である。のれん償却は2024年6月も発生を予定しているが、TimeTechnologiesは2024年6月期以降は、のれん償却額を上回る黒字化を見込んでいる。セグメント別利益率は2022年6月期通期時点でプロフェッショナルサービスが42.2%、プロダクトサービスが24.5%であった。案件規模別の売上構成は1億円以上の案件の売上高が、全体の売上高に占める割合は、45.5%である。

中期経営計画の最終年度であるは2023年6月期は売上高115億円、経常利益20億円、ROEは約20%を予定している。2022年6月期通期の実績は売上高86億円、営業利益11億円、経常利益11億円、当期純利益8億円であった。

直近の公表された案件ではキリンビールとサプライチェーンマネジメントにおける需給関連業務のDX化、ゆうちょ銀行の“DX推進”の戦略パートナー等大型案件が始動している。

株価は2019年のAIバブル時に大きく上昇したが、2022年以降ずっと右肩下がりである。上場して10年以上経っても配当を出せていないが、有価証券報告書で過去の業績を遡ってみると当期純利益のピークは2019年6月期の9億円であった。以降2020年6月期、2021年6月期と当期純利益は減少し、2022年6月期に8億円まで回復した。AI関連銘柄のうちの一番古株銘柄であるが、利益成長がきちんとできていないのが懸念である。取材に基づいて分析している訳ではなく公表されたIR情報のみでの判断であるが、利益率の高いプロフェッショナルサービスの売上が伸びないと利益が伸びない構造なのかもしれない。プロダクトサービスがSaaSの形態で提供しているならストック売上の積み上がりで利益はもう少し伸びても良いのではと思った。また、KPIの公表などもなくIRも良いとは言えない印象がある。バリュエーション的に予想PERが19.74倍とあまりに割安になりすぎた印象があり、買収のターゲットにもなり得るのかもしれない。

 

株価(23/1/19)時価総額自己資本比率ROEROIC
723円160億円80.4%17.1%19.0%
予想PERPBREV/EBITDAPEGレシオ配当利回り
19.74倍3.31倍12.1倍0.8倍0.0%

 

unerry(ウネリー、5034)

unerryの株価情報

会社概要:2015年創業。2022年上場。スマートフォンの位置データを集積したリアル行動データプラットフォーム「Beacon Bank」を運営している。位置データは、約 120 種類のスマートフォンアプリで GPS やビーコンにより取得する。それらのデータを同社独自開発の AI で解析して、ユーザーの行動特性や属性、嗜好等を推計し、リアル行動ビッグデータとして活用している。特定の商圏や店舗の消費者行動をデータ化・AI解析し、DX支援やOMOマーケティング(オンラインとオフラインの融合マーケティング)への活用を推進している。月間300億件以上のリアル行動ビッグデータから、来店計測に基づいた実商圏、競合店舗とのシェア比較、来店客の属性や細かな行動嗜好等を見える化している。客観的データに基づき、売上アップのインサイトや、店舗課題の発見に直結するダッシュボードサービスや店舗やイベント会場などの曜日・時間帯別混雑状況を、AIが「混雑」「通常」「閑散」の3段階で推定し、可視化する等のツールを提供している。

サービスとしては分析・可視化サービス、行動変容サービス(Beacon Bank AD)、One to One サービス(Beacon Bank 1 to 1)の三種類がある。分析・可視化取得した位置情報ビッグデータを開発した AI群で解析することにより、ユーザーのプロファイリング(どのような場所に行く傾向があるか)、移動状況(徒歩・自動車・電車等の移動手段)、行動予測によるリコメンド(ある場所に行った人が次に行く可能性が高い場所はどこか)等を推計し、小売事業者、商業施設運営事業者等に行動分析レポートを提供している。提供サービスの一つである「ショッパーみえーる」は、来店者のリアル行動データをAIで推定することで、商圏の把握、競合店舗とのシェア比較、来店客の新規・リピーターの割合や属性、細かな行動嗜好等を可視化するツールで、小売事業者のマーケティング施策の意思決定等に活用されている。 「ショッパーみえーる」はSaaS として提供されており、
店舗数等に応じた月額課金(15~95 万円)のシステムになっている。

行動変容サービスでは、AI解析により来店可能性が高い顧客群と商圏を発見し、当該顧客群を中心に Facebook や Instagram 等の SNS や YouTube、アプリを通じたプッシュ通知等で広告を配信することで、消費者の行動変容を促す広告サービスを提供している。One to One サービスは、オリジナルアプリの開発や、統合マーケティング基盤の構築により、一人一人へパーソナル体験を届けるシステムソリューションを提供している。

2023年6月期1Q時点でリカーリング顧客数は58社で、事業提携とクロスセルにより顧客増、顧客単価増が期待できる。リカーリング売上高比率は87.3%と高く、リカーリング顧客の年間平均売上高は2,705万円と高い。

昨年上場したばかりであるが、2023年6月期通期は黒字達成見込みである。株式市場からの評価は高く予想PERは61.63倍と高い。街中の人流は大分戻ってきているが、4月よりコロナが2類から5類に緩和される見込みであり、更に人流が回復すると思われ、商業施設、小売業等からの新たな受注が期待される。unerryの最大の特徴は、TV、SNS、LINE、アプリ、デジタルサイネージ、レシートなどを複合的に組み合わせて広告配信する仕組みを持っており、また、その仕組みを支える大規模かつプライバシー性の配慮をおこなっている人流データを保有している事であると直近の決算説明会上でコメントしている。

 

株価(23/1/19)時価総額自己資本比率ROEROIC
2,266円78億円68.9%13.8%12.7%
予想PERPBREV/EBITDAPEGレシオ配当利回り
61.63倍7.62倍31.7倍▲3.4倍0.0%

 

PKSHA Technology(3993)

PKSHA Technologyの株価情報

企業概要:2012年創業。2017年上場。「未来のソフトウエアを形にする」というミッションを基に研究開発・ソフトウエアの社会への提供を行いアルゴリズムソリューションを展開している。主に自然言語処理、画像認識、機械学習/深層学習技術を用いたアルゴリズムソリューションを各種ハードウエア端末(サーバ、スマートフォン、医療機器、各種IoT機器)向けに開発・提供している。

2022年9月期通期決算結果は

             売上高 115億円 (+31.9 YoY)

     営業利益 16億円 (+140.6% YoY)

              EBITDA    30億円 (+102.5% YoY)

      当期純利益 8億3,600万円 (6倍 YoY)

と好調な決算結果であった。 2021年に買収した旧社名Pranza(現社名PKSHA Communication、OK Webからスピンオフした法人向けFAQサービス)と旧社名アシリレラ(現社名 PKSHA Associates、ロボオペレータ、ロボマネージャー)の売上が通期寄与し、売上が100億円を超えた。

事業は①AI Research & Solution 事業、②AI SaaS事業の二つに分かれるが、売上の内訳はAI Research & Solution 65億円、AI SaaS 約50億円、セグメント利益の内訳はAI Research & Solution 約7億円、AI SaaS 15億円、EBITDA marginはAI Research & Solutionが16.7%、AI SaaS が51.2%であった。利益率はAI SaaS事業がストック売上を確実に積み上げているために3倍強高い。

AI SaaS事業のKPIは

                ARR(annual recurring revenue 年間経常利益)49億円(+23.9%)

     NRR(net retention rate 売上維持率)105.8%(+0.3pt)

    顧客数 2,214社(+354社)

であった。

また、PKSHAのAI SaaS商品で、PKSHA Chatbot及びPKSHA FAQがマーケットシェアNo.1を獲得した。また、地銀5行と提携し“地域金融機関FAQプラットフォーム”を拡張した。京都銀行に加え、2022年8月より新たに地銀4行と業務提携プラットフォームにおける解析対象となるFAQ数が3万件を超え、提供開始から3ヶ月で12倍の規模に拡張した。AIによる音声書き起こし・分析サービス“PKSHA Speech Insight”を提供を開始し、コールセンターの受電後の後続業務時間の50%削減を実証した等2022年9月期はPKSHAブランドに統一し、積極的に新商品をローンチし、今までの研究開発主体からAI SaaS Companyへ業態が進化している最中である。AI SaaSの積極投資は継続の方針であり、プロダクトの充実のために他社買収は続くものと思われる。売上が数十億円のAI関連企業が多いなかPKSHAは売上が100億円を超え、トップシェアを持つプロダクトも複数あり、web3到来前に拡大戦略を取っているが、予想PERが102.14倍と株式市場では高く評価されている。AI SaaSではCX(顧客接点領域、1.1兆円市場)とEX(社内業務領域、1.7兆円市場)に注力していく方針であるとの事である。

株価(23/1/19)時価総額自己資本比率ROEROIC
1,660円502億円80.6%2.9%2.7%
予想PERPBREV/EBITDAPEGレシオ配当利回り
101.59倍1.76倍15.7倍▲2.5倍0.0%

 

ブレインズ・テクノロジー (4075)

ブレインズ・テクノロジーの株価情報

企業概要:2008年創業。2021年上場。ブレインズテクノロジーは異常検知ソリューション Impulse と企業内検索エンジン Neuron Enterprise Search(NeuronES)の 2 つの AI ソフトウェアを提供している。異常検知ソリューション Impulseは予兆検知ソリューション、解析サービス市場で三年連続トップシェアを獲得した。

Impulseは機器データ、センサーデータ、動画像データ等を収集、加工、整理して、機械学習により異常検知や外観検査、要因分析等のためのモデル構築、モデル運用を行うシステムである。製造業では生産ラインにおける不良品検出や、外観チェックの機械化等に 利用されている。建設業では建設現場におけるタワークレーンや工事用エ レベーターの遠隔操作による故障予兆検知等に利用されている。通信業で はネットワークを構成する機器の障害注 回避のための設備監視 等に利用されている。幅広いユーザーが利用できるようにオートモデリングは、機械学習のプロセスを自動化していて特許を取っている。2,1000以上の導入実績がある。

Neuron ES は、企業内のファイルサーバーやポータルサイト、オンラインストレージ等様々な場所に保存されている文書やデータを検索する企業内検索エンジンである。ファイルを開かずにキーワードに関連する文章を参照できるサムネイル機能や、モバイル機器での利用が可能となっている。ファイルサーバ、社内ポータルサイト、DB、NotesDB、文書管理も、クラウドのBox、SharePoint Online、Dropboxも一括で横断検索が可能である。エンタープライズサーチ製品としては後発ながら、大手企業様を中心にこれまで300ライセンス以上の導入実績がある。Neuron ESは ITトレンドにて顧客の口コミ評価の高さからGood Productを2部門同時受賞した。

ブレインズ・テクノロジーのAIエンタープライズ・ソフトウェアは顧客ニーズに併せてクラウド型とオンプレミス型を併用して提供している。ソフトウエアの提供形態に関わらず、売上はソフトウエア売上と作業売上で構成され、ソフトウエア売上は、サブスクリプションモデルの場合の利用料と、買取モデルの場合のソフトウエア使用ライセンス料及びソフトウエア保守ライセンス料で構成され、これらは労働集約型ではない売上となる。ソフトウェア売上のうち利用料と保守ライセンス費は継続的な売上が見込めるストック売上と捉えており、2022年7月期のストック売上比率は32%であった。2022年7月期末で370本となり、2019年7期から2022年7期の4ヵ年におけるライセンス販売数の年CAGRは32%と高く解約率は直近決算の2023年7月期1Q時点で0.8%であった。

ブレインズ・テクノロジーの場合はニッチなカテゴリートップの企業で、2022年7月通期の営業利益率は18.6%、純利益率は15.1%と高く、バリュエーションは予想PERが37.95倍と現実的であり、リスクは低いと言えるだろう。予兆検知ソリューション市場はデロイト トーマツ ミック経済研究所の調査によると20 年度の予兆検知ソリューション市場は 126 億円だった。今後は製造業における人手不足により25 年度には 422 億円と 20 年度からCAGR 27.4%の高成長が見込まれている。

株価(23/1/19)時価総額自己資本比率ROEROIC
934円51億円81.6%10.6%10.2%
予想PERPBREV/EBITDAPEGレシオ配当利回り
37.95倍3.82倍16.9倍4.0倍0.0%

 

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