執筆:西村 麻美
※本レポートは2022年7月19日に執筆しました。


原発本格稼働の首相表明

参議院選挙前にNHKの討論番組で岸田首相は原発の積極活用について言及していたが、7月14日に記者会見をし、この冬に原発を最大9基活動すると表明した。同時に火力発電の供給能力も10基増やし、電気代負担を実質的に軽減する新枠組みも作る予定であるとの事である。

以下に岸田首相が原発の本格稼働に踏み切るまでの経緯をまとめる。


ロシアによる報復制裁措置

ロシアによるウクライナ侵攻が始まり3か月以上が経過した。ロシアに対する西側主要国の経済制裁に日本が参加した事等からロシア外務省は4月に日本への報復措置を明言していたが、6月30日に大きな動きがみられた。プーチン大統領は日本の三井物産、三菱商事も出資する石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」の運営主体の再編を命じる大統領令に署名、同大統領令は同日発効した。非友好国によるロシアへの制限措置に対する対抗策の一環との事である。

大統領令の内容によるとロシアは新会社を設立し、「サハリン2」の事業主体「サハリン・エナジー」の資産はロシア政府の所有下になり、新会社に譲渡されるとの事である。

サハリン・エナジーの株主である三井物産と三菱商事は、新会社が設立されてから1カ月以内にロシア政府に対して、新会社の株式取得に同意するか否かを通知しなければならない。ロシア政府は通知を受けて、新会社の株式を旧株主へ譲渡するか3日以内に判断する。ロシア政府が拒否した場合、4カ月以内にその株式はロシア側に売却される。

サハリン・エナジー社の株式は、現在、ロシアの国営天然ガス企業ガスプロムが50%、英石油大手シェルが27.5%、日本の三井物産が12.5%、三菱商事が10%を保有している。シェルはロシア侵攻が始まり数日で撤退を発表している。

この大統領令はあくまで非友好的行動に対する報復制裁措置であるために三井物産と三菱商事が新会社で出資が維持できる可能性は高くないのではないかと推測される。


「サハリン2」でLNGを調達している日本企業

「サハリン2」で生産するLNG(液化天然ガス)の6割は日本向けであり、日本のLNG需要量の約9%を占め、発電電力量の約3%に相当する。日本の発電電力量は資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」によると、2021年度の年間発電実績量は8,454億kWhであった。この約3%は253.6億kWhであり、仮にロシア政府に「サハリン2」が接収されるとなれば、これだけの発電量を失う事になる。「サハリン2」からLNGを調達している日本の電力会社、ガス会社は代替調達先を探すか、別の発電方法を取ると選択しなければならなく、影響はとても大きい。「サハリン2」からLNGを調達している企業は火力発電会社JERA(東京電力と中部電力が出資)、東北電力、九州電力、東京ガス、大阪ガス、広島ガス等が長期契約を結んでいた。

ウクライナ侵攻より原油やLNGの価格は急騰したが、それに加えて円安の進行、長期契約ではなくスポット契約になると価格はかなり割高になる。既に欧州各国へはロシアはLNGのガスパイプラインでの供給量を減らしており、元々2021年後半からLNGの需給はタイトであったが、欧州では2021年年初に比べてLNGの先物価格が700%上昇している。サハリン2とLNGの長期契約を結んでいた日本の電力会社、ガス会社はサハリン2からの供給が打ち切られた場合に代替調達手段を考えなければいけないが、世界的にLNGの奪い合い状況にあり、価格も高騰している中で他国からLNGを調達する事は合理的とは言い難い。仮に代替調達先が見つけられたとしても日本国内に輸入したLNGが入船するまでに2か月以上の時間がかかる事を考えると他国からLNGを調達する事が賢明な判断とは言えないだろう。


LNG先物価格チャート

(出典:ブルームバーグ記事https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-07-06/REJ9QGDWRGG001?srnd=cojp-v2)


国内の電力状況

6月は異例の暑さであったが、6月27日に東京電力管内(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、静岡県の富士川以東など)では電力供給の余力を示す「予備率」が5%を下回る可能性があるとして、節電を呼び掛けた。厳しい電力状況を受けて東電管内の2か所の火力発電所の再稼働させる方針を28日に岸田首相は示した。この時は計画停止中であった千葉県の姉崎火力発電所5号機が再稼働し、また東北電力から電力を融通してもらった事により停電を避ける事ができた。

このような切迫した電力状況の中でのロシアによる報復制裁措置の発表で益々電力不足が深刻化した。気象庁によると暑さは9月まで続くとの予想であり、深刻な電力不足から原発再稼働なしにこの夏の電力不足を解決する事が難しい事から参議院選挙を控えた週末にNHKの討論番組で岸田首相の他に他党党首達も原発再稼働の必要性に言及した。


東日本震災以降の原発の状況

2011年の東北大震災による東京電力福島第一原発事故から11年以上が経った。東北大震災以前の日本国内に原発は54基あり、日本で使用される電力の30%前後を原発が賄っていた。震災翌年の2012年に原子力規制委員会が発足し、翌2013年に自然災害やテロ攻撃に備える原発の新規制基準が施行した。原子炉等規制法改正により40年ルールが導入された。福島第一原発の事故以前は原発の運転期間を定める法律はなかったが、新規制により原発は運転開始から40年間稼働でき、運転満了に際し認可を受けた場合は最大20年延長できるというものである。新規制基準に照らし合わせて、54基あった原発のうち24基は廃炉が決定された。16原発27基が新規制基準に基づく原子力規制委員会の安全審査に申請したが、再稼働に至ったのは6原発10基に留まっている。定期検査中の原発もあり、2022年7月現在5基が稼働中である。稼働中の原発は関西電力大飯3号機、九州電力川内1・2号機、九州電力玄海4号機、四国電力伊方3号機である。(出典:原子力安全推進協会、関西電力、九州電力、四国電力)残り5基は定期検査中※という状況である。また、10基は審査中である。

※注:原発は法に基づき年に一回(13カ月以内)運転を停止し、機器に応じて必要な点検、検査を行う事になっている。点検箇所によっては分解や取替え等の工事を行い、運転停止しているときにのみ工事ができるような安全対策等もあわせて行う場合があるため、ある程度の期間がかかる。

現在定期検査中の5基は関西電力美浜3号機、関西電力大飯4号機、関西電力高浜3・4号機、九州電力玄海3号機である。逼迫した電力状況で、これら5基は定期検査を終了次第、稼働を始めるだろう。 定期検査中の5基の出力と年数は関西電力美浜3号機が83万kw、45年、関西電力大飯4号機が118万kw、29年、関西電力高浜3・4号機がそれぞれ87万kw、37年、九州電力玄海3号機が118万kw、28年である。

原子力規制委員会の許可を得た原発は東北電力女川2号機、東京電力柏崎刈羽6・7号機、関西電力高浜1・2号機、日本原子力発電東海第二である。許可を受けた原発の出力と年数は、東北電力女川2号機は83万kw、26年。東京電力柏崎刈羽6号機は136.5万kw、25年、7号機は136.5万kw、24年。東京電力柏崎刈羽原発は世界最大級の原発である。関西電力高浜1号機は87万kw、37年、2号機は87万kw、37年である。日本原子力発電東海第二は110万kw、43年である。

東京電力管内の電力不足に関しては柏崎刈羽6号機、7号機は最大出力の原発であるためにどちらかを再稼働すれば問題が解決するのではと単純に思った。しかし、メディア等で報じられたようにここ数年は柏崎刈羽原発では社員が他人のIDカードを使用して中央制御室に入室、核防護体制の不備や、安全対策工事の未完了問題等の不祥事が続き原子力規制委員会より再稼働を禁止された。ダイヤモンド・オンライン2022年6月26日付で東電柏崎刈羽原発の実態という特集記事があるが、ベテラン社員が現場の状況を2012年に東電が事実上の国営企業になってから、現場と上層部の乖離が大きくなり、技術を持ったベテラン社員が辞めて若手ばかりになり現場の力量の低下から実質的に柏崎刈羽原発の再稼働はとても難しい状況とコメントしている。

東電の電力不足に関しては、東電柏崎刈羽原発の再稼働が難しいようであれば、2018年に関西電力が東京電力に関西電力高浜3・4号機が順次再稼働し余力が出来た事から融通したように再稼働が可能な原発を保有している電力会社から融通という事が一番現実的な選択肢のように思える。


電力自由化以降の電力会社の経営状況

日本国内では電力の自由化が2016年4月に施行された。電力自由化以降新電力会社が多数参入し、既存の大手電力会社の経営状況は厳しくなっている。しかし、ここ数年のエネルギー価格の高騰で新電力会社の破綻も増えている。帝国データバンクの調べによると2021年度に新電力会社は過去最高の14社が倒産した。以下に大手電力各社の2016年3月期の当期利益と2022年3月期の当期利益を載せるが、2022年3月期は燃料高の影響が大きく経営的に厳しくなり、中部電力、中国電力、北陸電力、東北電力、四国電力は赤字を計上した。


上場電力会社の電力自由化直前の業績と直近の業績比較

上場電力会社の中で中国電力の当期利益が自由化前と比較して▲246.4%と下落が最も大きかった。 逆に関西電力は自由化前と比較して当期利益が▲39.0%と下落が一番小さかった。関西電力が業績の悪化が一番小さかった理由は新電力の攻勢が弱まり、逆に販売電力量が伸びた事、また情報通信事業や不動産事業も手掛けており、これら事業の利益増等の要因である。前期は全社とも業績が悪化したが、今期(2023年3月期)は燃料高がフルに効いてくるために更に業績の悪化が予想される。各社赤字予想あるいは予測不能としている。電力の供給側もこれ以上の燃料高からの業績悪化は経営的に余裕がなく、原発の再稼働を電力供給側として真剣に考えるタイミングではないだろうか。


クリーンエネルギー戦略

2021年秋に岸田内閣が始まり、温暖化対策を経済成長につなげる「クリーエネルギー戦略」の有識者検討会が2021年12月に始まり2022年5月に中間整理の発表があった。前菅内閣時に2050年までに日本はカーボンニュートラルを目指すと宣言し、岸田内閣では成長が期待される産業ごとの具体的な道筋、需要サイドのエネルギー転換、クリーンエネルギー中心の経済社会・産業構造の転換に向けた政策対応などについてまとめている。中間整理では、脱炭素電源としての再生可能エネルギーと原子力発電について「最大限活用する」と明記した。再生エネルギーに加え、原発も積極的に利用する方針を打ち出した。これは2021年10月に発表した「第6次エネルギー基本計画」では原発については「可能な限り依存度を低減する」と従来方針を踏襲していたが大きな方針転換であると言えるだろう。ウクライナ危機以降エネルギー価格の高騰が国民生活に大きな負担となっており、電力供給側にとっても経営上の重しであり、またG7のうち米国、英国、フランス、カナダは脱炭素やエネルギー安全保障、電力の安定供給のために原子力を推進する方向に行っている事を考えると原発活用へのシフトは妥当な選択であるだろう。


許可審査済みで地元の理解を得ている原発

稼働中原発の次に定期点検中の原発の点検が終わり次第稼働を再開すると思われるが、許可審査済みの原発で既に地元の理解を得られている以下の原発がその後に稼働を再開するであろう。

(出所:資源エネルギー庁「今後の原子力政策について」P.40 令和4年2月24日)

東北電力女川原子力発電所2号機は安全対策で原子炉設置変更許可済(2020年2月)であり、工事完了予定は2022年度中である。宮城県、女川町、石巻市が、再稼働に対する理解を表明している。(2020年11月)

関西電力高浜発電所1・2号機の安全対策工事は完了し、特重施設の工事中である。高浜町、福井県は再稼働に対する理解を表明している。(2021年2月、4月)


火力発電も増強

原発については稼働を望む声が多々あったのでサプライズはなかったが、火力発電の供給能力も10基増強というのはカーボンニュートラル達成を目指している中で逆行するのではないかとの印象を受けた。しかし調べていくと、日本の環境技術は世界トップクラスであり、大気汚染物質の90%以上を除去する技術がある事が分かった。これに関しては個別企業のところで詳述する。火力発電の種類はLNG、石油、石炭の3種類があるが、LNG、石油の価格高止まりから考えると石炭火力を増強するのではと推測する。

日本全国に現在稼働中の石炭火力発電所は181基ある。現在北海電力奈井江発電所2基(それぞれ出力17.5万kw)、四国電力大崎発電所1基(出力25.9万kw)が休止中である。奈井江発電所は老朽化のために2027年3月末に廃止の予定で2019年より休止中であるが、供給力不足の長期化時の利用を目的に発電設備を維持している。大崎発電所は2000年に稼働開始の比較的新しい石炭火力発電所であるが、トラブルが多かったために2011年より長期休止中である。これら以外に短期的な停止をする火力発電所は沢山あり、発電情報公開システムで情報は開示されており、データは随時アップデートされている。(https://hjks.jepx.or.jp/hjks/outages)

現在建設中の石炭火力発電所はJERA横須賀発電所が2基、1号機は2023年に運転開始予定、2号機は2024年に運転開始予定である。JERA武豊発電所5号機(愛知県)は2022年8月に運転開始予定である。コベルコパワー神戸第二神戸発電所4号機は2022年度内に運転開始予定である。中国電力三隅発電所(島根県)2号機は2022年11月に運転開始予定である。トクヤマ東発電所3号機は2022年4月に運転開始をした。(まだ試運転状況かHPを調べたが記述がない)四国電力西条発電所1号機(リプレース)は2023年6月に運転開始予定である。Jパワー(電源開発)松島発電所(長崎県)は2026年に運転開始予定である。(出所:Japan Beyond Coal発電所データサマリーよりhttps://beyond-coal.jp/map-and-data/#data)


原発、石炭火力発電の関連銘柄

以下に原発関連および石炭火力発電の関連銘柄について取り上げる。


関西電力(9503)

東京電力に次ぐ業界2位の電力会社。稼働中4機、定期点検中1機、許可と地元の理解取得済み2機と合わせて7機の原発を保有している。3機の原発再稼働時に一番業績の上乗せが期待できると考える。電力事業以外にガス、情報通信、不動産事業も手掛けており大手電力会社の中で最も競争力が高い企業。

株価
(2022/7/15)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
1,399円 1.3兆円 19.2% 5.2% 1.1%
実績 PER 予想 PER PBR EV/EBITDA 配当利回り
14.6倍 N/A* 0.75倍 N/A N/A**

*今期は燃料価格高騰から会社は赤字を予想している。**決算発表時点で配当金額は未定。


九州電力(9508)

産業向け電力販売の比率が高い電力会社。玄海原発2機のうち1機が定期点検中、1機が稼働中、川内原発2機のうち1機が定期点検中、1機が稼働中。子会社で再生可能エネルギーの発電、電力販売を九州、関東地方、福島県、山口県で行っている。

株価
(2022/7/15)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
918円 4,350億円 12.1% 1.1% 0.8%
実績 PER 予想 PER PBR EV/EBITDA 配当利回り
90.9倍 N/A* 0.8倍 N/A N/A**

*今期は業績予想が不可能として発表していない。**決算発表時点で配当金額は未定。


東北電力(9506)

小売電気事業者の中で販売電力量が東京電力エナジーパートナー、中部電力ミライズ、関西電力、九州電力に次いで大きい。2015年東電とJVで大口需要者を対象とする電力販売を行う会社のシナジアパワーを設立した。原発について東通原発は定期点検のために停止中、女川原発1号機は廃止措置中、2号機、3号機は共に定期点検のために停止中である。

株価
(2022/7/15)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
748円 3,761億円 14.8% N/A* N/A*
実績 PER 予想 PER PBR EV/EBITDA 配当利回り
N/A* N/A** 0.53倍 N/A N/A***

*赤字決算だったために算出不能。**今期は業績予想が不可能として発表していない。***決算発表時点で配当金額は未定。


中部電力(9502)

小売電気事業者の中で販売電力量が東電についで二位。東電とのJV(50%ずつ出資)のJERAは燃料の上流開発・調達・トレーディング・輸送から、火力発電所の建設・運営までを一貫して手掛けている。火力発電事業はJERAに統合した。JERAの2022年3月期の当期利益は前期比84.4%減の246億円であった。国内最大級112,000kWのバイオマス専焼発電所の工事に6月に着手した。原発について浜岡原発1、2号機は廃止措置中、3、4、5号機は東北大震災後に政府からの要請で停止中である。津波の高さの想定は防波壁を超える22.5メートルとしたが、地元市民は再稼働については賛否両論分かれている。

株価
(2022/7/15)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
1,410円 1.07兆円 32.7% N/A* N/A*
実績 PER 予想 PER PBR EV/EBITDA 配当利回り
N/A* N/A** 0.53倍 N/A N/A***

*赤字決算だったために算出不能。**今期は業績予想が不可能として発表していない。***決算発表時点で配当金額は未定。


東京電力ホールディングス(9501)

電力首位。東京電力グループの事業持株会社。原発事故の損害賠償のために政府により公的資金が注入され実質的には国有企業。中部電力とのJVで火力発電のJERAに出資。海外での発電事業は2018年時点で510万kw。原発について福島第一は1~6号機まで廃止、福島第二は1~4号機は廃止措置中、柏崎刈羽6、7号機は許可を受けたが、不祥事が相次ぎ原子力規制委員会より再稼働を禁止されていた。8月に安全審査に合格の可能性との情報もあるが、原発運転員の36%が原発の運転の経験がないとNHKで報じられており、前述したように現場の士気も上がらない状況のようであり、他の原発から経験のある運転員を派遣して貰うなどをしないと自前の人員のみでは再稼働は難しそうである。

株価
(2022/7/15)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
589円 9,437億円 24.9% 0.2% 0.5%
実績 PER 予想 PER PBR EV/EBITDA 配当利回り
168.3倍 N/A* 0.42倍 N/A N/A**

*今期は業績予想が不可能として発表していない。**決算発表時点で配当金額は未定。


木村化工機(6378)

総合プラントエンジニアリング企業。エンジニアリング事業(総売上の46.8%)、化工機事業(同33.8%)、エネルギー・環境事業(同19.4%)を手掛けている。エネルギー・環境事業で原発関連事業を行っており、安全審査が終結した原子力発電所の再稼働に向けた業務、福島第一原子力発電所関連の廃炉・廃止措置に向けた各種施設・装置・除染対応業務等を行っている。また、核燃料輸送容器、核燃料濃縮関連機器、放射性廃棄物処理装置等の原子力装置を製作している。

株価
(2022/7/15)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
776円 152億円 49.8% 14.1% 11.0%
実績 PER 予想 PER PBR EV/EBITDA 配当利回り
7.8倍 16.6倍 1.04倍/td> 7.6倍 1.9%


助川電気工業(7711)

熱と計測に関する研究開発型メーカー。前期(2021年9月期)決算は半導体関連市場の拡大でセンサーやヒーターが好調で大幅増益であった。今期上半期決算を終えて引き続き半導体関連が好調で通期決算の上方修正をした。原発関連に関しては模擬燃料集合体、ナトリウムループ、液面計、電磁ポンプ、電磁流量計、制御装置等を手掛けている。2021年9月期で原子力産業向けの売上が約30%であったために原発の本格稼働とともに売上比率が上がると思われる。

株価
(2022/7/15)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
1,296円 76億円 53.5% 5.8% 4.0%
実績 PER 予想 PER PBR EV/EBITDA 配当利回り
38倍 22.9倍 2.1倍/td> 12.6倍 2.0%


太平電業(1968)

火力発電所工事からスタートした発電所主体のプラント工事会社。国内外の火力発電所や原発を中心に建設工事、メンテナンスへ、運転業務、解体、原子力発電所の廃止措置までをトータル的に手掛ける独立系企業。また、燃料電池などの新技術による発電設備や、バイオマス発電、太陽光発電、風力発電等の自然循環型の発電設備の建設・メンテナンス等も手掛けている。原発関連工事のパイオニアとして日本にある原発の70%の建設実績を持っている。原発本格稼働によりメンテナンス関連の受注が期待される。

株価
(2022/7/15)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
2,941円 559億円 60.1% 11.1% 6.8%
実績 PER 予想 PER PBR EV/EBITDA 配当利回り
6.6倍 10.3倍 0.7倍/td> 5.5倍 3.4%


高田工業所(1966)

製鉄、化学等、石油・天然ガス、原発等のプラント事業やエレクトロニクス(半導体、FPD等)のクリーンルーム建設等を手掛ける中堅プラント工事会社。原発に関しては品質管理の最高評価を得ている。原発のステンレスライニング、大型貯槽、配管などの建設を行っている。なかでも使用済燃料を貯蔵するステンレスのプールは主製品のひとつで、設計から現地工事まで一貫して実施している。今期(2023年3月期)期初のプラント事業単体の受注残は前期比54%増の261億円だったが、原発本格稼働とともに更に上乗せの可能性か。

株価
(2022/7/15)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
1,094円 69億円 41.3% 6.2% 4.5%
実績 PER 予想 PER PBR EV/EBITDA 配当利回り
8.9倍 5.2倍 0.5倍/td> 2.5倍 0.91%


東京エネシス(1945)

東京電力傘下(東電の持株比率は24.3%)の建設工事会社。火力・原子力・水力発電所、変電所、化学プラント等の設計、施工、メンテナンス等を行っている。原発に関しては設計、建設、設備保守、点検、設備診断、配管検査等幅広く手掛ける。原発事故後の福島では格納容器内の点検保守、除染減容技術による廃棄物低減等を行った。近年は原発施設における新規制基準対応の関連工事や耐震評価、また廃止措置に導入するロボット開発などに取り組んでいる。

株価
(2022/7/15)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
1,082円 370億円 62.8% 1.9% 3.4%
実績 PER 予想 PER PBR EV/EBITDA 配当利回り
30.1倍 17.7倍 0.6倍/td> 8.3倍 2.77%


Jパワー(9513)

登記社名 電源開発。電源開発促進法により、1952年に国の特殊会社として設立され、1997年民営化が決定され2004年東証一部上場。発電事業者、送電事業者。電力の卸事業が主力事業。国内発電設備は水力発電所61か所、火力発電所12か所、風力発電所21か所、地熱発電所1か所を所有し、青森県大間原発を建設中。Jパワーは過去40年以上にわたり環境対策技術や効率的な燃焼方法を開発するなど環境負荷を低減する努力を行ってきた結果大気汚染物質の90%以上除去する事に成功した。Jパワーの磯子火力発電所(横浜市)は横浜市と日本で最初の公害防止協定を締結し環境対策を徹底している。2002年に改修時に排煙脱硝装置の導入だけでなく日本で初めての水を使わない排煙脱硫装置を導入し、Sox(硫黄酸化物)、NOx(窒素酸化物)の排出量は主要先進国と比較して、一桁低い極めて小さい値となっている。(Sox排出量は0.002g/kWh、NOx排出量は0.06g/ kWh)

株価
(2022/7/15)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
2,295円 4,200億円 29.9% 8.1% 3.5%
実績 PER 予想 PER PBR EV/EBITDA 配当利回り
6.0倍 6.3倍 0.5倍/td> 9.3倍 3.49%


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プロフィール

西村麻実 / MamiNishimura
株式会社pafin
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。


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