執筆:西村 麻美

ローツェの株価情報


株価
(2022/4/13)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
13,280円 2,294億円 51.4% 33.7% 16.8%
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR 配当利回り EV / EBITDA
17.9倍 12.6倍 5.1倍 0.83% 12.9倍


2022年2月期通期決算

ローツェの2022年2月期通期決算の結果は

売上高670億円(前年同期比31.9%増
営業利益158億円(同69.7%増
当期純利益128億円(同98.2%増

売上高、利益ともに過去最高を更新した決算だった。
4Qの半導体関連装置の売上は前年同期比二倍となり業績に貢献した。
半導体関連装置は、製造装置需要の大幅拡大に加え、部品納期の長期化の影響から早期発注傾向が強く、受注高及び受注残高は想定以上の高水準を継続した。
ベトナム生産工場の生産効率の改善と為替メリットにより営業利益率が前期比5.3pt上昇し23.6%となった。

中国の成長拡大続く製造装置メーカー(中国最大の半導体製造装置企業である浙江晶盛機電と推測)向けEFEM(基盤自動搬送装置、中国向け売上は前期比二倍)、アプライド・マテリアルズ向けEFEM、TSMC向けウェハソータ(ウェハ表面の欠陥を自動で検出する検査装置)が大口顧客であった。

セグメント別内訳では半導体関連装置の売上は前期比71%増の576億円、FPD関連装置の売上は同29.8%減の37億円、ライフサイエンス事業は同9.6%増の7.5億円となった。

半導体関連装置の受注に関しては、4Qに入り受注が33億円減少したが依然高水準であり、期末の受注残高は3Qを上回り476億円と過去最高を更新した。
FPD関連装置の受注に関しては主要顧客のサムスンの大口投資案件の決定がなく受注、売上ともに低調に推移したが、2021年12月にベトナム向け自動化装置等の新規受注約15億円などでQ4に受注が増加し、期末の受注残高は39.5億円となった。

前期に続き最大顧客は米国のApplied Materialsで、全売上高の31%の210億円を計上、次いで中国の浙江晶盛機電、全売上高の27%の178億円を計上、次いで台湾のTSMC、全売上高の16%の109億円を計上した。


2023年2月期予想

会社発表の2023年2月期の業績予想は

売上高887億円(前年同期比32.4%増
営業利益247億円(同56.4%増
当期利益182億円(同41.6%増
EPS1,051.16円
期末配当金1株当たり110円

今期に引き続き最高益更新を予定している。


事業環境は、5G関連、IoT、データセンター、スマートフォンの高機能化、メタバースなどの新たな半導体需要の増加に加えて、カーボンニュートラルやSDGsの観点から、グリーン投資による半導体需要の増加もある。
しかし、ウクライナ、ロシアの紛争や上海のロックダウン等から自動車や家電製品等への半導体不足が継続しており、前四半期より半導体不足の状況は悪化している。
しかしポジティブな点として経済安全保障の観点から各国・地域で半導体産業への大型補助金投入、各社半導体工場の設備投資計画額が増加している。

半導体関連装置に関しては大口顧客三社向け主力搬送装置の受注・販売の拡大基調は継続している。
しかし、半導体をはじめ各種部品の入手困難な状況が一層強まり、長納期部品の調達コスト増加傾向が続いている。
このような状況の中でローツェではグループ内の生産体制の強化を図っている。
ベトナムの新工場建設と従業員採用を継続しており、中国子会社は現地でEFEM生産を開始、量産体制づくりを加速している。

2023年2月期の設備投資はベトナムでの新工場建設(2022年8月竣工予定)、機械加工設備の新設、中国子会社のレンタル工場の内装工事を予定しており、設備投資額は前期比105%増の54.5億円、減価償却費は同15%増の18億円を予定している。


アナリストによる投資スタンス

4月11日の通期決算発表の翌日に株価は15%以上上昇し、本日(2022/4/13)も7%以上上昇しているが、最高益更新の好決算と期末時点での過去最高の受注残高が好感されたようである。

地政学的要因から部品の供給問題は更に厳しくなったために、早期発注は継続するだろう。
ローツェに関しては大口顧客三社からの受注は拡大しており、全売上高の75%近くを占めており他の半導体関連企業よりリスクは低いと考えている。
現時点で考えられるリスクは部品の調達コストの増加と中国のロックダウンが拡大し、中国の子会社(上海)の機能が停止する事である。
中国の子会社では既存のレンタルクリーンルームにて試験的に月に1~2台のペースでEFEMの装置の組み立てを年始より開始しているが、あくまで試験的なペースである為に影響はあまり大きくないと考えている。

3月上旬に米国の長期金利上昇への警戒感からフィラデルフィア半導体指数(SOX)が大幅安(前日比4.8%安)となった事から日本の半導体関連銘柄も大きく下げたが、ローツェは最高益更新がほぼ確定していたためにその後は上昇していた。
株価バリュエーションは予想PERが12.6倍、PBRが5.1倍、EV/EBITDAが12.9倍とPERベースでは割安である。


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プロフィール

西村麻実 / MamiNishimura
株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。


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