PPIHの株価情報

株価*

時価総額

自己資本比率

ROE

ROIC

2,919.5円

1.7兆円

30.6%

15.7%

N/A

PER(実績)

PER(予想)

PBR

配当利回り

EV/EBITDA

26.3倍

26.1倍

 3.97倍

0.62%

15.6倍

*株価は2023/8/16の終値。

PPIH:2023年6月期通期決算結果

売上高(累計)1兆9,367億円前期比5.8%増
営業利益   1,053億円 同18.7%増
当期純利益662億円 同6.8%増
EPS110.94 
一株当配当金20円 

PPIHの2023年6月期通期決算は34期連続の増収増益を達成した。営業利益は初の1,000億円越えであった。3Q決算発表時に上方修正した数字を上回り、配当も従前計画の一株当18円から20円へと増配した。営業利益率は前期比0.6pt増の5.4%であった。

4Q単独の決算結果は

売上高4,796億円前年同期比4.1%増
営業利益235億円同▲8.1%
四半期純利益147億円同▲7.9%

 

インバウンド需要で免税売上の回復もあり国内リテール売上は大きく伸長したものの、円安による物価上昇により消費者の節約志向や選別消費が高まる環境であった。PB/OEM拡大、プライシング精度の向上、在庫回転率の拡大等で売上総利益は前期比+1.3%、+570億円であった。販管費は人件費、水光熱費等のコストは上昇したが、生産性の改善、人員配置の適正化、その他コストコントロールが功を奏し販管費の伸びより売上総利益の拡大が大きく営業利益率が改善した。

事業セグメント別の状況は以下の通りである。

【国内ディスカウント事業】

売上高(累計)1兆1,775億円前期比6.97%増
営業利益556億円同53.2%増

既存店売上は外出需要の拡大、また免税売上の回復継続等により前期比105.2%と好調に推移した。4Qは引き続き外出需要により旅行用品やコスメ、また季節品として涼感小物も伸長し107.1%で着地した。既存店粗利率は26.0%と前期比+1.5%で着地。PB/OEM比率は通期17.3%(前期比+3.1%)へと拡大。調達面でもSKU(受発注、在庫管理の単位)絞り込みによる条件獲得などが粗利改善に寄与した。また滞留品の早期販売などが引き続き奏功し、既存店在庫は前期比▲196億円 (前々期比▲348億円)となり、評価損減少=粗利率改善を実現した。

既存店販管費は水光熱費の上昇に加え、4月からの人事制度改定による人件費増などで前期比+35億円となる
も、売上伸長に伴う生産性改善やコストコントロールにより販管費率は▲0.6%で着地した。

PB/OEMはブランド認知向上や需要を捉えた商品の開発/販売により、売上構成比は通期17.3%(前期比+3.1%)と期初目標を約0.5%超過達成した。

免税売上に関しては、入国規制が緩和された直後から免税売上獲得に積極的に着手し、4Qにはレジ台数の増設や人員配置の強化等にも取り組んだ結果、通期383億円まで急回復し、4Qはコロナ前比94.3%となった。アジアでの事業拡大も認知向上として売上急回復に寄与した。PB商品も現地展開強化により売上が伸長するなどPPIH全体で相乗効果を発揮した。

 

【GMS事業】

売上高 (累計)4,619億円前期比▲2.3%
営業利益281億円 同10.2%増

外部環境も踏まえて利益重視の施策を推進した。粗利率改善や販管費コントロールの継続により営業利益は前期比+25億円(予算比+21億円)と大幅増を達成した。既存店売上は前期比97.8%で着地した。物価高に伴なう買い控えはあるも、過剰な値下げを控える販促手法に舵を切ったことで、年間通じて粗利は確保した。既存店粗利率は26.9%(前期比+1.4%)と大きく伸長し営業増益に寄与した。付加価値を訴求するプライシングや販促手法の推進に加え、PB/OEM構成比が20.9%(前期比+3.0%)と予算を超えたことも貢献した。既存店販管費は水光熱費上昇も、 マーチャンダイジング統合など含めた人員配置見直し、個店別でのコントロール継続により前期比▲29億円(販管費率▲0.3%)と前年を下回り営業増益に貢献した。

 

【海外事業】

売上高 (累計)3,158億円前期比18.1%増
営業利益99億円同▲18.2%

海外事業は厳しい外部環境や課題対応もあり通期では増収減益であった。しかし、4Qでは営業利益は前期比+5億円、修正後予算比でも想定通りの進捗であった。

売上高は前期比+134億円と成長継続も、主に香港、マカオで人流回復が想定以下だったことやインフレ局面でのコスト増が影響し営業利益は前期と同水準となった。新規出店は8店舗 (4エリア) を実施し、引き続き事業規模を拡大した。シンガポール、香港の既存店営業利益率は前期まで同様10%超を維持すると共に、台湾での黒字化も達成した。

北米事業は売上高は前期比+351億円、営業利益は同▲22億円と増収減益となった。しかし4Q営業利益は前4Q比+5億円であった。ハワイ拠点のスーパーマーケットチェーンのQSIの営業利益前期比▲9億円となるも課題改善に着手済みである。在庫管理などの対策も進み総利益率は3Q26.9%→4Q30.4%と改善傾向にあり、4Q営業利益は前年同期比+8億円となった。カリフォルニア拠点のゲルソンズは営業利益前期比▲11億円ながら予算比では+1億円と予算通りであった。24/6期の新店オープンや将来成長に向けても準備を進めている。

PPIH:2024年6月期予想

今期も最高益更新を予定している。
 

売上高2兆621億円 前期比6.8%増
営業利益1,110億円同5.5%増
当期純利益667億円同0.8%増
EPS111.8円
一株当年間配当金21.00円

 

アナリストによる投資判断

今期はインバウンド客の回復の継続で免税売上はコロナ前を超える伸びが期待される。国内DS事業では引き続きPB/OEM比率の上昇、売上総利益の拡大、コストコントロールにより利益拡大が見込まれる。GMS事業についてはインフレ環境のなか利益重視の施策がうまく行っており、引き続きPB/OEM比率の向上により利益増が期待できる。海外事業はアジアは好調を維持し、ハワイ、カリフォルニアについては時間がかかるが改善していくと考えている。既に売上、利益ともに規模が大きく増収増益は難しいが 中期経営計画の2025年に売上高2兆円、営業利益1,200億円は高い確率で達成可能であるだろう。