【任天堂の決算ポイント】

半導体の調達状況が秋にかけて改善する予定で会社計画より上振れか!?

任天堂の株価情報

株価

(2022/8/18)

時価総額

自己資本比率

ROE

ROIC

60,690円

7.1兆円

78.7%

23.5%

19.5%

PER(実績)

PER(予想)

PBR

配当利回り

EV/EBITDA

14.99倍

20.85倍

3.47倍

N/A*

10.1倍

*注:任天堂は2022年10月1日を効力発生日として、普通株式1株を10株に分割する予定である。中間配当は分割前、期末配当は分割後の株式数で計算することになるために、1株当たりの年間配当額は未定としている。

任天堂:2023年3月期1Q決算結果

売上高3,074億円前年同期比4.7%減
営業利益1,016億円同15.1%減
四半期純利益1,189億円同28.3%増

減収増益決算であった。半導体不足の影響でハードウェアの出荷台数が減少し減収となり、販管費は海外子会社で広告宣伝費が現地通貨建てのために増加し、研究開発費や発送配達費の増加もあり販管費全体で前年同期比13.5%増となり営業利益は同15.1%減少となった。

営業利益率は同4.0pt低下し33.1%となった。しかし営業外収益で為替差益を517億円、受取利息を27億円計上した事等から経常利益は同29.6%増加、四半期純利益も同28.3%増加となった。為替の影響額は、売上段階で+265億円、営業利益段階で+85億円であった。期中の平均為替レートは、1USドル=129.66円、1ユーロ=138.10円だった。

売上高の内訳は

ゲーム専用機

(ハードウェア、ソフトウェア、アクセサリ)

2,956億円前年同期比4.3%減

モバイル・IP関連収入 

(スマートデバイス向け課金収入、ロイヤルティ収入等)

109億円同16.8%減
その他8億円同56.9%増


 

 地域別売上高比率は日本が20.1%、米大陸が43.8%、欧州が26.1%、その他地域が10.0%で、海外売上高比率は79.9%だった。

2023年3月期1Qの主なソフトウェア、ハードウェアの商品の販売本数は以下の通りである。

  • 『Nintendo Switch Sports』484万本(2022年4月29日発売)
  • 『マリオストライカーズ バトルリーグ』191万本(2022年6月10日発売)
  • 『星のカービィ ディスカバリー』188万本(2022年3月25日発売)
  •  『マリオカート8 デラックス』148万本 (2017年発売、有料追加コンテンツ2022年8月5日発売)
  • 2022年3月期1Qのソフトウェア売上本数 4,141万本(前年同期比8.6%減)
  • Nintendo Switch 1,356万台 (同33.3%減)
  •  Nintendo Switch Lite 370万台(同56.5%減)
  •  Nintendo Switch有機ELモデル 580万台 (2021年10月発売)
  • ミリオンセラータイトルは4本(自社4本)

任天堂:2023年3月期予想

通期の会社計画の業績予想は従前予想を維持した。

 

売上高1兆6,000億円前期比5.6%減
営業利益5,000億円 同15.6%減
当期利益 3,400億円同28.8%減
EPS188.48円
一株当たり配当金未定
前提となる為替レート1USD=115円、1ユーロ=125円

通期の業績は減収減益を会社は計画している。
Nintendo Switchハードウェアの通期の予想販売数量は、半導体不足による生産への影響などを考慮し前期比8.9%減の2,100万台とした。Nintendo Switchソフトウェアは同10.7%減の2億1,000万本の販売を見込んでおり、ハードウェアの普及基盤を活かして、新作・定番タイトルの販売を伸ばす予定である。

営業利益は、主に製造原価や販管費の増加を見込んでいることにより、売上高と比較して減少幅が大きくなると会社は予想をしている。1Qは半導体部品等の調達の遅れにより、ハードウェアの生産が計画通りとならなかったが、夏の終わりから秋にかけて半導体の調達状況は徐々に改善する見込みで、年内の生産見通しは立ちつつある。年末商戦に向けては、適切な輸送手段を選択し、世界各地により多くのハードウェアを出荷するよう尽力する予定である。

 

アナリストによる投資判断

8月3日の決算発表翌日の4日はサプライズのない決算だった為に株価の反応はあまりなかった。しかし、半導体の調達状況がこれから改善するとの事でクリスマス商戦で十分にハードウェアを出荷する事ができれば会社計画よりも上振れするのではないかと考えている。現在の株価で予想PERが20.85倍、PBRが3.47倍、EV/EBITDAが10.1倍とPERベースではやや割安である。

執筆日:2022年8月18日

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執筆者プロフィール

株式会社pafin 

マーケットアナリスト 西村 麻美

西村麻美/mami.png

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。

 

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