【決算ポイント】2Q決算は最高売上を達成したが、半導体メーカーの設備投資計画減を受けて通期業績は下方修正。

 

東京エレクトロンの株価情報

株価

(2022/11/10)

時価総額

自己資本比率

ROE

ROIC

40,920円

6.38兆円

69.2%

N/A

N/A

PER(実績)

PER(予想)

PBR

配当利回り

EV/EBITDA

14.58倍

12.19倍

 4.90倍

4.10%

8.5倍

東京エレクトロン:2023年3月期2Q決算結果

売上高1兆1,829億円前年同期比26.9%増
営業利益   3,502億円 同27.5%増
四半期純利益2,673億円 同33.5%増

2Q単体の決算結果は

売上高7,092億円前年同期比47.6%増
営業利益2,326億円同75.1%増
四半期純利益1,793億円同79.5%増

2Q(単体)は過去最高の四半期売上高を更新し、大幅増益であった。調達・物流の混乱を乗り越え、大規模な生産・出荷を達成した。1Qの決算時に説明があったように1Qは上海のロックダウンに伴い出荷の後ろ倒しがあった為に2Qは大幅に増収増益となった。ロジック、NAND向け売上が全プロダクトにて大幅に拡大し、フィールドソリューション事業は、メモリの微細化および多層化に向けたアップグレード・改造が増加した。

セグメント別売上高(2Q)

【SPE(半導体製造装置)】

売上高6,890億円前年同期比47.3%増
セグメント利益2,525億円同65%増
セグメント利益率36.6% 

SPE部門の新規装置のアプリケーション別売上の内訳は、新規装置売上高が1Q比57.2%増の5,609億円となり、そのうちDRAM向けの売上が構成比15%の841億円、不揮発性メモリ向けの売上は構成比24%の1,346億円、ロジックファウンドリ、その外が構成比61%の3,421億円だった。

【FPD(フラットパネルディスプレイ製造装置)】

売上高201億円前年同期比60.8%増
セグメント利益20億円黒転
セグメント利益率9.95% 

【フィールドソリューション売上】

フィールドソリューション売上は1Q比20.3%増の1,317億円となった。このうちSPEのフィールドソリューション売上は1,280億円、FPDのフィールドソリューション売上は36億円だった。(フィールドソリューションの売上はSPE、FPD等それぞれの製品の売上として計上されている。)

2Qの製品別ハイライト

洗浄装置:先端ロジック向け 両面同時処理を実現した次世代スクラバー、パワー半導体向け                           洗浄POR獲得 

成膜装置:各種評価機導入が進む
     ①先端ロジック向け新低抵抗メタルCVD、②メモリ向けHKMG用枚葉CVD、
     ③新規アプリ・次世代マスクPVD SiCパワー半導体向けALD POR獲得

エッチング装置:HARCエッチング向け新規装置、新構造向けガスケミカルエッチング装置の評価が                            進捗

コータ/デベロッパ:High-NA EUV向け研究開発、MOR 対応は順調に進捗

ボンディング装置:NANDでの採用、およびBackside PDN向け評価進展

Laser Edge Trimming: 環境負荷低減に向け引き合い多数、評価進行中

プローバ: NAND向け新テスター搭載 POR獲得

インテグレーション:DRAM向け複数装置によるソリューション提案、コラボレーション開始

CY2022の事業環境に関する見方

半導体前工程製造装置 (WFE)市場は5月時点では前年比2割程度の成長を予測していたが、8月時点では前年比5~15%程度の成長と下方修正し、今回11月時点では前年比10%増とした。社会のデジタルシフトの進展による中長期的な成長に対する見方に変更はなしとした。

FPD製造装置市場 (TFTアレイ工程向け)に関する見方は変わらず前年比微増を見込む。車載など新たなアプリケーションやモバイルの新技術採用に伴う投資が増加。LCDからOLEDへの移行は小型パネルから進行しており、今後は大型パネルへの展開も期待している。

東京エレクトロン:2023年3月期通期予想

半導体メーカーの設備投資計画の変更を反映し、通期の業績予想を下方修正した。期初予想より売上を▲10.6%、営業利益を▲23.7%、当期銃利益を▲23.5%修正した。

 

売上高2兆1,000億円 前期比4.8%増
営業利益5,460億円同▲8.9%
当期純利益4,000億円同▲8.5%減
EPS 2,564.93円
一株当たり年間配当金 1,482円(中間配当857円、期末配当625円)

 

アナリストによる投資判断

上海のロックダウンに伴い出荷の後ろ倒しがあった為に2Qは最高売上を更新したが、通期業績予想は半導体メーカーの設備投資計画減を受けて減益予想となった。下期の減益幅は二桁減を予想している。既に株価は6月から右肩下がりであるが、どこが底となるかの見極めが難しい。メモリーを中心とした半導体市場は2023年上半期位まで調整という見方が多いが株価はその数か月前に反転すると考えると2023年の早い時期になるかと考えている。

 

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執筆者プロフィール

株式会社pafin 

マーケットアナリスト 西村 麻美

西村麻美/mami.png

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。

 

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