【決算ポイント】3Qは大幅な減益であったが、4Qは増収増益になる可能性

 

東京エレクトロンの株価情報

株価

(2023/2/9)

時価総額

自己資本比率

ROE

ROIC

46,260円

7.2兆円

68.0%

N/A

N/A

PER(実績)

PER(予想)

PBR

配当利回り

EV/EBITDA

16.5倍

18.0倍

 4.9倍

3.2%

11.4倍

東京エレクトロン:2023年3月期3Q決算結果

売上高1兆6,507億円前年同期比14.7%増
営業利益   4,649億円 同8.0%増
四半期純利益3,529億円 同13.8%増

 

3Q単体の決算結果は

売上高4,678億円前年同期比▲7.6%
営業利益1,148億円同▲26.4%
四半期純利益855億円同▲22.2%

過去最高の四半期売上高を更新した2Qから一転し、3Q単体では減収減益決算であった。3Q単体の営業利益率は前年同期比6.3pt低下の24.5%であった。

セグメント別売上高(3Q)

【SPE(半導体製造装置)】

売上高4,588億円前年同期比▲6.1%
セグメント利益1,355億円同▲20.5%
セグメント利益率29.5%前年同期34.9%

SPE部門の新規装置のアプリケーション別売上の内訳は、新規装置売上高が2Q比▲38.7%の3,437億円となり、そのうちDRAM向けの売上が構成比15%の516億円、不揮発性メモリ向けの売上は構成比16%の550億円、ロジックファウンドリ、その外が構成比69%の2,371億円だった。

 

【FPD(フラットパネルディスプレイ製造装置)】

売上高89億円前年同期比▲49.4%
セグメント利益▲3億円赤字転落
セグメント利益率N/A前年同期は11.3%

 

【フィールドソリューション売上】

フィールドソリューション売上は2Q比▲10.8%増の1,175億円となった。このうちSPEのフィールドソリューション売上は1,150億円、FPDのフィールドソリューション売上は25億円だった。(フィールドソリューションの売上はSPE、FPD等それぞれの製品の売上として計上されている。)

 

2022の事業環境に関する見方

  • デジタル化の進展によりWFE(半導体前工程製造装置)市場は一段上の成長フェーズに:
    CY2020に$65Bだった市場規模は、CY2021は$92B、CY2022は約$100Bで着地したと予測
  • WFE市場は目下調整局面だが、CY2023後半から徐々に回復し、通年では約USD80B(約10兆円)になる見込み
  • CY2024以降も半導体およびWFE市場は力強く伸長し、さらなる成長段階へ:          新CPUやエネルギー効率の良い半導体の採用による、データセンターの刷新、 CY2025には本格的なサービス開始が期待されるメタバース、電気自動車の普及、 スマートフォン需要の回復などが牽引役

FY2023 Q3 事業進捗

▪ SPE事業は計画通り進捗
CY2022は売上高 2兆1,611億円、新規装置売上は前年比 22%増加。
WFE市場の成長率(+8%)をアウトパフォームした。
調達不安が続く中、強固なサプライチェーンで対応。 戦略製品によるPOR(顧客の半導体製造プロセスにおける装置採用の認定)獲得や、将来成長に向けた開発装置選定も順調に進捗した。

 FPD事業について

▪ FPD TFTアレイ工程(ディスプレイを駆動する電気回路機能をもつ基板を製造する工程)向け製造装置市場は、大型投資案件が一服。CY2023は前年比30~40%の減少を見込む。
▪ セグメントを集約し、選択と集中を推進
新たなターゲット市場「MAGIC」(メタバース、自動運転、グリーンエネルギー、IoT、Communicationを設定し、組織を再編し、成長分野である「MAGIC」向け製造装置にリソースを再配置する
インクジェット描画装置の開発プロジェクトを中止
FPD製造装置については、エッチングなど高付加価値エリアに特化

東京エレクトロン:2023年3月期通期予想

2Q決算発表時に下方修正をしたが、今回は上方修正をした。11月時予想より売上を700億円、営業利益を340億円、当期純利益を330億円上方修正した。また、期末配当も106円増額した。

 

売上高2兆1,700億円 前期比4.8%増
営業利益5,800億円同▲8.9%
当期純利益4,330億円同▲8.5%減
EPS 2,776.15円
一株当たり年間配当金 1,588円(中間配当857円、期末配当731円)

東京エレクトロンは2023年3月31日を基準日として、一対三の株式分割を発表した。

 

アナリストによる投資判断

3Qは大幅な減益であったが、通期の業績予想は11月時点より上方修正し、増収微減益を予想している。通期予想を上方修正した事を考えると4Qは増収増益となる可能性が高く、株価がここから大きく下落するとは考えづらい。

 

 

 

当社は、本記事の内容につき、その正確性や完全性について意見を表明し、また保証するものではございません。記載した情報、予想および判断は有価証券の購入、売却、デリバティブ取引、その他の取引を推奨し、勧誘するものではございません。過去の実績や予想・意見は、将来の結果を保証するものではございません。
提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更または削除されることがございます。当社は本記事の内容に依拠してお客様が取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。
本記事の内容に関する一切の権利は当社に帰属し、当社の事前の書面による了承なしに転用・複製・配布することはできません。