執筆:西村 麻美

東京センチュリーの株価情報


株価
(2022/2/14)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
5,800円 7,088億円 11.4% 7.6% 1.1%
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR 配当利回り EV / EBITDA
14.5倍 11.8倍 1.1倍 2.47% N/A


2022年3月期第3四半期決算

東京センチュリー(TC)の2022年3月期第3四半期決算(累計)の結果は

売上高9,369億円(前年同期比4.9%増
営業利益658億円(同10.7%増
四半期純利益435億円(同8.3%増

増収増益の好決算だった。売上総利益は航空機事業で減益となったものの国内オート事業、不動産事業及び国際事業の増益により前年同期比35億円(2.4%)増加し1,504億円とった。販管費は航空機関連の債権に対する貸倒費用が減少し、戻入利益となった事、またレンタカー事業の人件費を含めたオペレーションコストの削減により同29億円減少した。営業外損益は同55億円増加69億円の利益となった。NTT・TCリース株式会社及び日通リース&ファイナンス株式会社の持分法投資利益の増加だった。特別損益は投資有価証券評価損の減少等により同19億円減少の4億円の損失を計上し、法人税等は同29.4%増加の50億円となり、四半期純利益は同8.3%増の435億円となった。


事業セグメント別の経常利益(累計)およびROAは

国内リース事業分野

経常利益238億円(前年同期比20億円増
ROA2.2%(同0.2pt増

国内オート事業分野

経常利益137億円(前年同期比63億円増
ROA2.9%(同1.3pt増

スペシャルティ事業分野

経常利益321億円(前年同期比10億円減
ROA1.9%(同0.1pt減

国際事業分野

経常利益112億円(前年同期比34億円増
ROA3.0%(同0.9pt増

純資産合計は、前期末比11.7%、806億円増加し7,690億円となった。主な要因は、利益剰余金が263億円増加、為替変動を主因に為替換算調整勘定が487億円増加、非支配株主持分が46億円増加したことである。この結果、自己資本比率は前期末に比べ1.2ポイント上昇し11.4%となった。

事業分野ごとの要因は以下の通り。

【国内リース事業分野】


NTT・TCリースおよび日通リース&ファイナンスの持分法による投資利益を主因に増益した。

【国内オート事業分野】


NCSでは、中古車マーケット高騰のタイミングを逃さず、機動的な売却実現により、車両売却益が最大化。加えて、リース収益の拡大などにより、3Qにおける過去最高益を更新した。NRSではレンタカー売上は、前年同期比横ばいとなったものの、昨年来から取り組んでいるコストコントロールが奏功し、損益は大幅に改善した。

【スペシャルティ事業分野】


ACG個社の業績は、計画通りに進捗しているものの、リース契約解除に伴う、ACG連結上のリースプレミアム減損計上などにより減益であった。不動産は安定的なインカムゲインに加え、売却益増加などにより増益した。船舶において、好調な海運市況を背景とした売船収益の増加などにより増益した。

【国際事業分野】


アジアではオートリースを中心としたモノ価値に依拠した優良資産積上げなどが牽引し、増益であった。北米・欧州では、コロナ影響によるIT機器の需要増加を背景に、海外リース子会社のCSIのFMVリースに係る物件売却収益などが堅調に推移し、増益であった。


2022年3月期予想

2022年3月期会社計画の業績予想は従前予想を維持した。

経常利益1,000億円(前年同期比28%増
ROA600億円(同22.1%増


アナリストによる投資スタンス

決算発表翌日は利食い売りから小幅下落したが、その後は上げ基調である。ACG(Aviation Capital Group)の業績は税引前利益は前年同期比減益ではあるものの、米国では国内線は穏やかに回復してきており、3Q累計の引渡し機体数は20機(コロナ前2019年3Q対比+4機)と、航空会社による機体調達の動きが本格化している。オート事業分野では半導体不足のために自動車各社が減産しているなか中古車市場が高騰している中で車両売却により利益の最大化、また国際事業分野も好調である。NTTグループ、三菱地所、アドバンテッジパートナーズなど、有力パートナーとの協業を着実に拡大しており、中長期的な利益成長のストーリーは不変である。現在の株価バリュエーションは予想PERが11.8倍、PBRは1.1倍とやや割安に感じる。


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プロフィール

西村麻実 / MamiNishimura
株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。


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