【決算ポイント】巨額特損の計上はあるが、事業自体は順調に推移している。

 

東京センチュリーの株価情報

株価

(2022/2/7)

時価総額

自己資本比率

ROE

ROIC

4,570円

5,594億円

13.1%

N/A

N/A

PER(実績)

PER(予想)

PBR

配当利回り

EV/EBITDA

11.1倍

558.68倍

0.71倍

3.13%

 16.5倍

東京センチュリー(TC):2023年3月期3Q決算結果

売上高(累計)9,585億円前年同期比2.3%増
営業利益691億円同4.9%増
四半期純損益▲102億円 赤字転落

3Q単体の決算結果は

売上高3,320億円前年同期比4.4%
営業利益197億円同23%増
四半期純損益▲38億円赤字転落

1QでACG(Aviation Capital Group)のロシアの航空会社向け機体の減損損失を444億円計上し、2Qでも26億円計上した、3Qに現存損失を更に19億円計上した。また、ロシアの航空会社向け融資・融資保証の貸倒損失282億円を計上した。3Qまでに累計771億円をロシア関連で特別損失として計上し、四半期純損益は▲102億円であった。

上半期の事業セグメント別の経常利益およびROAは

国内リース事業分野経常利益 240億円前年同期比2億円増
ROA   2.4%同0.2pt増
国内オート事業分野経常利益 228億円 同91億円増
ROA     5.0%同2.1pt増
スペシャルティ事業分野経常利益 474億円同153億円増
ROA   2.4%  同0.5pt増
国際事業分野経常利益  ▲50億円 同▲162億円
ROA   N/AN/A

国際事業分野のアジアにおいて評価損を3Qまでに累計184億円計上したためにセグメント損失が▲50億円となったが、他の事業分野の収益は堅調に推移した。

 

事業分野ごとの概況は以下の通りであった。

【国内リース事業分野】

売上高は前年同期比245億円(6.4%)減少し3,610億円、セグメント利益は2億円(1.0%)増加し240億円となった。主な増益要因は、関連会社のNTT・TCリース株式会社及び日通リース&ファイナンス株式会社の持分法投資利益の増加であった。セグメント資産残高は前期末比669億円(4.8%)減少し1兆3,128億円となった。

 

【国内オート事業分野】

売上高は前年同期比100億円(3.9%)増加し2,653億円、セグメント利益は91億(67.0%)増加し228億円となった。主な増益要因は、レンタカー事業における売上高回復による収益改善に加え、中古車マーケット情勢に機動的に対応したことによるリース・レンタル車両の売却益の増加であった。セグメント資産残高は前期末比37億円(0.6%)増加し6,155億円となった。

 

【スペシャルティ事業分野】

売上高は前年同期比106億円(4.9%)増加し2,274億円、セグメント利益は153億(47.8%)増加し474億円となった。主な増益要因は、営業投資有価証券の売却益の増加に加え、航空機事業において売上原価として計上している減損損失が減少したこと等であった。セグメント資産残高は為替変動を主因に前期末比5,593億円(24.2%)増加し2兆8,711億円となった。

 

【国際事業分野】

売上高は前年同期比254億円(32.1%)増加し1,042億円、セグメント損失は50億円(前年同期比162億円の利益減少)となった。主な減益要因は、営業投資有価証券の評価損計上によるものであった。セグメント資産産残高は為替変動を主因に前期末比1,126億円(20.2%)増加し6,696億円となった。
 

 


東京センチュリー:2023年3月期予想

通期の業績計画は2023年1月10日付で下方修正した。

経常利益1,000億円前期比10.5%増
当期利益10億円同▲98%
EPS8.18円 

ロシアの航空会社を実質与信先とする融資・融資保証の合計 約2.2億ドル(第3四半期は約282億円計上)の特別損失計上により、業績予想を修正した。売上高は据え置き、当期純利益は前年同期比98%の10億円に下方修正した。しかし、年間配当金と経常利益は修正をしない。

アナリストによる投資判断

ACGのロシア関連の特別損失は一過性の事であり、アフターコロナ需要を見据えたエアラインによる機体調達の動きが活発化しておりACGの業績は回復基調にある。また船舶リース、不動産リースの利益も大きく伸びている。オート事業分野では中古車市場が高騰している中で車両売却により利益の最大化しており好調である。NTTグループとの協業はセグメント資産残高拡大に伴い、利益も順調に伸⾧している。NTTの高い信用力を生かし低コストでの資金調達に加えて、連携推進による資産拡大に注力している。今期のロシア関連の特損計上により予想PERが異常に高くなっているが、一過性の事であり、中長期的な利益成長のストーリーは不変である。

 

 

 

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