株価* | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
3,732円 | 1.13兆円 | 3.9% | 12.8% | N/A |
PER(実績) | PER(予想) | PBR | 配当利回り | EV/EBITDA |
6.9倍 | N/A | 0.9倍 | N/A | N/A |
*株価は2025/5/9の終値。
SBIホールディングス:2025年3月期通期決算結果
収益 | 1兆4,473億円 | 前期比19.3%増 |
---|---|---|
税引前利益 | 2,823億円 | 同99.4%増 |
通期純利益 | 1,621億円 | 同85.8%増 |
4Q単独の決算結果は
収益 | 4,303億円 | 前年同期比24.5%増 |
---|---|---|
税引前利益 | 1,029億円 | 同2.5倍増 |
四半期純利益 | 609億円 | 同120.7%増 |
SBIホールディングスの2025年3月期通期の決算は金融サービス事業、資産運用事業の堅調な推移に牽引されて収益が過去最高を更新した。収益は前期比19.3%増の1兆4,473億円、税引前利益は同99.4%増の2,823億円、当期純利益は同85.8%増の1,621億円であった。
セグメント別業績の内訳は
セグメント名 | 収益 | 前年同期比 | 税引前利益 | 前年同期比 |
---|---|---|---|---|
金融サービス事業 (証券、保険、銀行等) | 1兆2,022億円 | 9.9%増 | 2,253億円 | 30.3%増 |
資産運用事業 | 338億円 | 14.8%増 | 54億円 | 12.5%増 |
PE投資事業 | 1,127億円 | 341.5%増 | 672億円 | 黒字転換 |
暗号資産事業 | 808億円 | 41.4%増 | 212億円 | 151.8%増 |
次世代事業* | 307億円 | 15.1%増 | ▲99億円 | 赤字拡大 |
*バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業やWeb3関連事業が中心である。
金融サービス、資産運用事業、暗号資産事業、次世代事業で収益は過去最高、また暗号資産事業は税引前利益も過去最高を達成した。投資事業は黒字転換したが、次世代事業は収益は過去最高だったものの、税引前損益は赤字を拡大した。
証券事業
証券事業はSBI証券、SBIリクイディティ・マーケット、SBI FXトレード、SBIマネープラザ、PTS運営各社、海外証券各社等から構成される。SBI証券の2025年3月期3Q連結業績(J-GAAP)は、オンラインでの国内株式売買手数料の無料化を開始し、約380億円の逸失収益が生じたが、営業収益は2,389億円(前期比17.4%増)、営業利益は771億円(前期比12.3%増)、また経常利益も766億円(前期比10.2%増)となり、いずれも過去最高となった。
親会社株主に帰属する当期純利益は、2Qから4Qにかけて計上した金融商品取引責任準備金の繰入に伴う特別損失(計約72億円)にもかかわらず過去最高を更新した。
銀行事業
銀行事業の構成企業はSBI新生銀行グループ、住信SBIネット銀行、SBIアルヒ、SBI貯蓄銀行を含む海外銀行各社である。
SBI新生銀行は、法人業務における事業法人を中心とした貸出残高増加による金利収益や海外事業での大口保証案件実行による手数料収益の計上等が寄与し、親会社株主に帰属する当期利益は約844億円(前期比45%増)となった。
住信SBIネット銀行(持株比率34.19%)については、住宅ローン事業で貸出が順調に拡大したほか、運用利回り上昇により資金運用収益が増加したこと等を背景に、J-GAAPベースの経常利益は前期比9.6%増の382億円、SBIホールディングスのIFRS取り込みベースの持分法による投資利益は同44.3%増の64億円となった。
韓国のSBI貯蓄銀行は、個人信用貸付及び住宅担保債権に対する高水準の与信コスト負担は継続したものの、優良資産の取り込み再開により利息マージンの拡大が進むなど、基礎的収支が堅調に推移したほか、融資債権劣化はほぼ収束し、業績は改善傾向にある。債権全体の延滞率は、5.6%(2024年3月末)から 4.6%(2025年3月末)へ改善した。今後、優良資産の取り込みに伴う利息収益の拡大や事業環境の改善に伴う業績拡大が期待される。税引前利益は前期比45%増の181億円となった。
保険事業
保険事業の構成企業はSBIインシュアランスグループ、SBI損害保険、SBI生命保険、少額短期保険各社である。
SBIインシュアランスグループの2025年3月期通期の連結業績(J-GAAP)は、グループ全体の保有契約件数の堅調な増加により、経常収益は前期比8.3%増の1,185億円、経常利益は同15%増の94.7億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同37.1%増の19.8億円といずれも過去最高となった。
資産運用事業
資産運用事業の構成企業はSBIグローバルアセットマネジメント(SBIGAM)、SBIアセットマネジメント(SBIGAM子会社)、ウエルスアドバイザー(SBIGAM子会社)、SBIレオスひふみ、SBI岡三アセットマネジメントである。
資産運用事業は新NISAの開始も追い風となり、各社の運用資産残高が大きく増加した事が寄与し、収益は前年同期比14.8%増の338億円と過去最高、税引前利益は同12.5%増の54億円となった。
SBIグローバルアセットマネジメントは売上高、営業利益、当期純利益と全てで最高を記録した。売上高は前期比14.1%増の116億円、営業利益は同7.9%増の22.7億円、当期純利益は同3.6%増の16億円であった。
SBIレオスひふみも営業収益、経常利益、当期純利益と全てで過去最高となった。営業収益は同10.8%増の114億円、経常利益は同15.1%増の20億円、当期純利益は同13.1%増の15億円であった。SBI岡三アセットマネジメントの営業収益は同28.1%増の132億円、経常利益は同98.7%増の19億円、当期純利益は同109.7%増の12億円であった。
SBIグループの運用資産残高は2025年3月末時点で10兆5,565億円となった。
PE投資事業
SBIの投資事業公正価値評価の変動による損益および売却損益は、未上場銘柄の評価額が向上したことで改善した。PE投資事業の収益は前期比341.5%増の1,127億円、税引前損益は黒字転換し、672億円であった。公正価値評価の変動による損益及び売却損益は728億円、このうち上場銘柄は76億円、未上場銘柄は651億円であった。
IPO・M&Aの実績数は20件であった。(2026年3月期は25件の見通し)
未上場銘柄として保有する米国Ripple Labs社の株式については、公開等により明確なバリュエーションが定まるまで、同社がエスクローで保有するXRPの価値は算入していない。
暗号資産事業
暗号資産事業はSBI VC トレード、ビットポイントジャパン、 B2C2、暗号資産マイニング事業、HashHub(2023年4月よりグループ入り)から構成される。
暗号資産事業の2025年3月期通期の収益は前期比41.4%増の808億円、税引前利益は同151.8%増の212億円といずれも過去最高となった。
トランプ大統領の就任により活性化した暗号資産市場は、暗号資産マーケットメイカーの英国B2C2社が大きく伸長したことに加え、暗号資産取引所でも顧客基盤の拡大や新施策が奏功したことで、同事業における税引前利益は過去最高を更新した。
順調に顧客基盤を拡大する暗号資産取引所は、収益基盤の安定化に向け、ステーキングなどのストックビジネスやレバレッジ取引の更なる強化を図る予定である。
次世代事業
次世代事業はバイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業、Web3を含むその他の事業である。
次世代事業の2025年3月期通期の収益は前期比15.1%増の307億円と過去最高、税引前利益は▲99億円と同赤字が拡大した。バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業は、前期に5-ALA関連事業において計上した健康食品事業用の原料在庫の評価替えに伴う特別損失が今期はなくなったこともあり、黒字を確保した。Web3・デジタルアセット等の先端技術領域は(株)まちのわホールディングスは黒字化したものの、全体としては未だ先行投資の段階である。
SBIホールディングス:2025年3月期予想
業績予想は、投資・証券関連事業は、株式市場等の変動要因による影響が極めて大きいため、SBIは業績予想の開示は行っていない。
アナリストによる投資判断
アメリカの関税政策による世界景気の減速懸念を受けて、日銀は金融政策を上昇基調から緩和継続に戻すスタンスになった事により銀行株の株価は下落し、SBIの株価も下落した。しかし、SBIの傘下企業の業績は堅調であり、ここから株価が大きく下落するとは考えづらい状況である。