【決算ポイント】北米事業は好調だったもののコロナ、自然災害関連の保険金支払いが予想外に大きく2Qは赤字に転落。

 

東京海上の株価情報

株価

(2022/11/18)

時価総額

自己資本比率

ROE

ROIC

2727.5円*

5.47兆円

13%

N/A

N/A

PER(実績)

PER(予想)

PBR

配当利回り

EV/EBITDA

13.18倍

14.84倍

1.45倍

3.67倍

N/A

*2022年10月1日を効力発生日として1対3の株式分割を行った。

東京海上ホールディングス:2023年3月期2Q決算結果

経常収益3兆4,076億円前年同期比18.1%増
経常利益1,097億円同▲70.1%
四半期純利益865億円同▲67.9%

2Q単体の決算は

経常収益1兆7,789億円前年同期比24.4%増
経常利益▲556億円赤字転落
四半期純利益▲380億円赤字転落

中間決算(累計)は大幅減益の決算であった。2Q単体の決算は経常利益、四半期純利益ともに赤字に転落した。、海外のレートアップや引受拡大、国内の⽕災保険の増収等で正味収⼊保険料で+18.7%(除く為替では+10.4%)、生命保険料で+13.0%(同+3.1%)と増収したもものコロナ保険や自然災害に対する多額の保険金支払により赤字転落となった。

 

各事業の事業別利益(累計)は

TMNF(東京海上日動火災保険)▲201億円赤字転落(前年同期は1,318億円)
AL(東京海上日動あんしん生命保険)99億円 前年同期比▲56.3%
海外保険事業 1,182億円同▲7.4%


 事業別概況

【TMNF(国内損保)】

火災保険の料率改定や海上保険の円安や物流基調による価格上昇でトップラインは増収したがコロナ保険⾦の増加、大口事故の増加、また自然災害の増加などの影響により発生保険金が前年同期比36.6%増の7,706億円となり、事業別利益は▲201億円と赤字に転落した。TMNFでの一過性の損失の内訳は以下であった。

国内自然災害の影響▲約750億円
南アフリカ洪水の影響▲約30億円
 2Qのコロナ関連の影響▲約220億円
為替の影響▲約410億円

E/I損害率は、一過性の影響(自然災害、コロナ、為替)等による発生保険⾦の増加により、年初予想を上回って進捗し、事業費率は、好調なトップライン増収により、年初予想を下回って推移した。その結果、コンバインド・レシオは、年初予想対⽐ +12.2pt の104.6%となった。

 

【AL(国内生保)】

新契約年換算保険料は、一部の保障性商品の販売下振れを主因に、計画を若⼲下回った。コロナ(▲約90億円)や円安進⾏に伴うヘッジ損失(▲約20億円)といった一過性の影響を主因として事業別利益は前年同期比▲56.3%の99億円となった。

 

【海外保険】

北米事業は好調であった。PHLY(Philadelphia Financial Group)は計画を上回るレートアップ(2Q実績: +9%)や更新率、好調な新規契約等により、順調に進捗した。DFG(Delphi Financial Group, Inc.) 好調な超過額労災保険や就業不能保障保険に加え、ボルトオン買収したSSL社の引受も計画対⽐で順調に進捗した。TMHCC(Tokio Marine HCC)は 高いレートアップ(2Q実績: +10%(A&H・Surety・Creditを除く))と引受拡大により、年初予想を上回って推移した。また富裕層向け保険会社のPure Groupの事業別利益は前年同期比3倍強となった。これら好調な事業は現地計画対⽐+約230億円、円安進行+293億円があったものの台湾コロナの影響(▲539億円)で事業別利益は低調であった。台湾コロナ影響については、2Qに▲539億円(東京海上持分)の損失を計上する。通期では、⾜元の感染率拡大を踏まえて▲910億円(東京海上持分)の損失を⾒込んでいる。なお、販売していたコロナ保険は2022年2月15日に売り止めている。

 

東京海上HLD:2023年3月期予想

中間決算時の想定以上のコロナ、自然災害関連の支払い保険金の増加を受けて通期の業績予想を下方修正し、減収減益とした。コロナ、自然災害関連の通期の影響は▲1,600億円としている。決算発表と同時に自己株式を除く発行済株式の1.2%に当たる500億円、2,500万株を上限に自社株買いすると発表した。 
 

経常利益4,700億円前期比▲17.2%
当期利益  3,700億円同▲12%
EPS183.74円
一株当たり配当金200円(中間配当150円、期末配当50円)*

               *株式分割を考慮しない場合の期末配当は150円である。

 

 

アナリストによる投資判断

北米事業は順調にレートアップを実施して業績が拡大しているが、コロナ保険金、自然災害の保険金支払いが大きく膨らみ2Qは赤字に転落した。コロナ、自然災害関連の通期の影響は▲1,600億円としており、通期業績予想を下方修正したために週明けに株価は売られる展開になるかと考えている。東京海上は金融セクターの中でも抜群の経営力の高さであり、中長期的な優位性は不変である。


 

 

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執筆者プロフィール

株式会社pafin 

マーケットアナリスト 西村 麻美

西村麻美/mami.png

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。

 

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