【決算ポイント】2Qは赤字だったが、3Qは大幅増収増益となり黒字確保。

 

東京海上の株価情報

株価

(2023/2/14)

時価総額

自己資本比率

ROE

ROIC

2717.5円*

5.43兆円

13%

N/A

N/A

PER(実績)

PER(予想)

PBR

配当利回り

EV/EBITDA

13.3倍

14.8倍

1.5倍

3.68倍

N/A

*2022年10月1日を効力発生日として1対3の株式分割を行った。

東京海上ホールディングス:2023年3月期3Q決算結果

経常収益5兆2,120億円前年同期比19.2%増
経常利益3,463億円同▲30.6%
四半期純利益2,714億円同▲27.4%

 

3Q単体の決算は

経常収益3兆4,332億円前年同期比130.9%増
経常利益2,366億円同78.8%増
四半期純利益1,849億円同76.4%増

2Q単体の決算は経常利益、四半期純利益ともに赤字に転落したが、3Q単体では大幅増収増益となった。海外のレートアップや引受拡大、国内の⽕災保険の増収を主因に、正味収⼊保険料で+20.4%(除く為替では+9.6%)、生命保険料で+15.9%(同+3.6%)と、11月予想に対して順調に推移しており、基調は引き続き良好である。

 

各事業の事業別利益(累計)は

TMNF(東京海上日動火災保険)630億円前年同期比▲66.4%
AL(東京海上日動あんしん生命保険)153億円 同▲52.7%
海外保険事業 1,873億円同0.4%増


 事業別概況

【TMNF(国内損保)】

火災保険の料率改定や契約増により大幅増収となり、海上保険、傷害保険も前年同期比二桁増と好調であった。一方、自動車保険、自賠責保険保険はともに料率改定により若干の減収であった。全体では3Q実績で同5.7%増の増収であった。発生保険金は3Q実績は、円⾼に伴う外貨建⽀払備⾦積増の減少や想定を下回る国内⾃然災害・コロナ保険⾦により、11月予想を下回って進捗し、2Qまでの国内⾃然災害の増加・外貨建⽀払備⾦積増の他、コロナ保険⾦の増加(+約250億円)、南アフリカ洪水(+約50億円)、⾃動⾞保険のコロナ反動、大⼝事故の増加等と合わせて同22.9%増、資産運用益は同22.1%増となり事業別利益は同▲66.4%の630億円となった。

E/I損害率は、トップラインの増収によって事業費率が低下したものの、国内⾃然災害の増加等に伴いE/I損害率が上昇し、結果としてコンバインド・レシオは同10.1pt上昇の98.2%となった。
 

【AL(国内生保)】

新契約年換算保険料は、11月公表の通期計画を若⼲下回るが、通期では概ね計画通りを⾒込んでいる。事業別利益は、一過性のコロナ影響やDFG(米子会社のデルファイ・ファイナンシャル・グループ)委託分の運用収益を考慮すると、11月予想対比インラインで進捗しており、同▲52.7%の153億円となった。

 

【海外保険】

海外保険事業は正味収入保険料がレートアップや引き受け拡大により全地域とも好調で同+14.1%の増収であった。

北⽶
PHLY : 好調なレートアップを継続(3Q実績: +9%)していることに加え、更新率や新規契約も良好に推移しており、ハリケーンIanの影響があったものの、コンバインド・レシオは92.3%と好調であった。


DFG : 好調なエクセス労災や就業不能保障保険に加え、ボルトオン買収したSSL社の引受も計画対⽐で順調に進捗しており、また資産運用も好調で基調は好調あった。


TMHCC : 好調なレートアップ(3Q実績: +8%(A&H・Surety・Creditを除く))と引受拡大により、着実に増収を実現しており、コンバインド・レシオを87.9%と良好な水準に保ちつつ、基調は好調であった。 

欧州
主にロイズ事業においてプロパティを中⼼に⾼いレートアップを実現しており、一過性の影響(ハリケーンIanやロシア・ウクライナ戦争に係るリザーブ計上、⾦利上昇による評価損計上等)があるものの、自然災害以外の損害率の基調は良好に推移した。

中南⽶
インフレ等による自動⾞の損害率悪化を、レートアップや免責⾦額引上げ等の対策で打ち返していることに加え、ヘッジ目的のインフレ連動債を中⼼とした資産運用収益の好調により、基調は順調であった。 

アジア・オセアニア
経済活動再開等により、自動⾞保険を中⼼に好調であり、台湾コロナの影響(▲742億円)を除くと順調であった。

生保:⾦利上昇に伴う責任準備⾦負担の減少もあり、順調であった。 

Pure : 堅調な増収に伴い、基調は順調であった。

 

東京海上HLD:2023年3月期予想

通期業績予想は11月に下方修正をした従前予想を維持した。コロナ、自然災害関連の通期の影響は▲1,600億円としており、減益を予想している。自社株買いは2023年3月24日までに発行済株式の1.2%に当たる500億円、2,500万株を上限に実行している最中である。 
 

経常利益4,700億円前期比▲17.2%
当期利益  3,700億円同▲12%
EPS184.03円
一株当たり配当金200円(中間配当150円、期末配当50円)*

               *株式分割を考慮しない場合の期末配当は150円である。

 

 

アナリストによる投資判断

今期はコロナ保険金、自然災害の保険金支払いが大きく膨らみ2Qは赤字に転落したが、3Qは経常利益が前年同期比79%増の2,366億円と回復した。既に東京海上は海外保険事業からの利益貢献が国内事業からの2倍以上あり、グローバルな保険グループという位置づけであり、中長期的な優位性は不変である。


 

 

 

 

当社は、本記事の内容につき、その正確性や完全性について意見を表明し、また保証するものではございません。記載した情報、予想および判断は有価証券の購入、売却、デリバティブ取引、その他の取引を推奨し、勧誘するものではございません。過去の実績や予想・意見は、将来の結果を保証するものではございません。
提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更または削除されることがございます。当社は本記事の内容に依拠してお客様が取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。
本記事の内容に関する一切の権利は当社に帰属し、当社の事前の書面による了承なしに転用・複製・配布することはできません。