東京海上の株価情報

株価*

時価総額

自己資本比率

ROE

ROIC

3,115円

6.2兆円

14%

N/A

N/A

PER(実績)

PER(予想)

PBR

配当利回り

EV/EBITDA

16.6倍

11.7倍

1.7倍

3.88%

N/A

*株価は2023/8/7の終値。

東京海上ホールディングス:2024年3月期1Q決算結果

経常収益1兆8,225億円前年同期比12.5%増
経常利益1,714億円同▲0.1%
当期純利益1,279億円同▲1.4%

増収微減益の決算であった。国内の火災保険の増収、海外のレートアップや引受拡大により増収を確保し、国内生命保険では事業保険の解約増加により減収、国内外の自然災害(▲204億円)、北⽶キャピタルロス(▲124億円)、国内損保の円安影響(▲285億円)等により減益となった。

 

各事業の事業別利益(累計)は

TMNF(東京海上日動火災保険)469億円前年同期比32.5%増
AL(東京海上日動あんしん生命保険)41億円 同▲30.5%
海外保険事業 917億円同37.1%増
その他218億円同▲29.2%

海外保険事業のみ前年同期比で増益であり、総事業別利益の55.7%を占めた。


 事業別概況

【TMNF(国内損保)】

正味収入保険料は前年同期比+2.6%増と通期予想の+1.2%を上回り好調に推移した。中小企業向け保険、サイバー保険等重点取組領域を中⼼とした新種の増収、建設工事保険等の大口契約による増収、また⽕災における商品・料率改定効果の発現等がトップライン拡大を牽引した。堅調なトップラインの⼀⽅、主に海外ランオフ受再契約(約150億円)におけるリザーブ積増の影響により(海外源泉であり、国内損保の事業別利益からは控除される2Q以降の海外保険の事業別利益に計上される)、進捗率は27.7%と低位にとどまった。

台風2号に伴う自然災害の発生保険金(▲129億円)、ヘッジコストの上昇(年初想定通り)、円安影響(外貨建⽀払備⾦積増および
為替デリバティブ評価損)、資産運用益の前年同期比減少(▲572億円)等により事業別利益の進捗率は29.2%と過去5年の平均44.9%より低かった。しかし自然災害は年初予算の範囲内に⼗分収まっており、為替影響も通期では海外の増益と概ねオフセットされる予定である。TMNFの事業別利益は前年同期比32.5%増の469億円となった。

発生保険金に関しては火災保険は前年同期比では、南アフリカ洪⽔とコロナ保険⾦の反動等により減少したものの、自然災害、および、円安に伴う外貨建⽀払備⾦積増が前年同⽔準で発⽣したため、発生保険金は通期予想を上回って推移した。海上保険の発生保険金は積荷保険の事故件数減少により、通期予想を下回って推移した。傷害の発生保険金はコロナの規制が無くなり活動量増加に伴う発生保険金の増加により通期予想を上回って推移した。自動車保険の発生保険金は台風2号および事故頻度の予想対比での上昇により、通期予想を若⼲上回って推移した。その他新種の発生保険金は円安に伴う外貨建⽀払備⾦積増、および、海外ランオフ受再契約におけるリザーブ積増の影響により、通期予想を上回って推移した。

E/I損害率は、想定通りの既経過保険料の増加を上回る発⽣保険⾦の増加により、通期予想を上回って推移し62.2%となった。但し、海外ランオフ受再契約、自然災害、為替の影響を除くベースでは、52.6%と、通期予想に対して概ね想定内であった。社費率は、ソフトウェア減価償却費が想定通り増加し、概ね通期予想の範囲内で推移した。⼿数料率は、通期予想に対して順調に推移した。社費率は31.5%であった。この結果コンバインドレシオは93.6%となった。

資産運用等損益は円安進⾏に伴う⾦融派⽣商品費⽤の増加により、通期予想を下回って進捗した。ただし、円安進⾏によるヘッジ対象資産の時価増加と併せると経済価値ベースではフラットであった。ヘッジコストは計画通りであった。政策株式売却額は460億円、売却益は370億円と計画通りであった。この結果資産運用等損益は前年同期比▲41.4%の807億円となった。

 

【AL(国内生保)】

新契約年換算保険料は前年同期比▲4%であったが、8月発売の新商品を中⼼とした2Q以降の販売加速を⾒込むため、通期では概ね計画通りであった。事業別利益は円安進⾏に伴う⾦融派⽣商品費⽤の増加により、 通期予想を下回って推移した。円安進⾏によるヘッジ対象資産の時価増加と併せると 経済価値ベースではフラットであった。ヘッジコストは計画通りであった。ヘッジ対象資産のおおむねは、2Q、4Qに収益認識する予定である。

 

【海外保険】

海外保険事業は北⽶拠点・TMK(ロイズのキルン事業と東京海上の欧州事業が合併)・TMSR(東京海上ブラジル現地法人)を中⼼に、好調なレートアップ等により、計画を上回って推移し、正味収入保険料は前年同期比8.8%増の6,868億円となった。

北⽶
PHLY :  好調なレートアップ(1Q実績: +9%)や更新率、新規契約等により、計画を上回って推移し前年同期比9.8%増の1,171億円となった。


DFG :  団体⽣保や就業不能保障、有給休暇補償等の引受が好調であり、計画を上回って推移し同19.2%増の1,269億円となった。


TMHCC :  好調なレートアップ(1Q実績: +10%(A&H・Surety・Creditを除く))等により、計画を上回って推移し同16.2%増の1,935億円となった。

欧州
好調なレートアップ(1Q実績: +8%)等により、計画対比順調に推移(前年同期比では、前年1Qのトップラインが低調だったこともあり大きく増収しているが、通期の計画対比ではオンペース)し、同44.2%増の465億円となった。

中南⽶
自動⾞におけるロスコスト上昇を踏まえたレートアップや、引受拡大等により、計画を大きく上回って推移し同30%増の698億円であった。

アジア・オセアニア
自動⾞や海外旅⾏保険の増収等により、計画対比順調に推移し同11.2%増の668億円となった。

Pure : 堅調な増収で同32.5%増の621億円となった。

 

東京海上HLD:2024年3月期予想

通期の会社計画は従前予想を維持した。

経常利益7,500億円前期比48.8%増
当期利益  5,300億円同40.8%増
EPS266.18円
一株当たり配当金121円(中間配当60.5円、期末配当60.5円)

 

アナリストによる投資判断

国内外の自然災害の発生保険金、北米でのキャピタルロスの増加、国内損保の円安の影響はあったが、自然災害による発生保険金、キャピタルロスの増加は年初予想の予算内に収まっており、国内損保の円安の影響は海外の増益効果とオフセットされる予定である。国内の新種保険の拡大、海外保険の予定を上回る好調さにより会社計画によると今期は2期ぶりに最高益を更新する予定である。海外市場で総利益の60%近くを稼ぐグローバルな保険グループと中長期的な優位性は不変であり、日銀のYCC修正で株価の上昇余地は大きいと考えている。