東京海上の株価情報

株価*

時価総額

自己資本比率

ROE

ROIC

3,500円

6.9兆円

14.6%

N/A

N/A

PER(実績)

PER(予想)

PBR

配当利回り

EV/EBITDA

18.68倍

12.05倍

1.74倍

3.46%

N/A

*株価は2023/11/17の終値。

東京海上ホールディングス:2024年3月期2Q決算結果

経常収益3兆7,441億円前年同期比10.9%増
経常利益2,759億円同126.8%増
四半期純利益2,050億円同109.4%増

2Q単独の決算結果は

経常収益1兆9,216億円前年同期比7.5%増
経常利益1,046億円黒字転換(前年同期は▲556億円)
四半期純利益771億円黒字転換(前年同期は▲432億円)

増収増益の決算であった。中間決算は経常収益は前年同期比10.9%増の3兆7,441億円、経常利益は同126.8%増の2,759億円、四半期純利益は同109.4%増の2,050億円であった。前期中間決算時は想定以上のコロナ、自然災害関連の支払い保険金の増加により前期2Qの単独決算は四半期純損益が▲432億円であったが今期は黒字を確保した。円安進行により海外のレートアップや引受拡大に牽引された決算であった。

東京海上が重要視するKPIの修正純利益は前年同期比+1,377億円増益となった。

 

各事業の事業別利益(累計)は

TMNF(東京海上日動火災保険)294億円黒字転換(前年同期は▲201億円)
AL(東京海上日動あんしん生命保険)164億円 同65.7%増
海外保険事業 2,020億円同70.9%増
その他277億円同▲7%

国内損保は自然災害(▲542億円)や円安進⾏(▲約400億円)の影響、自動⾞の損害率上昇等を主因に、Actualの事業別利益の進捗率は過去平均を下回って推移した。国内生保は円安進⾏に伴う⾦融派⽣商品費⽤の増加等により、過去5年平均進捗率を下回って推移した。海外保険事業は自然災害(▲234億円)、北⽶キャピタル損(▲約240億円)、海外ランオフ受再契約のリザーブ積増し(▲約140億円)等の影響はあるものの、主要拠点での好調な保険引受、北⽶のインカム収益の増加などで打ち返し、概ね年初計画通りに進捗した。海外主要拠点の2Q 実績は、現地計画対⽐+約140億円と計画を上回った。

2Qの自然災害の主な発生状況は 1)7月群馬・栃木雹災 249億円、2)台風2号 100億円、3)台風13号 76億円、海外ではハワイ山火事 380億円等の自然災害に係る発生保険金は前年同期比▲87億円の1,106億円(税引前)であった。

             

事業別概況

【TMNF(国内損保)】

⼀過性の影響等(国内⾃然災害・為替)を除いた事業別利益の上期進捗率は58.1% (vs 過去5年平均57.1%)であった。⾃動⾞の損害率上昇を、順調なトップライン拡大等が打ち返し、経常収益はほぼ想定通りに進捗した。

2Qの正味収入保険料は前年同期比+0.1%増の1兆1,159億円とほぼフラットであった。火災保険は22年10月改定前の契約増の反動や保険期間短縮に伴う減収はあるものの、円安の影響やインフレを踏まえた保険⾦額の増加等により、想定を上回って進捗し前年同期比▲9.9%の2,021億円であった。海上保険は物流減等によるマイナスを、円安の影響やレートアップ等が相殺し、前年同期比0.2%増の436億円であった。傷害保険はヘルスケア領域等での増収の一方、海外旅⾏保険の回復が想定を下回り、前年同期比4.2%増の1,096億円であった。自動車保険は商品改定に加え特約や⾞両保険の付帯率上昇など単価アップの取組み等により、年初予想をやや上回って進捗し前年同期比1.4%増の5,628億円であった。自賠責保険は新⾞販売台数増に伴う増収により、年初予想をやや上回って進捗したが、前年同期比▲1.5%の1,045億円であった。その他新種保険(SME・サイバー保険等)は重点取組領域での順調な増収に加え、大⼝契約による増収もあり、年初予想をやや上回って推移し前年同期比6.1%増の1,977億円であった。

国内損保事業の発生保険金(自然災害に係る発生保険金を含む)の総額は前年同期比2.3%増の7,884億円であった。

E/I損害率は、順調なトップライン拡大はあったものの、発⽣保険⾦の増加により、年初予想を上回って推移し71.1%であった。事業費率は順調なトップライン拡大等により、年初予想をやや下回って推移し31.5%であった。その結果コンバインド・レシオは前年同期比2pt低下の102.6%となった。

資産運用等損益はネット利息及び配当⾦収⼊(インカム)は前年同期比▲130億円の1,261億円であった。売却損益等計(キャピタル)は円安進⾏に伴う⾦融派⽣商品費⽤の増加により、年初予想を下回って推移した。(円安進⾏によるヘッジ対象資産の時価増加と併せると、経済価値ベースではフラット)ヘッジコストは、上期は概ね計画通りであった。政策株式売却額は960億円、売却益は800億円と、株価上昇により計画を上回って推移した。この結果資産運用等損益は前年同期比▲13.6%の1,372億円であった。

 

【AL(国内生保)】

新契約年換算保険料は、新商品の販売が概ね計画通りである⼀方、回払変額保険の販売が計画をやや下回り、通期予想を下回って推移した。円安進⾏に伴う⾦融派⽣商品費⽤の増加等により、 年初予想を下回って推移した。 (円安進⾏によるヘッジ対象資産の時価増加と併せると、 経済価値ベースではフラット)事業別利益は前年同期比▲10.6%の293億円であった。

 

【海外保険】

海外保険事業は主要拠点( PHLY、DFG、TMHCC、TMK、TMSR、Pure)を中心に好調なレートアップ等により、計画を上回って推移した。前年同期⽐では、各拠点における成⻑施策の着実な実⾏により、+8.2%の増収となり1兆4,868億円となった。

北⽶
PHLY :   出再コスト増(年初想定通り)はあるものの、好調なレートアップ(2Q実績: +9%)や新規契約の拡大により、計画を上回って推移した。正味収入保険料は前年同期比10.1%増の2,703億円となった。


DFG :  団体⽣保や就業不能保障、有給休暇補償等の引受が好調であり、計画を上回って推移し前年同期比14.4%増の2,549億円となった。


TMHCC :  好調なレートアップ(1Q実績: +10%(A&H・Surety・Creditを除く))等により、計画を上回って推移し前年同期比12.5%増の4,134億円となった。

欧州
好調なレートアップ(2Q実績: +9%)等により計画を上回って推移し前年同期比36.5%と大幅増の1,040億円となった。

中南⽶ 好調な自動⾞保険をドライバーに、計画を大幅に上回って推移し、前年同期比45%と大幅増の1,586億円となった。
 

アジア・オセアニア
マレーシア・インドの好調な自動⾞保険による増収等により、計画を上回って推移し前年同期比11.8%増の1,374億円となった。

Pure : 堅調な増収で前年同期比24%増の1,550億円となった。

上記の結果、海外保険事業の事業別利益は前年同期比70.9%増の2,020億円となった。

 

東京海上HLD:2024年3月期予想

好調な中間決算を受けて通期の業績予想を上方修正した。今期は2期ぶりに最高益を更新する予定である。

経常利益7,650億円前期比54.8%増
当期利益  5,750億円同53.5%増
EPS290.51円
一株当配当金121円(中間配当60.5円、期末配当60.5円)

 

アナリストによる投資判断

想定以上の円安の進行とレートアップにより海外保険事業に牽引された好決算であった。海外市場で総利益の約73%を稼ぐグローバルな保険グループの中長期的な優位性は不変であり、日銀のマイナス金利解除に向けて株価の上昇余地は大きいと考えている。