東京海上の株価情報

株価*

時価総額

自己資本比率

ROE

ROIC

4,405円

8.8兆円

14.8%

N/A

N/A

PER(実績)

PER(予想)

PBR

配当利回り

EV/EBITDA

23.3倍

13.01倍

1.96倍

2.75%

N/A

*株価は2024/2/15の前場の終値。

東京海上ホールディングス:2024年3月期3Q決算結果

経常収益5兆6,346億円前年同期比9.1%増
経常利益5,898億円同63.1%増
四半期純利益5,175億円同80.6%増

3Q単独の決算結果は

経常収益1兆8,905億円前年同期比7.7%増
経常利益3,139億円同30.9%増
四半期純利益2,398億円同56.2%増

増収増益の決算であった。3Q累計決算は経常収益は前年同期比9.1%増の5兆6,346億円、経常利益は同63.1%増の5,898億円、四半期純利益は同80.6%増の5,175億円であった。海外のレートアップや引き受け拡大、国内の自動車保険等の増収があり、国内外でのコロナ保険金の反動、海外主要都市における保険引き受け利益及びインカム収益の増加、政策株式売却益の増加等で大幅増益となった。

 

各事業の事業別利益(累計)は

TMNF(東京海上日動火災保険)961億円前年同期比52.5%増
AL(東京海上日動あんしん生命保険)240億円 同56.6%増
海外保険事業3,008億円同60.6%増
その他*994億円同59.8%増

* TMNF以外の国内損保や⾦融その他事業、政策株式売却損益など

国内損保の3Q実績は、自動⾞保険やその他新種保険の増収が想定通りに進捗した一方、旅⾏保険の回復が想定を下回ったことを主な要因として前年同期比91.6%と11月予想時を下回った。一過性の影響等を除いた事業別利益(損害調査費含む)は進捗率82.9%と同じく11月予想時を下回った。前年同期比では、増収による増益効果や自然災害の減少等により、+300億円の増益であった。

国内生保事業の保険料収入は新契約年換算保険料は、回払変額保険の販売下振れや、保障性商品の競争激化による第三分野の減速等により11月予想を下回って推移したが、事業別利益はDelphi Financial Group委託分の運用収益を考えると11月予想通りに進捗しており+87億円の増益であった。

海外保険事業に関しては3Q実績は、ほぼ全拠点において11月予想を上回って進捗した。前年同期比では、北⽶キャピタル損増加(▲約480億円)や海外ランオフ受再契約のリザーブ積増し(▲約240億円)、自然災害の増加(▲約220億円)を、各拠点の好調な業績や台湾コロナの反動(+約740億円)、円安進行(+約90億円)で打ち返し、事業別利益は+1,135億円と大幅増益となった。

             

事業別概況

【TMNF(国内損保)】

3Qの正味収入保険料は前年同期比+0.9%増の1兆8,079億円と微増であった。火災保険はこれまでの商品・料率改定効果の発現等により、概ね想定通りに進捗。前年増減率の3Q実績が通期予想を下回っているのは、2022年10月料率改定前の駆け込みの反動によるもので同▲2.4%の3,124億円であった。海上保険は物流の減少等をレートアップ等で打ち返し、概ね想定通りに進捗し同1.0%増の624億円であった。傷害保険はヘルスケア領域等での増収の⼀方、旅⾏保険の回復が想定を下回り、11月予想をやや下回って進捗し同4.2%増の1,498億円であった。自動車保険は2023年1月商品改定や特約付帯による単価アップの取組み等により、概ね想定通りに進捗し同1.7%増の8,472億円であった。自賠責保険は2023年4月の料率引下げ(▲11.4%)効果の発現等により概ね想定通りに進捗し同▲4.5%の1,513億円であった。その他新種保険は賠償責任保険を中心とした増収により、概ね想定通りに進捗し同3.7%増の2,845億円となった。

国内損保事業の発生保険金(自然災害に係る発生保険金を含む)の総額は前年同期比4.0%増の1兆1,073億円であった。

E/I損害率は、円高に伴う外貨建⽀払備⾦積増の減少の⼀方、⽕災・その他新種保険の⼤口事故の影響等もあり、11月予想をやや上回って進捗し66.2%であった。事業費率は社費率(10.9%)、手数料率(20.5%)ともにインラインで進捗し31.4%であった。その結果コンバインド・レシオは前年同期比0.5pt低下の97.7%となった。

資産運用等損益はネット利息及び配当⾦収⼊(インカム)は11月予想に対し順調に進捗し、前年同期比308億円の2,061億円であった。外国その他インカムの進捗率が低いのは、DFG委託分4Q中心に計上される事による。売却損益等計(キャピタル)は12月末為替が11月予想対比円高となり、「為替差益の減少」を上回る「⾦融派生商品費用の減少」が生じたため、11月予想をやや上回って進捗した。ヘッジコストは、概ね計画通りであった。政策株式売却額は1,510億円、売却益は1,290億円と順調であった。この結果資産運用等損益は前年同期比363億円増の2,431億円であった。

 

【AL(国内生保)】

新契約年換算保険料は、回払変額保険の販売下振れや、保障性商品の競争激化による第三分野の減速等により、11月予想を下回って推移し、前年同期比▲20億円の360億円であった。しかし、事業別利益はDFG委託分の運用収益は4Q中心に計上される事を考慮すると、11月予想通りに進捗しており同87億円増の240億円であった。

 

【海外保険】

海外保険事業は主要拠点( PHLY、DFG、TMHCC、TMK、TMSR、Pure)を中心に好調なレートアップ等により、計画を上回って推移した。前年同期⽐では、各拠点における成⻑施策の着実な実⾏により、+6.7%の増収となり2兆3,514億円となった。

北⽶
PHLY :   出再コスト増(年初想定通り)はあるものの、好調なレートアップ(3Q実績: +9%)や新規契約の拡大により、計画を上回って推移した。正味収入保険料は前年同期比9.3%増の4,560億円となった。


DFG :   損保(エクセス労災)・生保(就業不能保障・有給休暇補償・団体生保)共に、 良好なレート⽔準のもとで、引受拡⼤できており、基調は好調であり、正味収入保険料は同13.6%増の4,188億円であった。


TMHCC :  メディカルストップロス保険や⽶国外ビジネスを中心に、好調なレートアップ(3Q実績:+6%(A&H・Surety・Creditを除く))と引受拡大により基調は好調で、正味収入保険料は同7.8%増の6,488億円となった。

欧州
ロイズ事業において好調なレートアップ(3Q実績: +9%)と引受拡大により好調で、正味収入保険料は同36.3%増と大幅増の1,644億円となった。

中南⽶ 

下期は自動⾞保険の競争激化による料率引下げ圧⼒があるものの、上期までの好調なレートアップと引受拡⼤により、計画通りに進捗し、正味収入保険料は同31.4%増の2,394億円であった。

 

アジア・オセアニア
経済活動の復調により、自動⾞保険・海外旅⾏保険を中心に、基調は順調で正味収入保険料は同9.7%増の2,054億円となった。

Pure 

堅調な増収で前年同期比20.9%増の2,431億円となった。

上記の結果、海外保険事業の事業別利益は同60.6%増の3,008億円となった。

東京海上HLD:2024年3月期予想

好調な決算を受けて東京海上は中間決算に続き二度目の業績予想上の方修正をした。今期は2期ぶりに最高益を更新する予定である。

経常利益8,200億円前期比65.9%増
当期利益  6,700億円同78.9%増
EPS338.51円
一株当配当金121円(中間配当60.5円、期末配当60.5円)

 

アナリストによる投資判断

国内外でのコロナ保険金の反動、国内の自動車保険の増収、海外保険事業のレートアップ、引受拡大により牽引された好決算であった。なお3Qは円高にふれたので海外保険事業の事業別利益のグループへの貢献割合は2Qの73%から58%に低下した。金利動向については米国が金融緩和に転じるのが後ろ倒しになっており、日銀のマイナス金利解除については不透明要素が大きいが、東京海上のグローバルな保険グループとしての優位性は不変である。