株価* | 時価総額 | 自己資本比率 | ROE | ROIC |
5,800円 | 11.15兆円 | 16.3% | 20.6% | N/A |
PER(実績) | PER(予想) | PBR | 配当利回り | EV/EBITDA |
10.7倍 | 12.0倍 | 2.2倍 | 3.62% | N/A |
*株価は2025/5/20の終値。
東京海上ホールディングス:2025年3月期通期決算結果
経常収益 | 8兆4,401億円 | 前期比13.7%増 |
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経常利益 | 1兆4,600億円 | 同73.3%増 |
当期純利益 | 1兆553億円 | 同51.7%増 |
4Q単独の決算結果は
経常収益 | 2兆1,904億円 | 前年同期比22.4%増 |
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経常利益 | 2,409億円 | 同▲4.7% |
四半期純利益 | 1,601億円 | 同▲10.2% |
東京海上の2025年3月期通期決算結果は二期連続最高益を更新した。経常収益は前期比13.7%増の8兆4,401億円、経常利益は同73.3%増の1兆4,600億円、当期期純利益は同51.7%増の1兆553億円であった。
通期の修正純利益(除く政策株式売却益)は6,089億円。2月公表の通期予想に対してJapan P&Cにおいて円高進行の影響等により279億円上振れて着地した。(対前期では+6%増)一過性の影響を除いたNormalizedベースは6,790億円と2月時予想通りに着地した。対前期では+14%増とInternational主要拠点の好調や、Japan P&Cにおけるレートアップや大口事故の減少、為替がポジティブに影響した事等により、高い成長を実現した。(2024年度の為替変動を除くと+5%増)
上記に加え、政策株式売却額が9,220億円と、2月予想対比+100億円上振れた結果、当該売却益を含めた修正純利益(Actualベース)は、1兆2,150億円(2月予想対比+350億円、対前期+71%)となった。
通期の各事業の事業別利益(含政策株式売却益)は
Japan P&C事業 | 1,269億円 | 前期比25.1%増 |
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Japan Life事業 | 419億円 | 同1.9%増 |
International事業 | 4,782億円 | 同6.6%増 |
その他* | 6,176億円 | 同368%増 |
* TMNF以外の国内損保や⾦融その他事業、政策株式売却損益など
その他の事業利益6,176億円のうち6,061億円は政策株式売却益であった。
Japan P&C事業は北⽶賠責に係る過年度リザーブ積増し(▲310億円)、自然災害予算の引上げ(▲120億円)、自動⾞損害率上昇(レートアップ等により一部打ち返し▲110億円)を、前年の円安進⾏の反動*3(+508億円)や、大口事故減少等(+190億円)、⽕災の商品・料率改定効果(+130億円)等が上回り前期比255億円増となった。
Japan Life事業の事業別利益は、トップライン減少に伴う初年度負担の減少等により前期比55億円増となった。
International事業は⾦利低下等に伴うアジア生保の減益(▲210億円)、過年度リザーブ取崩しの減少(23年度:+300億円⇒24年度:+80億円、▲220億円)を、主要拠点(PHLY、DFG、TMHCC、TMK、TMSR、Pure)の好調な保険引受やインカム収益、円安進⾏(+429億円)等が打ち返し前期比297億円増となった。
事業別概況
【Japan P&C事業】
事業別利益は、大⼝事故の減少やインカム増加の一⽅、北⽶賠責に係る過年度リザーブ積増や⾃動⾞保険の損害率悪化等により、11月予想対比▲110億円の1,269億円で着地した。2月公表対比では、円⾼進⾏の影響(+約140億円)や税制改正の影響(一過性)等により+239億円上振れとなった。前期比では損害率悪化の影響を円高進行や商品・料率改定効果等が打ち返し255億円増となった。
11月予想の保険引受利益を▲348億円下回ったのは以下の要因である。
北⽶賠責に係る過年度リザーブ積増(▲約360億円)、LA山⽕事の影響(▲約160億円)※海外源泉のため事業別利益からは控除、自動⾞保険の損害率悪化(▲約140億円)※自動⾞保険の損害率は、2月公表対⽐では想定通りに着地。
上記マイナス要因を大口事故の減少を中⼼とした発生保険⾦の減少(新種保険・⽕災保険の合計で+約390億円が相殺した。
正味収入保険料は新種保険の大口契約による増収により11月予想をやや上回る2兆3,281億円(⺠保計)で着地した。前期比では上記に加え、⾃動⾞保険・火災保険の商品・料率改定効果の発現等により+4.9%の増収となった。
発生保険金は11月予想対比では、北⽶賠責に係る過年度リザーブ積増や⾃動⾞保険の損害率悪化を主因に、+554億円で着地した。対前期では上記要因の一⽅、為替の変動に伴う外貨建⽀払備⾦積増の減少(▲417億円)等により、+218億円の増加に留まった。
E/I損害率は、発⽣保険⾦の増加により11月予想を上回り64.5%となり、事業費率は、11月予想通りの31.6%の着地となり、その結果、コンバインド・レシオは11月予想を上回り96.1%となった。対前期では為替の変動に伴う外貨建⽀払備⾦積増の減少等によりE/I損害率が低下し、コンバインド・レシオは低下した。
資産運用等損益はネット利息及び配当⾦収⼊(インカム)は海外子会社からの受取配当⾦上振れを主因に、11月予想を上回り3,972億円(前期比1,392億円増)となった。売却損益等計(キャピタル)は政策株式売却額は約9,220億円(11月予想対⽐+約1,720億円)、売却益は約8,220億円(同+約1,310億円)と、11月予想を上回り7,195億円(前期比6,164億円増)となった。ヘッジコストは計画対⽐減少、11月予想時点からの円安進⾏による「⾦融派生商品費⽤」の増加は、「為替差益」の増加と相殺された。
【Japan Life事業】
新契約年換算保険料は、保障性商品の販売下振れを主因に11月予想を下回り前期比▲8%の452億円となった。新契約年間換算保険料は同▲2.1%の7,635億円であった。トップラインの下振れに伴う初年度負担の減少により事業別利益は11月予想を上回り同2.0%増の419億円となった。
【International事業】
海外保険事業は主要拠点( PHLY、DFG、TMHCC、TMK、TMSR、Pure)における成長施策の着実な実行により正味収入保険料は前期比6.6%増の3兆3,672億円となった。CREローン(商業用不動産ローン)に係るCECL引当を中心としたキャピタル損▲約560億円であった。
北⽶
PHLY : 好調なレートアップ(2024通期実績: +11%増)や引受拡大により増収を実現した。自然災害の増加や過年度リザーブ取崩しの減少、CREローンに係るCECL引当等により減益となったが、除く自然災害の保険引受やインカム収益は引き続き好調であった。
DFG : 損保(エクセス労災)・生保(就業不能・団体生保)共に順調に引受拡大し、増収を実現した。過年度リザーブ取崩しの減少やCREローンに係るCECL引当等により減益となったが、除く過年度リザーブの保険引受やインカム収益は引き続き好調であった。
TMHCC : 想定通りD&OやCyberを含む、Financial Lineのソフト化影響により、レートアップは鈍化したが(2024年通期実績:+1%(A&H・Surety・Creditを除く))、A&H (メディカルストップロス)や⽶国外ビジネスを中⼼に引受拡大し、増収を実現した。好調な保険引受やインカム収益により過去最⾼益を記録した。
欧州:想定通り一部種目でソフト化の傾向は⾒られたが、賠責種目などの引受拡大により増収を実現した。過年度の個別大口事案に係るリザーブ積増し(一過性)等により減益となったが、当該影響を除いた保険引受やインカム収益は引き続き好調であった。
中南⽶:厳しい価格競争の中でも自動⾞保険を中⼼に計画を上回り、増収を実現した。好調な保険引受やインカム収益により、除く為替では増益であった。
アジア・オセアニア:シンガポールやマレーシア等で自動⾞保険を中⼼に引受拡大したが、インドにおける自動⾞保険の減収により全体では減収であった。前年度の台湾コロナリザーブ取崩しの反動等により除く為替では減益となったが、シンガポールやマレーシア等では過去最⾼益を記録した。
Pure: 堅調なトップライン成⻑によるフィー収⼊の増加により増益となった。
東京海上HLD:2026年3月期会社予想
今期は減益を予想している。しかし、配当は増配予定である。
経常利益 | 1兆2,700億円 | 前期比▲13% |
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当期純利益 | 9,300億円 | 同▲11.9% |
EPS | 483.65円 | |
一株当配当金 | 210円(中間配当105円、期末配当105円) |
アナリストによる投資判断
今期の会社計画は減益予想であるが、やはり懸念は北米でのCREローンである。財政懸念を受けて米長期金利は上昇しており、借り換えが難しくなる事が予想され、デフォルト率は更に高まるリスクがあり、ここから株価が大きく上昇するのは難しいと感じている。