【スクウェア・エニックスの決算ポイント】

今期は資産売却でEPSへかなりの上乗せが!

スクウェア・エニックスの株価情報

株価

(2022/8/19)

時価総額

自己資本比率

ROE

ROIC

6,290円

7,526億円

76.7%

17.8%

14.0%

PER(実績)

PER(予想)

PBR

配当利回り

EV/EBITDA

14.74倍

N/A

2.63倍

N/A

N/A

*注:スクウェア・エニックスは今期 Embracer Group ABに海外のスタジオ及び一部IPを売却予定のために業績への影響を精査する必要があることから、未定とし業績予想及び配当予想は発表していない。

スクウェア・エニックス:2023年3月期1Q決算結果

売上高749億円前年同期比15.5%減
営業利益144億円 同16.7%減
四半期純利益183億円 同45%増

売上、営業利益は減少したものの営業外収益で為替差益を130億円計上した事により四半期純利益は前年同期比45%増となった。営業利益率は同0.6pt低下し19.3%となった。デジタルエンタテインメント事業のHDゲーム(ハイ・デフィニション・ゲーム)の新作タイトルによる収益が前年同期から52%減少と大幅減であった事の影響が大きかった。

デジタルエンタテインメント事業(HDゲーム、MMO、スマートデバイス、PCブラウザーゲーム)の売上高は前年同期比23.3%減の536億円、セグメント利益は同17.5%減の141億円だった。内訳はHD(High-Definition:ハイディフィニション)ゲームが同52%減の120億円、スマートデバイス、PCブラウザーゲームが同17.3%減の273億円、MMOは同21.6%の141億円だった。HDゲームは複数の新作タイトルを投入したものの不調で大幅減であった。MMOは「ファイナルファンタジーXIV」の課⾦会員数が前年⽐で増加し増収となった。スマートデバイス・PCブラウザ等をプラットフォームとしたコンテンツに関しては、4月にサービスを開始した「聖剣伝説 ECHOES of MANA」が堅調な滑り出しを切ったものの、既存タイトルの弱含み等により減収となった。


アミューズメント事業に関しては、既存店売上高が前年を大幅に上回ったことにより、増収増益となった。アミューズメント事業の売上高は前年同期比26.7%増の119億円、セグメント利益は同231%増の11億円だった。

出版事業では昨年は紙媒体で大ヒット商品があったために前年比減となり減収減益となった。出版事業の売上高は前年同期比13.6%減の63億円、セグメント利益は同23.1%増の122億円となった。

ライツ・プロパティ等事業は有力IPにかかる新規キャラクターグッズの販売が好調であったものの、商品別の売上構成比が変化したこと等により、増収減益となった。ライツ・プロパティ事業売上高は前年同期比31.9%増の37億円、セグメント利益は同8.1%減の8億円となった。

 

スクウェア・エニックス:2023年3月期予想

スクウェア・エニックスは今期の業績予想に関しては資産売却からの影響を精査し、算定が可能となり次第発表するとしている。

アナリストによる投資判断

為替に助けられて増益となり、決算内容はぱっとしないものであったが、決算発表の翌日の8月5日に株価は前日終値比11%上昇した。Embracer Group ABに海外のスタジオ及びIPの売却予定しているが、売却金額が3億米ドル(約400億円)であり、かなりEPSを押し上げる事になるだろう。上場ゲーム会社の中でブロックチェーン事業にいち早く着手し、また事業ポートフォリオの再編に取り組むスクエア・エニックスの経営姿勢は競合よりも高く評価されて然るべきであると考える。現在の株価でPBRは2.63倍。

執筆日:2022年8月19日

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執筆者プロフィール

株式会社pafin 

マーケットアナリスト 西村 麻美

西村麻美/mami.png

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。

 

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