執筆:西村 麻美

 

【銘柄注目ポイント!】

会計上の資産の耐用年数の変更により今期は売上、営業利益ともに二桁増を会社は予想!!

株価
(2022/8/16)
時価総額(百万ドル)自己資本比率ROEROIC
292.71USD2,180,000百万USD45.6%47.15%30.69%
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR配当利回りEV / EBITDA
30.41倍28.6倍13.14倍0.85%21.4倍

 

2022年4Q決算結果

Microsoftの2022年4Q決算(2022年4~6月期)結果は

総売上高518億6,500万ドル(約7兆900億円、前年同期比12%増、前四半期比5%増
営業利益205億3,400万ドル(同8%増、同0.8%増
四半期純利益167億4,000万ドル(同2%増、同0.07%増
希薄化後EPS2.23ドル(弊社予想2.38ドル

2022年6月期通期決算結果は

総売上高1,982億7,000万ドル(前年同期比18%増
営業利益833億8,300万ドル(同19%増
当期純利益727億3,800万ドル(同3%増
希薄後EPS9.65ドル 

売上、利益ともに市場予想を下回る決算だったものの売上は4Qとしては過去最高を記録した。ドル高の4Qの総売上高への影響は▲5億9,500万ドル、EPSへの影響は▲0.04ドルだった。

4Qの営業利益率は1.8pt低下し39.6%であった。5月まで続いた中国でのロックダウンに伴うPC生産停止により、Windows OEM事業に▲3億ドルの影響があった。西側主要国の経済悪化により広告主の企業は広告費を削減しており、LinkedIn、Bing Search、MSNニュースの売上への影響は合わせて▲1億ドルであった。長引くロシア、ウクライナの戦争によりマイクロソフトはロシアでの事業の縮小を決定し、貸倒費用、資産減損、退職費用として1億2,600万ドルの営業費用を計上した。

また全社の事業再編の一環として1億1,300万ドルの従業員退職費用を計上した。

 

セグメント別では3Qに続きIntelligent Cloud事業の売上が前年同期比20%増の209億ドルと伸び率が一番高かった。クラウド・コンピューティングの”Azure”と他のクラウド・サービスの売上の伸びが同40%増(ドル換算の前段階で46%増)と貢献した。

 

4Qの投資家還元は自社株買いにより78億ドル、配当金により46億ドル、計124億ドルであった。

 

セグメント別内訳


 

 

Productivity & Business Processes事業

法人および個人顧客向けの”Office”、”Office 365”、”Dynamics”と”Dynamics CRM Online”等。

セグメント売上高166億ドル(前年同期比13%増
セグメント利益72億3,400万ドル(同12%増
セグメント利益率43.6%(同0.2pt低下

 

Inteligent Cloud事業

”Windows Server” ”SQL Server””System Center” ”Azure””Enterprise Services”などのサーバ製品およびサービス等。

セグメント売上高209億900万ドル(前年同期比20%増
セグメント利益82億8,100万ドル(同11%増
セグメント利益率41.5%(同3.3pt低下

 

More Personal Computing事業

”Windows”OSのライセンス収入、”Surface”や等のデバイス類、”Xbox”などのゲーム製品等。

セグメント売上高143億5,600万ドル(前年同期比2%増
セグメント利益46億1,900万ドル(同5%減
セグメント利益率32.2%(同2.4pt低下

 

決算発表後のWebcastでの説明会上で今期(2023年6月期)はクラウド事業に使用されているサーバーとネットワーク機器の会計上の耐用年数を4~6年延長すると発表した。この変更は2022年6月30日付のB/S上の資産に適用される。

この会計上の変更により減価償却費の計上金額が今までより低くなるために2023年通期の営業利益への影響はプラス37億ドル、1Qの営業利益への影響はプラス11億ドルになるとCFOが発表した。

1Qの事業セグメント別の売上のガイダンスであるが、Productivity and BusinessProcess事業が159億5,000万~162億5,000万ドル、Intelligent Cloud事業が203億~206億ドル、More Personal Computing事業が130億~134億ドルである。

1Qの売上原価は149億~151億ドル、営業費用は133億~134億ドルの予定である。実効税率は19%の予定である。

 

投資判断

7月26日の決算発表後に会計上の変更による営業利益への大幅なプラスな影響が好感されて時間外取引で株価は5%上昇した。

ドル高のネガティブな影響は逃れられないが、マイクロソフト社は他の大手IT企業と違い一部の商品を除きサプライチェーン、半導体不足に影響されないオンラインでダウンロードできるソフトウェア商品が殆どであり、ゲーム商品を除きほぼ全てが仕事用のソフトウェアやサービスであるためにマクロ環境の悪化に影響されづらい企業だと考えている。

決算発表後はナスダック指数の回復とともに株価も上昇基調である。

今期のアナリスト予想平均のEPSで予想PERは28.3倍と他の大手IT企業よりもやや割高であるが、景気悪化局面でも影響されづらい企業であるためにバリュエーションにプレミアムがついて然るべきであると思われる。

 

業績推移

(Microsoft社の決算資料を基に株式会社pafin作成)

 

業績予想

(Microsoft社の決算資料を基に株式会社pafin作成)

 

投資アイデア

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プロフィール

西村麻実 / MamiNishimura

株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。 
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。

 

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