執筆:西村 麻美

株価
(2020/11/09)
時価総額自己資本比率ROEROIC
5,290円2,385億円40.1%3.4%3.94%
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR配当利回りEV / EBITDA
58.05倍38.14倍2.91倍0.66%5.8倍

 

2021年3月期第二四半期決算

インターネットイニシアティブ(IIJ)の2020年3月期上期決算結果 

売上高1,016億円(前年比2.5%増⤴
営業利益52億円(同56.3%増⤴
上半期純利益27億円(同57.7%増⤴

増収増益の好調な決算だった。コロナ禍をきっかけとしたIT利活用の本格化のなか法人ストック売上(法人インターネット接続(MVNEを除く)、アウトソーシング、SI運用保守の合計額)の増収増益、IoT関連の案件の継続増、SI事業の復調で大幅増益となった。

 

営業利益の増益幅に比べて増収幅が低いのは、前期のWANサービスの大口特定顧客のモバイル移行による減収とATM運営事業の減収によるものである。

セグメント別では

ネットワークサービス 売上高621億円(前年同期比1.5%増)売上総利益122億円(同21.5%増)
システム・インテグレーション 売上高381億円(同6.3%増)売上総利益 47億円(同14.5%増)
ATM運営事業 売上高13億円(同33.6%減)売上総利益 4.7億円(同51.8%減)

大幅増益した営業利益の増減分析であるが、法人ネットワークサービスの粗利増により21.6億円増、SI粗利増により6億円増、販管費減により3.7億円増、ATM粗利減により5.1億円減少と計18.9億円の増加だった。

持分法適用会社のディーカレット(出資比率41.6%)は5億7,800万円の損失だった。同じく持分法適用会社のJOCDN(出資比率16.8%)は黒字転換し、上半期は600万円の利益を計上した。

 

2021年3月期見通し

上半期決算が終了し、IIJは2021年3月期通期の業績予想を上方修正した。売上高を20億円増、営業利益を26億円増、当期利益を11億円増とした。

通期計画

売上高2,120億円(前年比3.7%増⤴
営業利益113億円(同37.4%増⤴
当期利益61億円(同52.2%増⤴

業績予想の前提は、法人ストック売上予算超過、個人向け売上は期初見込み比弱含み推移とし、ネットワークサービスの粗利益大幅増、SI粗利益増、販管費減としている。

ディーカレットについては出資比率を30.0%から41.6%に増やしたために損失計上額が増加予定で9億円の損失を計上する予定である。

配当については好業績により期初予想の中間配当17.0円、期末配当17.0円から上方修正し、中間配当20.50円、期末配当20.50円とした。

また、2020年12月31日の株主に対し2020年1月1日付で1対2の株式分割を行うと発表した。

 

アナリストによる投資スタンス

株価バリュエーションは今期予想PERが38.14倍、PBRが2.95倍、EV/EBITDAが5.8倍と割高感は全くない。

 

プロフィール

株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。 
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。

 

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