執筆:西村 麻美

BASEの株価情報


【銘柄注目ポイント!】

中小事業者向けのECプラットフォームで圧倒的な強さ。


株価
(2021/11/8)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
881円 976億円 54.5% 3.7% 4.0%
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR 配当利回り EV / EBITDA
N/A N/A 6.18倍 N/A N/A


2021年12月期第3四半期決算

BASEの2021年12月期第3四半期決算(累計)の結果は

売上高71億7,600万円(前年同期比19.7%増
営業損益▲4億9,000万円(赤字転落)
四半期純損益▲4億6,700万円(赤字転落)

第3四半期単独の結果は

売上高24億9,200万円(前年同期比7.7%増
売上総利益13億8,800万円(同0.3%減
販管費16億800万円(同87.4%増
営業損益▲2億2,000万円(赤字転落)
四半期純損益▲2億2,100万円(赤字転落)

第3四半期連結累計期間におけるGMV(流通総額)は820億円(注文ベース、前年同期比18.9%増)、767億円(決済ベース、同21.4%増)となった。流通総額の成長により、売上高及び売上総利益は増加した一方で、主に購入者手数料の減少により、テイクレートは前年同期の8.4%からは0.5pt低下の7.9%であった。しかし、前四半期比では横ばいであった。販管費の大幅増加に関しては期初からの計画通りでプロモーションや人材採用の先行投資の為であるが、営業段階で赤字に転落した。

セグメント別の内訳は以下の通りである。(累計)


BASE事業

売上高61億1,400万円(前年同期比22.9%増)
セグメント損益▲2億7,100万円(前年同期は13億7,600万円)
GMV820億円(注文ベース、前年同期比18.9%増)767億円(決済ベース、同21.4%増)


PAY事業

売上高10億2,400万円(前年同期比60.1%増)
セグメント損益▲4,100万円(前年同期▲7,200万円)
GMV389億円(前年同期比60.7%)


その他事業(YELL BANK等)

売上高3,800万円(前年同期比97.0%増)
セグメント損益▲4,600万円(前年同期▲4,600万円)

BASE事業では、月間売店数が60,000ショップを突破し、引き続きGMVの成長をけん引している。累計では2021年9月に160万ショップを突破した。GMVのCAGR(5年間の年平均成長率)は65.7%と高い成長を維持している。第三四半期の月間売店数は前年同期比10,000ショップ増(同20.4%増)であった。月間GMVは93億円と第二四半期から変わらずだったが、1ショップあたり月間平均GMVは第二四半期の159,000円から5千円低下の154,000円であった。売上総利益率は原価率の増加により前年同期比2.4pt低下の63.7%であった。

BASE事業の第三四半期の事業トピックスは、Google商品連携、広告Appで、BASEのショップが、管理画面から広告出稿することが可能になった。Google商品連携 Appをアップデートし、広告出稿機能を追加した。また、TikTokとの連携を発表した。また、再入荷自動通知 Appを提供開始し、大規模ショップの業務効率化をサポートした。関西圏初となる常設の出品型委託販売スペース「THE BASE MARKET」をオープンした。ひとりでショップを運営しており、店頭に立つことが難しいショップオーナーでも利用可能になった。ブランドの認知向上や新規顧客の獲得などの商機の拡大を、リアル店舗を通じてサポートする。

PAY事業の第三四半期単独の結果は既存加盟店の継続的な成長により、売上高は前年同四半期比55.9%増の3億8,400万円、売上総利益は同54.5%増の3,800万円、売上総利益率は前四半期比0.2pt増の9.9%であった。


2021年12月期予想

2021年12月期通期の予想は従前予想を据え置いた。

売上高 97.5~105億円(前期比17.6~27.1%増)
売上総利益56~61億円(同12.5~22.6%増)
販管費70億円(同68.2%増)
営業利益▲14~▲9.3億円
当期利益▲14~▲9.3億円

2021年12月期に関しては引き続きBASE事業はロングテール市場で中小事業者向けに注力する方針。ストアフロント型EC市場において、個人及びSMBを対象とするロングテール市場は、大規模なショップを対象とする市場と比べ、より高いGMV成長率やテイクレートを期待できる市場であり、BASEはこのロングテール市場において、国内最大のシェアを占めている。

短期的な利益ではなく、中長期の利益成長を目指していくための先行投資、特に更なる認知度向上と新規ショップ獲得のための広告宣伝を強化する予定でいる。また、サービス拡大のためにプロダクト人員の採用増も予定している。先行投資は規律を持って実行し、営業損益(プロモーション費除く)の黒字は確保の予定。また、中長期の成長に向けた戦略的な出資やM&Aを検討している。


アナリストによる投資スタンス

2021年11月4日の決算発表以来下げ基調である。昨年とは違いマザーズ銘柄はあまり評価されておらず、先行投資の為に営業赤字の銘柄は売られる傾向にある。株価バリュエーションは2021年12月期に関しては赤字予想のために予想PER、EV/EBITDAの算出はできないが、PBRは6.18倍と以前よりは下がったものの割高な印象がある。BASEは中小事業者向けのECのロングテール市場で圧倒的な強さで拡大しており長期的な成長ストーリーは不変である。


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プロフィール

西村麻実 / MamiNishimura
株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。


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