執筆:西村 麻美

株価
(2020/11/06)
時価総額自己資本比率ROEROIC
6,470円7,722億円72.9%6.94%8.19%
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR配当利回りEV / EBITDA
36.19倍32.16倍3.35倍0.94%16.75倍

■2021年3月期第二四半期決算 

スクエア・エニックスの2021年上期(4~9月)決算の結果は

売上高1,727億円(前年同期比43%増⤴
営業利益316億円(同98.9%増⤴
上半期純利益160億円(同43.3%増⤴

増収増益の好決算だった。営業利益率は売上増とデジタル販売比率の上昇により前年同期比5.1pt改善し18.3%となった。デジタルエンタテインメント事業の販売本数は1,208万本でディスク販売が604万本、ダウンロード販売が605万本だった。

デジタルエンタテインメント事業はHD(High-Definition:ハイディフィニション)ゲームにおいては、「FINAL FANTASY VII REMAKE」「Marvel’s Avengers(アベンジャーズ)」等の大型タイトルの発売があったことに加え、カタログタイトルの販売が好調に推移したこと、ライセンス収入等により、前年同期比で増収、黒字転換となった。

MMO(多人数参加型オンラインロールプレイングゲーム)においては、前年同期に「ファイナルファンタジーXIV」拡張版ディスクの発売があったため減収となったものの、同タイトルの月額課金会員数が前年同期比で増加したことにより増益となった。デジタルエンタテインメント事業の売上高は1,424億円(前年同期比66.8%増)となり、営業利益は338億円(前年同期比102.7%増)となった。

アミューズメント事業は緊急事態宣言解除後に店舗休業を終了したが、売上は思ったように回復せず、139億円(前年同期比39.0%減)となり、営業損失は16億円(前年同期は営業利益1,330百万円)となった。

出版事業はマンガアプリの「マンガUP!」や電子書籍等のデジタル媒体での販売が大幅に増加し、また紙媒体での販売も好調に推移し、前年同期比で増収増益となった。売上高は123億円(前年同期比36.5%増)となり、営業利益は53億円(前年同期比66.9%増)となった。

ライツ・プロパティ等事業は自社コンテンツのキャラクターグッズ、サウンドトラックの販売等が好調に推移し、の売上高は48億円(前年同期比6.6%増)となり、営業利益は15億円(前年同期比142.1%増)となった。

 

2021年3月期予想

2021年3月期上期決算が終わり今まで未公表だった通期予想を公表した。

売上高2,900億円(前年同期比11.3%増⤴
営業収益400億円(同22.1%増⤴)
当期利益240億円(同12.4%増⤴)

通期の営業利益予想額が400億円だが、そのうち既に80%近くを上半期に達成しており比較的保守的な業績予想の印象を受ける。

 

アナリストによる投資スタンス

株価バリュエーションは予想PERが32.16倍、PBRが3.35倍、EV/EBITDAが16.75倍と任天堂に比べると割高に感じる。

 

プロフィール

株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。 
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。


 

 

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