執筆:西村 麻美

スクウェア・エニックスの株価情報


株価
(2021/11/18)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
6,660円 7,962億円 75.4% 10.5% 11.1%
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR 配当利回り EV / EBITDA
29.5倍 33.1倍 3.1倍 0.91% 13.8倍


2022年3月期第2四半期決算

スクウェア・エニックスの2022年3月期の第2四半期の決算(累計)結果は

売上高1,689億円(前年同期比2.2%減
営業利益291億円(同7.9%減
四半期純利益229億円(同43.3%増

減収増益決算であった。売上高、営業利益は減少したが、営業外収益で有価証券運用益を7億9,000万円、暗号資産売却益を5億6,700万円を計上し、また特別利益として関係会社の株式売却で3億4,400万円を計上した事などから四半期純利益は前年同期比増となった。

デジタルエンタテインメント事業の売上高は前年同期比9.1%減の1,294億円、セグメント利益は同12.8%減の295億円だった。内訳はHD(High-Definition:ハイディフィニション)ゲームが395億円、スマートデバイス、PCブラウザーゲームが622億円、NMO(多人数参加型オンラインロールプレイングゲーム)は277億円だった。複数の新作タイトルを投入したものの前期に発売したHDゲームの⼤型タイトル「FINAL FANTASY VII REMAKE」に及ばず前年同期⽐で減収減益だった。MMOでは、「ファイナルファンタジーXIV」の月額課金会員数が大幅に増加したことにより、前年同期比で増収となった。スマートデバイス・PCブラウザ等をプラットフォームとしたコンテンツに関しては、既存タイトルが弱含んだこと等により、前年同期⽐で減収だった。

アミューズメント事業に関しては、前年同期は政府の緊急事態宣言発出を受け、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策として、6月中旬まで店舗を臨時休業した影響が大きかったために前年同期比で増収、黒字転換した。アミューズメント事業の売上高は前年同期比51.3%増の211億円、セグメント利益は同6億5,300万円だった。(前年同期は▲16億2,300万円)

出版事業は電⼦書籍等のデジタル販売が増加、また紙媒体の販売も好調なため、前年同期⽐で増収増益だった。売上高は前年同期比14.3%増の141億円、セグメント利益は同11.4%増の59億円となった。

ライツ・プロパティ等事業は有⼒IPの新規キャラクターグッズ販売が好調により、前年同期⽐で増収増益となった。売上高は前年同期比20.7%増の58億円、セグメント利益は同17.5%増の18億円となった。


2022年3月期予想

2022年3月期の業績予想は従前予想を維持した。

売上高3,400億円(前期比2.2%増
営業利益400億円(同15.2%減
当期利益240億円(同10.8%減

減益予想をしている。新作はHDゲームで、10月に全世界で「Marvel‘s Guardians of the Galaxy」の発売、来年2月にDragon Quest X等の発売を予定している。また、MNOで「ファイナルファンタジーXIV」、「Dragon Quest X online」の拡張パッケージを第三四半期に発売を予定している。

中期事業戦略として新規領域のNFTデジタルカード「資産性ミリオンアーサー」を正式に10月半ばにリリースした。これはNFTとスクエニ社の事業アセットを組み合わせることでどのようなシナジーが⽣まれるのかの実証実験の「NFTデジタルカード」から着⼿した。今後は本格的な事業化フェーズに移行する。また、ブロックチェーンゲームへの本格参入を検討している。


アナリストによる投資スタンス

決算発表後は大きく株価は動いていないが、NMOの月額課金会員数が大幅に増加している事、新規事業への着手が好感されて基本は上げ基調である。予想PERは33.1倍、PBRは3.1倍、EV/EBITDAは13.8倍と減益予想なのに割高に感じる。


投資アイデア

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プロフィール

西村麻実 / MamiNishimura
株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。


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