2024年から始まる「新NISA」について、「どう活用していこうか、始まる前までにやっておいたほうがいいことはないのか」と気になっている方も多いことでしょう。

この記事では現在NISA口座をお持ちの方に向けて、2024年の新NISA移行に向けて、2023年のうちに手続き含め何をしておけばよいのか、そして新NISAではどんな戦略が考えられるかを解説します。

目次

  1. 新NISA、何がどう変わる?
  2. 移行の手続きは必要?
  3. 2023年内やっておいたほうがいいこと
  4. 新NISAを活用した2つの戦略と投資商品別運用のポイント
  5. まとめ

新NISA、何がどう変わる?

まずはどのように変わったかを理解するため、主な変更点をまとめた新旧の比較表を見てしてみましょう。

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参考:金融庁 NISAとは

今回新たに設置された「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の概要は以下の通りです。

つみたて投資枠

つみたて投資枠とは、これまでのつみたてNISA(積立NISA)の役割を引継ぎ、長期の積み立て・分散投資に適した一定の投資信託に投資できます。

成長投資枠

成長投資枠とは現行の一般NISAの役割を引き継ぎ、上場株式などに幅広く投資がでます。ただし、上場廃止のおそれがある監理銘柄や上場廃止が決まっている整理銘柄、高レバレッジ型や毎月分配型の投資信託などは除外されます。 

いくつかある変更点のうち、現在NISA制度を活用している方が特に押さえておきたいポイントは以下の4つです。

①非課税期間が無期限になる

これまでのNISAでは種類によって「5年」「20年」など非課税期間が定められていました。しかし、新NISAにおいては非課税期間の制限がなくなります。

②1年間に投資できる金額が増える

これまでのNISAでは一般NISAなら1年あたり最大120万円、つみたてNISAは40万円までしか投資できませんでしたが、2024年以降は最大360万円まで(「つみたて枠」と「成長枠」両方併用可能)投資できるようになります。

③「投資枠」の考え方が変わる

新NISAでも年間の投資枠(上限)は決められていますが、一生涯の投資枠を「簿価残高方式」で管理されるため上限まで使い切っても保有中の商品を売却すれば枠が復活し、枠の再利用が可能になります。

④現行NISA から 新NISA へのロールオーバーはできない

現行NISAと新NISAは分離されることから、現行NISAで運用している資産をそのまま2024年に新NISAの口座に移管(ロールオーバー)はできません。

ゆえに現在保有している資産は、ぞれぞれの非課税保有期間の中で運用していくことになります。新NISAで保有したい場合には再度購入が必要になります。

移行の手続きは必要?

NISA口座をすでに開設している人の場合、2024年には自動でそのまま新しいNISAが設定されます。それゆえ、特別な手続きは必要ありません。ただし、現行NISAと同じ証券会社であれば手続不要ですが、新たな証券会社の場合、開設手続が必要です。

また、上述のとおり現行NISAと新NISAは分離されることから、ロールオーバーができません。2023年までにNISA口座で購入した資産には非課税期間があることはわすれないようにしましょう。

2023年内にやっておいたほうがいいこと

上述のとおり、新NISAロールオーバーが行えないためそれぞれの資産の非課税期間を確認しておくことが重要です。

運用できる期間が十分にある場合には、状況に応じてすぐに売却せず、そのまま継続して運用を行うのもひとつでしょう。

ただし、逆に現行NISAと新NISAは分離される事実を逆手にとると、2023年も最大限NISAを活用すれば、生涯使える非課税枠を増やすこともできます。状況に応じて追加での購入を検討することもひとつでしょう。

新NISAを活用した2つの戦略と投資商品別運用のポイント

戦略1.つみたて投資枠のみでコツコツ運用

毎月投資に充てられる金額が限られている場合、おすすめの戦略です。少額だったとしても、コツコツ投資を続けることで複利効果によってお金は増えていきます。

戦略2. つみたて投資枠と成長投資枠を併用

新NISAのメリットを最大限に生かしたいとお考えの方、かつ一定の金融に関する知識習得・資金を金融商品に投資する考えがある方におすすめの戦略です。

成長投資枠では、つみたて投資枠では購入できない幅広い金融商品の購入が可能です。つみたて投資枠では低リスクの金融資産(バランス型の投資信託など)で着実に銀行預金よりは高いリターンを狙い、成長枠で資産状況や目標に合わせて投資方法を選ぶことでより目標に近いリターンを目指します。

成長枠のなかのポートフォリオ戦略を検討する際は、業種や景気敏感度だけではなく、以下のような投資リスク別に商品を選ぶことも重要です。

【投資リスクレベル1】日本の高配当株やETF

運用のポイント:長期保有を念頭におき、配当から得られるインカムゲインと売買によって得られるキャピタルゲインを狙います。過去の配当実績や会社が発表する配当予想をチェックし、目標に届きそうな銘柄を選ぶこと、業界・市場動向をチェックし適切なタイミングで売ることがポイントです(非課税枠の再利用を活用しましょう)。

「高配当株」とは、配当額÷株価で求められる「株価に対する配当の水準」が高い株のことを意味します(一般に年利3%以上をさします)。高配当株投資の最大のメリットは、定期的に潤沢な現金収入が得られることです。長期で高配当株に投資し、配当を再投資することで株価の方向性にかかわらず、キャピタルゲインとインカムゲイン(配当収入)を合計して考えるトータルリターンを安定させることができます。

「ETF」とは投資信託の一種ですが、一般的な投資信託とは違って取引所に上場しているため、個別の株式と同じように、証券会社を通じて取引所で売買することができるという点が最大の特徴です。ゆえに個別株同様、取引時間内であればリアルタイムに、1,000円程度からの小口売買が可能です。よりリスクが低いものを選ぶ場合は、債券やTOPIX、日経平均、配当貴族指数など組入れ銘柄数の多い国内の株式指数に連動するものを選ぶとよいでしょう。

【弊社が運営する投資SNS「アイデアブック」に投稿されていた銘柄主な事例】

銘柄コード銘柄名
6113アマダ
2236GlobalX S&P 500 Dividend Aristocrats ETF

銘柄名をクリックすると、運用状況を見ることができます。

なお、不動産が投資対象となるREITに投資するのも一案です。詳しくはページ下部の関連記事でも紹介しています。

【投資リスクレベル2】外国株/外国債券

運用のポイント:外国株/外国債券は個別銘柄の値動きに加え、為替リスクを伴います。個別銘柄をフォローするのが大変なら、世界株式指数、S&P500などに連動するETFを購入する方法もあります。為替ヘッジ付の商品もありますが、コストが高くなりがちなので、あまりお薦めしません。世界経済、世界情勢をフォローし、為替の動向を加味しながら買い時・売り時を見極めることがポイントです。

【弊社が運営する投資SNS「アイデアブック」に投稿されていた主な銘柄事例】

銘柄コード銘柄名
2443グローバルX 半導体 ETF 
1566上場INDEXファンド 新興国債券

銘柄名をクリックすると、運用状況を見ることができます。

【投資リスクレベル3】小型株やIPO銘柄 


運用のポイント:株価が急騰する可能性を秘めている一方、値動きが激しくリスクが高いため、少額から始めることがポイントです。

 「小型株」とは、時価総額(株価×発行済株式数)が小さい銘柄のことを指します(一般に時価総額1,000億円未満の株をいいます)。

 「IPO」とは、Initial Public Offeringの略語で、証券取引所に上場し、誰でも株取引ができるようにすることをIPOといいます。


【弊社が運営する投資SNS「アイデアブック」に投稿されていた主な銘柄事例】

銘柄コード銘柄名
7110クラシコム

銘柄名をクリックすると、運用状況を見ることができます。

まとめ

新NISAでは大幅に投資枠が大きくなります。まずはご自身の投資の目的と目標を明確にし、戦略を立てることで制度を上手に活用できるでしょう。なお、積極的な投資を行う場合には正しい知識と経験が必要です。  

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