株価119.57USD(日中取引終値)
時価総額1.2兆USD(約185兆円)
自己資本比率37.6%
ROE 8.72%
ROIC N/A
PER(実績)*96.35倍
PBR7.43倍
配当利回りN/A
EV/EBITDA 21.29倍

※株価は2023年10月26日時点。過去12カ月のEPS実績値を使ってのPER。

2023年3Q決算結果

売上高1,431億ドル (約21兆4,650億円、前年同期比12.6%増、2Q比6.5%増)
営業利益112億ドル (同4.4倍増、同45.7%増) 
営業利益率7.8% (同5.9pt増、同2.1pt増)
四半期純利益99億ドル (同3.4倍増、2Q比46.4%増) 
希薄化後EPS0.94ドル

売上高、EPSともに市場予想を上回り、コスト削減が功を奏し営業利益は前年同期比4.4倍となり、四半期純利益も同3.4倍と大幅増益の決算であった。稼ぎ頭であるクラウド・コンピューティングのAWSの増収率は前年同期比12%増と2Qの増収率と同程度であったが、AWSのセグメント利益率は30.3%と2Qのセグメント利益率の24.2%から6.1pt改善した。投資先のRivian Automotiveは税引き前約12億ドルの評価益と前年同期の税引き前11億ドルの評価益から1億ドル増加した。時間外取引でアマゾン株は5%上昇して引けた。

セグメント別売上、営業利益

北米

売上高879億ドル前年同期比11.5%増
営業費用836億ドル同5.5%増
営業損益43億ドル黒字転換

               

インターナショナル

 

売上高321億ドル前年同期比15.9%増
営業費用322億ドル同6.8%増
営業損益▲0.95億ドル同赤字96%縮小

  

AWS

売上高231億ドル前年同期比12.3%増
営業費用168億ドル同6.3%増
営業損益69.8億ドル同29.1%増

 

北米では売上が前年同期比11.5%増と大きく伸び、営業費用は売上ほど伸びなかったために黒字に転換した。インターナショナルはずっと赤字であるが、売上は同15.9%増と大きく伸び、営業費用は売上の伸びの半分以下に抑えられた為に赤字は同96%縮小した。インターナショナルについては日本ではアマゾンプライムの値上げを9月末に発表しており、4Q以降更に改善していくものと思われる。AWSの売上高は前年同期比12.3%増と2Qの売上伸び率12.2%増とほぼフラットであったが、営業費用の伸びが6.3%増と2Qの19.6%増より三分の一程度になり売上の伸びの半分程度に抑えられたために営業損益は大きく改善した。AWSの営業利益率は2Q比6.1pt改善し30.3%となった。

4Qのガイダンス

4Qのガイダンスは以下の通りである。

売上高:1,600億~1,670億ドル (前年同期比7%~12%増)この前提として為替からの影響が+0.4%と想定している。

営業利益:70億~110億ドル(前年同期 27億ドル)

 

業績推移

Amazon  3Q22  4Q22   1Q23   2Q23   3Q23
(単位:百万USD)     
      
総売上高127,101149,204127,358134,383143,083
営業費用124,576146,467122,584126,702131,895
営業利益2,5252,7374,7747,68111,188
営業利益率2.0%1.8%3.7%5.7%7.8%
営業外収益(費用)419(3,699)(655)611,001
税引前利益2,944(962)4,119 7,56312,189
法人税等(69)1,227(948)(840)(2,306)
持分法投資損益(3)13 (9)(4)
普通株主に帰属する純利益2,872278 3,172     6,750 9,879 
完全希薄後株式数10,33110,30810,34710,44910,558
完全希薄後EPS0.28 0.03 0.31 0.650.94
      
営業キャシュフロー39,66546,75254,33061,84171,654
設備投資(不動産及び設備の売却利益とネット)59,35158,32157,64953,96350,220
フリーキャッシュフロー**(19,686)(11,569)(3,319)7,878    21,434 
**フリーキャッシュフロー=営業CF-設備投資+不動産及び設備の売却利益     

 (注:アマゾン社決算資料に基づき株式会社pafin作成)    

業績予想コンセンサス(決算発表前時点)       

 1Q(実績)2Q(実績)3Q(実績)4Q(予想)
売上高(百万USD)127,358134,383143,083157,160
完全希薄化後EPS0.310.650.940.62

(注:株式会社pafin調べ)

投資判断

リストラにより営業利益率は7.8%まで回復し、大幅増益の好決算であった。コロナ禍の巣籠特需から拡大し過ぎた分のリストラで利益が出るようになった。AWSの増収率は2Qとほぼ変わらなかったが、クラウド・コンピューティング市場ではAWSはトップシェアを持っており、Azureは売上を伸ばしているが、まだ逆転はしていないと思われる。AWSの営業利益率も大きく改善した事もポジティブであり、アマゾン全体としては高収益体質に変わり業績不振からほぼ脱したと言えるだろう。

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