株価275.42USD(日中取引終値)
時価総額2.05兆USD(約274兆円)
自己資本比率51.2%
ROE 49.31%
ROIC 24.4%
PER(実績)31.43倍
PER(予想)28.69倍
PER(予想)11.5倍
配当利回り0.97%
EV/EBITDA 20.92倍

                        *注:株価は2023/4/25時点。ROE、ROICは過去12カ月の実績数値。

2023年3Q決算結果

売上高528.6億ドル(約7兆727億円、前年同期比7%増、2Q比0.2%増)
営業利益223.5億ドル (同10%増、同9.6%増)
営業利益率42.3%(同1pt増、同3.6pt増)
四半期純利益183億ドル(同9%増、同11.4%増)
希薄化後EPS2.45ドル   (弊社予想2.52ドル)

増収増益の好決算だった。売上高は前年同期比7%増、営業利益は同10%増、営業利益率は同1.0pt増、四半期純利益は同9%増であった。為替の影響を除くと売上高は同10%増、営業利益は同15%増、四半期純利益は同14%増であった。売上高、EPS共に市場予想を上回った。好決算を受けて株価は時間外取引で8%以上上昇した。3Qに97億ドル相当の自社株買いを行った。

法人向け需要の伸びに牽引された決算であった。Microsoft Cloudは同22%増、Dynamics365( Azure 上で提供されているSaaS型のCRMパッケージ)が同25%増、Azureとその他クラウドが同27%増と高い伸びであった。また法人向けのOffice365は同14%増であった。

 

セグメント別内訳

Productivity & Business Processes事業法人および個人顧客向けの”Office”、”Office 365”、”Dynamics”と”Dynamics CRM Online”等。

セグメント売上高175億ドル前年同期比11%増
セグメント利益86億ドル同20%増
セグメント利益率49.3%同3.8pt増

 

Inteligent Cloud事業:”Windows Server” ”SQL Server””System Center” ”Azure””Enterprise Services”などのサーバ製品およびサービス等。

セグメント売上高221億ドル同16.3%増
セグメント利益95億ドル同12.9%増
セグメント利益率42.9%同▲1.3pt

 

More Personal Computing事業:”Windows”OSのライセンス収入、”Surface”や等のデバイス類、”Xbox”などのゲーム製品等。

セグメント売上高133億ドル同▲9.1%
セグメント利益42億ドル同▲46.8%
セグメント利益率32.0%同▲0.8pt

 

Azure OpenAIサービスについて

Earnings call内でAzure OpenAIに関して言及した。Azure OpenAIサービスはAzureのエンタープライズ機能にChatGPT、GPT-4を搭載した最新機能になっている。Azure OpenAIサービスの顧客数は2,500を超え、2Q比10倍以上増加した。大手企業が他社のクラウド・コンピューティングからの乗り換えが続いている状況である。

 

4Qのガイダンス

4Qの事業別の売上のガイダンスはProductivity & Business Processes事業の売上が為替の影響を除いて前年同期比10~12%増、179~182億ドル、Inteligent Cloud事業の売上が為替の影響を除いて15~16%増、236~239億ドル、More Personal Computing事業の売上は133.5~137.5億ドルを予想をしている。

為替が現状のままと仮定して売上原価は168~170億ドル、営業費用が151~152億ドル、営業外損益は約3億ドルの営業外収益を想定している。また4Qの法人税率は約19%になる予定との事である。

業績推移

Microsoft3Q20224Q20221Q20232Q20233Q2023
(単位:百万USD)     
総売上高49,36051,86550,12252,74752,857 
売上原価15,61516,42915,45217,48816,128 
粗利益33,74535,43634,67035,25936,729 
粗利益率68.4%68.3%69.2%66.8%69.5%
研究開発費6,3066,8496,6286,8446,984 
営業、マーケティング費用5,5956,3045,1265,6795,750 
一般管理費1,4801,7491,3982,3371,643 
減損とリストラ費用00000
営業利益20,36420,53421,51820,39922,352 
営業利益率41.3%39.6%42.9%38.7%42.3%
営業外利益(費用)ネット(174)(47)54 (60)321 
税引前利益20,19020,48721,57220,33922,673 
法人税等3,4623,7474,0163,9144,374 
純利益16,72816,74017,55616,42518,299 
普通株主に帰属する純利益16,72816,74017,55616,42518,299 
完全希薄後株式数7,5347,5067,4857,4737,464 
完全希薄後EPS2.222.232.352.202.45 
      
修正EBITDA*24,64525,04226,50026,58528,366 
修正EBITDAマージン49.9%48.3%52.9%50.4%53.7%
*修正EBITDA=営業利益+減価償却費用、のれん代償却費用+株式型報酬費用     
      
営業キャッシュフロー25,38624,62923,19811,17324,441 
設備投資額5,3406,8716,6326,2746,607 
フリーキャッシュフロー20,04617,75816,5664,89917,834 

                                (注:マイクロソフト社決算資料に基づき株式会社pafin作成) 

                   

業績予想       

FY2023予想1Q(実績)2Q(実績)3Q(実績)4Q(予想)
 Sep-22Dec-22Mar-23Jun-23
売上高50,12252,74752,857 57,052
営業利益21,51820,39922,352 23,676
税引前利益21,57220,33922,673 23,976
法人税等4,0163,914    4,3744,556
純利益(親会社株主帰属)17,55616,42518,29919,421
完全希薄後株式数7,4857,4737,4647,454
完全希薄後EPS2.352.202.452.61

       (注:マイクロソフト社決算資料に基づき株式会社pafin作成)

投資判断

OpenAIの独占的なプロバイダーになった事がマイクロソフトの業績に大きな影響を与えた印象が強い。Earnings CallでAzure OpenAIサービスの顧客数は2,500を超え、2Q比10倍以上増加し、大手企業が他社のクラウド・コンピューティングからの乗り換えが続いている状況であると開示した。競合他社がChatGPTを超えるAIをローンチすれば話は別だが、マイクロソフトの優位性を後発で超えるのは厳しいと見ている。また金融不安は解消されておらず、景気後退のリスクが大きくなっているが、マイクロソフトの場合競合他社に比べて個人向け商品の売上比率が低く法人売上比率が高く好調を維持している事から大きな影響はないと考えている。

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