株価330.53USD(日中取引終値)
時価総額2.45兆USD(約367兆円)
自己資本比率49.5%
ROE 38.82%
ROIC 25.77%
PER(実績)34.02倍
PBR11.86倍
配当利回り0.91%
EV/EBITDA 22.78倍

                        *注:株価は2023/10/24時点。ROE、ROICは過去12カ月の実績数値。

2024年1Q決算結果

売上高565億ドル(約8兆4,637億円、前年同期比13%増、4Q23比0.6%増)
営業利益269億ドル (同25%増、同11%増)
営業利益率47.6%(同4.7pt増、同4.2pt増)
四半期純利益223億ドル(同27%増、同11%増)
希薄化後EPS2.99ドル   

クラウド・サービスの高い伸びに牽引され、過去6四半期の中で最大の売上の伸びを記録する好決算であった。売上高は前年同期比13%増の565億ドル、営業利益が同25%増の269億ドル、四半期純利益が同27%増の223億ドル、希薄化後EPSは2.99ドルであった。クラウド・サービスの粗利益率の改善等により全体の粗利益率が同2pt上昇の71%となり、販管費の伸びを抑えた事等により営業利益率は同4.7pt上昇の47.6%となった。

1Q2024中にマイクロソフトは自社株買いと配当で計91億ドルを株主に還元した。

Azureとその他クラウド・サービスの売上は318億ドルとなり総売上高の56%となった。引き続き法人向け需要が好調であった。Dynamics365( Azure 上で提供されているSaaS型のCRMパッケージ)が同28%増、Azureとその他クラウド・サービスが同29%増と高い伸びであった。また法人向けのOffice365は同18%増であった。

セグメント別内訳

  • Productivity & Business Processes事業法人および個人顧客向けの”Office”、”Office 365”、”Dynamics”と”Dynamics CRM Online”等。
セグメント売上高186億ドル前年同期比13%増
セグメント利益99.7億ドル同19.8%増
セグメント利益率53.6%同3.1pt増

Office365とDynamics365の好調な伸びで粗利益は同13%伸びた。会計上の変更の影響を除き粗利率はProductivity & Business Processes事業全体で1pt改善した。営業費用は主にLinkedIn向けの伸びにより同2%増となり、セグメント利益は19.8%の伸びを達成した。

 

  • Inteligent Cloud事業:”Windows Server” ”SQL Server””System Center” ”Azure””Enterprise Services”などのサーバ製品およびサービス等。
セグメント売上高243億ドル同19%増
セグメント利益118億ドル同31%増
セグメント利益率48.4%同4.2pt増

Azureと他のクラウド・サービスの高い伸びに牽引されて粗利益は同20%増加した。会計上の変更の影響を除き粗利率はAzure等の粗利益率改善により2pt上昇し、営業費用は同2%増に抑えられ、セグメント利益は同31%増と大幅増益となった。

 

  • More Personal Computing事業:”Windows”OSのライセンス収入、”Surface”や等のデバイス類、”Xbox”などのゲーム製品、検索型広告等
セグメント売上高137億ドル同3%増
セグメント利益52億ドル同23%増
セグメント利益率37.9%同6.3pt増

デバイスの売上が同▲20%で相殺されたが、Xbox等のゲーム、個人向けWindows売上の好調によりセグメント売上は同3%増となった。粗利益は同13%増、セールス・ミックスの改善、営業費用の減少によりセグメント利益は同23%増となった。

2Q2024のガイダンス

為替の影響は全売上高、全事業別売上に1ptの影響と想定している。2Qの事業別の売上のガイダンスはProductivity & Business Processes事業の売上が188~191億ドル、Inteligent Cloud事業の売上が251~254億ドル、More Personal Computing事業の売上は165~169億ドルを予想をしている。

為替が現状のままと仮定して売上原価は買収した米ゲームソフトウェア会社Activisionの無形資産の減価償却費用5億ドルを含み194~196億ドル、営業費用はActivisionの統合費用を含み155~156億ドル、営業外損益は約5億ドルの営業外費用を想定している。また法人税率は約19~20%になる予定との事である。

業績推移

Microsoft1Q232Q233Q234Q231Q24
(単位:百万USD)     
総売上高50,12252,74752,85756,18956,517
売上原価15,45217,48816,12816,79516,302
粗利益34,67035,25936,72939,39440,215
粗利益率69.20%66.80%69.50%70.10%71.20%
研究開発費6,6286,8446,9846,7396,659
営業、マーケティング費用5,1265,6795,7506,2045,187
一般管理費1,3982,3371,6432,1971,474
減損とリストラ費用00000
営業利益21,51820,39922,35224,25426,895
営業利益率42.90%38.70%42.30%43.20%47.60%
営業外利益(費用)ネット54-60321473389
税引前利益21,57220,33922,67324,72727,284
法人税等4,0163,9144,3744,6464,993
普通株主に帰属する純利益17,55616,42518,29920,08122,291
完全希薄後EPS2.352.22.452.692.99
      
営業キャッシュフロー23,19811,17324,44128,77030,583
設備投資額6,6326,2746,6078,9439,917
フリーキャッシュフロー16,5664,89917,83419,82720,666

(注:マイクロソフト社決算資料に基づき株式会社pafin作成) 

業績予想コンセンサス(決算発表前時点)       

 1Q実績2Q予想FY24予想
売上高(百万USD)56,51755,080222,000
EPS   2.992.5010.35

       (注:株式会社pafin調べ)

投資判断

4Q2023決算ではAzureの売上の伸び率の鈍化が懸念されたが、1Qでは4Q2023より3pt上昇し、Azureの売上が鈍化していない事が確認された。Azureと他のクラウド・サービスの売上比率は56%となった。Office365、Dynamics365の法人向けプラットフォームにはAI機能が搭載されており需要は加速している。マイクロソフトはこれまでWindows搭載PCにAIを使ったサポート機能を試験的に提供してきたが、全面的に搭載すると9月末に発表をした。これにより法人需要のみならず個人向け需要も取り込んで行く事になるだろう。

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