株価395.26USD(日中取引終値)
時価総額2.938兆USD(約420兆円)
自己資本比率57.2%
ROE 34.29%
ROIC 21.60%
PER(実績)31.75倍
PBR9.68倍
配当利回り0.84%
EV/EBITDA 20.43倍

                        *注:株価は2025/4/30時点。ROE、ROICは過去12か月の実績数値。

2025年3Q決算結果

売上高700.7億ドル(約10兆200億円、前年同期比13%増)
営業利益320億ドル (同16%増)
営業利益率46.0%(同1pt増)
四半期純利益258億ドル(同18%増)
希薄化後EPS3.46ドル   

売上高と純利益ともに四半期として最高を記録した決算であった。売上高は前年同期比13%増の700.7億ドル、営業利益は同16%増の320億ドル、営業利益率は同1pt増の46%、四半期純利益は同18%増の258億ドル、希薄化後EPSは3.46ドルであった。クラウドコンピューティングのAzureの売上の伸びは33%増と市場予想の29%増を上回り、時間外取引でマイクロソフトの株価は7%以上上昇した。

粗利益率は同▲0.1ptの69%となり、運営費用は同2%増の161億ドルとなり、このうち一番大きな費用はクラウド・エンジニアリングへの設備投資によるものであった。営業外損益は▲6.23億ドルで持分法適用会社のOpenAIによる損失をデリバティブ投資による利益等で一部相殺した。

3Qの設備投資(ファイナンス・リースで取得した資産を含む)は214億ドルで前年同期比52.9%増、2Q比▲5.3%とクラウドとAI関連の投資が大半を占めた。

3Q中にマイクロソフトは自社株買い35億ドルと配当62億ドルで計97億ドルを株主に還元した。

引き続きクラウドと法人向け需要が好調であった。"Dynamics 365" は16%増、Azureは33%増、Azureを含むサーバーとクラウド・サービスは22%増であった。

マイクロソフトのAI関連サービスの年間売上高は130億ドルを超え、前年比175%増となった。

セグメント別内訳

  • Productivity & Business Processes事業法人および個人顧客向けの”Office”、”Office 365”、”Dynamics”と”Dynamics CRM Online”等。
セグメント売上高299.4億ドル前年同期比10%増
セグメント利益173.8億ドル同15%増
セグメント利益率58.0%同2.2pt増

“Dynamics 365”、"Microsoft 365 Commercial cloud"の伸びに牽引されセグメント売上は前年同期比10%増の299.4億ドルとなった。粗利益は同10%増であったが、AIインフラの拡大により粗利益率はほぼ変わらなかった。運営費用は同1%増加し125.6億ドル、セグメント利益は同15%増の173.8億ドルとなった。

 

  • Intelligent Cloud事業:”Windows Server” ”SQL Server””System Center” ”Azure””Enterprise Services”などのサーバ製品およびサービス等。
セグメント売上高267.5億ドル同21%増
セグメント利益111億ドル同17%増
セグメント利益率41.5%同▲1.5pt

Azure他の伸びに牽引されてセグメント売上は前年同期比21%増の267.5億ドルとなった。粗利益は同13%増加したが、AIインフラの拡大により粗利益率は若干低下した。クラウド、AIエンジニアリング関連の投資により運営費用は同6%増加したが、セグメント利益は同17%増加の111億ドルとなった。

 

  • More Personal Computing事業:”Windows”OSのライセンス収入、”Surface”や等のデバイス類、”Xbox”などのゲーム製品、検索型広告等
セグメント売上高133.7億ドル前年同期比6%増
セグメント利益35.3億ドル同21%増
セグメント利益率26.4%同3.2pt増

セグメント売上高は前年同期比6%増の133.7億ドルとなった。粗利益は同9%増で売上ミックスの改善によるものであった。運営費用は同1%増、セグメント利益は同21%増の35.3億ドルとなった。

4Q2025のガイダンス

4Q2025の事業別の売上のガイダンスはProductivity & Business Processes事業の売上が320.5億~323.5億ドル、Inteligent Cloud事業の売上が287.5億~290.5億ドル、このうちAzureの売上の伸びは前年同期比34%~35%増、More Personal Computing事業の売上は123.5億~128.5億ドルを予想をしている。

投資判断

2QではAzureの売上の伸びの鈍化が見られたが、3Qには再び加速し、4Qも会社計画では高い伸びを予想している。マイクロソフトはこれまでクラウド基盤の整備やAIモデルへの先行投資でコストが膨らんでいたが、今回の決算でAI投資が利益貢献のフェーズに入ったと言えるだろう。

サムネイル画像クレジット:AM NIKOM/Shutterstock.com