【注目ポイント】 ラテンアメリカで問題であるただ乗りを解消するために料金シェアプランを1Q後半にローンチする予定。

株価333.70USD(日中取引終値)
時価総額1,486億USD(約19.7兆円)
自己資本比率44.1%
ROE 24.53%
ROIC N/A
PER(実績)33.99倍
PBR7.2倍
配当利回りN/A
EV/EBITDA 7.82倍

*株価は2023/4/18時点。過去12カ月のEPS実績値を使ってのPER。 

2023年1Q決算結果

売上高81億6,200万ドル(約1兆1,000億円、4Q22比3.9%増、前年同期比3.7%増)
営業利益17億1,400万ドル(同3.1倍、同▲13.1%)
営業利益率21%(同3倍、同▲4.1pt)
四半期純利益13億500万ドル(同23.7倍、同▲13.3%)
希薄化後EPS2.88ドル
会員数 2億3,250万人(4Q22比175万人増、前年同期比4.9%増)

1QのネットフリックスのEPSは市場予想をわずかに上回ったものの売上高、会員数増が市場予想を小幅だが下回り決算発表直後には時間外取引で12%も急落したが、その後値を戻した。

売上高は前年同期比3.7%増の81億6,200万ドル、営業利益は同▲13.1%の17億1,400万ドル、営業利益率は同▲4.1ptの21%、四半期純利益は同▲13.3%の13億500万ドル、希薄化後EPSは2.88ドルであった。

会社側は1Qの会員数増は4Q22の766万人増より大分減少するとのコメントは出していたが、1Qの会員数増は175万人と4Q22の四分の一位となった。ネットフリックスは通常4Qのホリデーシーズンに新規会員を一番多く獲得してきている季節性があるので想定範囲内の事である。実際にアメリカでは広告付き低価格プランの会員一人当たり平均売上(Average Revenue per Member、ARM)(月額会費+広告収入)はスタンダード・プランのARMよりも高く広告付き低価格プラン導入は成功であると言えるだろう。1Q中にパスワードの共有問題を解決するために有料で共有するプランをカナダ、ニュージーランド、スペイン、ポルトガルの四か国で始めたが、2Qよりアメリカを含む他国でも開始する予定である。25年間続けてきたネットフリックスのルーツでもあるDVDレンタル事業を年内に終了すると発表した。

3月末にMoody'sはNetflixの債券の格付けを投資適格へと引き上げた。

1Qの地域別内訳は以下の通りである。

アメリカ、カナダでは売上は4Q22比0.4%増、前年同期比9%増の36億865万ドル、会員数は4Q22比10万2,000人増、前年同期比▲18万人の7,440万人、ARMは4Q22比▲0.3%、前年同期比8.5%増の16.18ドルであった。

ヨーロッパ、アフリカでは売上は4Q22比7%増、前年同期比▲2%の25億1,764万ドル、会員数は4Q22比64万人増、前年同期比364万人増の7,737万人、ARMは4Q22比4.4%増、前年同期比▲5.8%の10.89ドルであった。

ラテンアメリカでは売上は4Q22比5.2%増、前年同期比7.1%増の10億7,019万ドル、会員数は4Q22比▲45万人、前年同期比164万人増の4,125万人、ARMは4Q22比3.6%、前年同期比2.7%増の8.6ドルであった。

アジア太平洋では売上は4Q22比9%増、前年同期比1.8%増の9億3,352万ドル、会員数は4Q22比145.5万人増、前年同期比576万人増の3,948万人、ARMは4Q22比4.4%増、前年同期比▲12.8%の8.03ドルであった。ARMの他地域より大きな減少は低価格プランに加え以前より継続しているインドでの戦略的な値下げによる。

 

キャッシュフロー、資本構成

1Qの営業キャッシュフローは22億ドルと前年同期の9億ドルより大きく改善した。1Qのフリーキャシュフローは21億ドルと前年同期の8億ドルより大きく上回った。2023年度通期の会社予想のフリーキャッシュフローは35億ドルと従前予想の30億ドルより上方修正した。上方修正の要因はコンテンツ制作費用が従前予想より低く収まっている事による。

上述したようにMoody'sはNetflixの債券の格付けをBaa3の投資適格へと引き上げた。S&PのBBBと合わせて投資適格の格付けとなった。

1Q末時点でのグロス有利子負債は145億ドルで会社予想の100億~150億ドルのレンジ内に抑えてでいる。現預金と短期投資の合計は78億ドルで、ネットデット(純有利子負債)は1Q末時点で67億ドル、過去12カ月のEBITDAの1.1倍である。2023年に社債の償還予定はない。2024年に償還予定の社債は4億ドルである。社債は全て固定金利である。ネットフリックスの資本政策は従前と変わらずキャッシュをコアビジネスに再投資する事であり、次にゲームやM&Aに使う事とし、保有現預金は2か月分の売上とし余剰分は自社株買いで株主還元する事であるが、1Qは4億ドルを使い120万株の自社株買いを行ったが、自社株買いは2023年中に加速させる予定である。

2Q2023ガイダンス

2Qの会社発表のガイダンスは売上が前年同期比3.4%増の82億4,200万ドル、営業利益が同▲0.8%の15億6,500万ドル、営業利益率が19%、四半期純利益が同▲11%の12億8,300万ドル、希薄化後EPSが2.84ドルである。

業績推移

Netflix1Q222Q223Q224Q221Q23
(単位:百万USD、EPSを除く)Mar-22Jun-22Sep-22Dec-22Mar-23
      
売上高7,8687,9707,9267,8528,162
売上原価4,2854,6914,9785,4044,804
マーケティング費用556575568832555
テクノロジー開発費用658717663674687
一般管理費398409373392401
営業利益1,9721,5781,5335501,714
営業外収益(費用)     
 支払利息-188(175)(173)(171)(174)
 受取利息、その他収益196220261(340)(71)
税引前利益1,9801,6231,622391,469
法人税等-382(182)(243)16 (164)
純利益1,5971,4401,398551,305
普通株主に帰属する純利益1,5971,4401,398551,305
完全希薄後株式数453450450452452
完全希薄後EPS3.533.203.100.122.88
      
修正EBITDA*5,3325,0955,4244,7435,363
修正EBITDAマージン67.80%63.9%68.4%60.4%65.7%
*修正EBITDA=営業利益+減価償却費用、のれん代償却費用+株式型報酬  
営業キャシュフロー9231035574442,179
フリーキャッシュフロー802134723322,117

(注:Netflix社決算資料に基づき株式会社pafin作成)

業績予想コンセンサス

 1Q(実績)2Q(予想)3Q(予想)4Q(予想)
売上高(百万USD)8,1628,3698,2438,205
営業利益1,7141,5901,525615
税引前利益1,4691,3501,285565
法人税等-164-243-19355
純利益1,3051,1071,092620
完全希薄後株式数452451450.3449.7
完全希薄化後EPS22.88ドル2.45ドル2.43ドル1.38ドル

(注:Netflix社決算資料に基づき株式会社pafin作成)

投資判断

決算発表後に時間外取引で株価は急落し、その後値を戻したが2Qのガイダンスが四半期純利益の19%減という事に反応したように思える。目先の事よりも広告付きの低価格プランはアメリカではARMがスタンダード・プランのARMを上回った事をポジティブに捉えている。また、ラテンアメリカで一番大きな問題となったパスワードの共有問題解決のための有料での共有プランが成功するかについてはまだこれからであるが、営業CF及びFCFが大きく伸びている事、格付けの引き上げ、コスト・コントロールができている事から財務的なリスクは極めて低く、地道に成長を続けていくだろうと考えている。

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