株価477.59USD(日中取引終値)
時価総額2,239億USD(約31.2兆円)
自己資本比率44.9%
ROE 21.33%
ROIC N/A
PER(実績)51.05倍
PBR9.67倍
配当利回りN/A
EV/EBITDA 10.84倍

*株価は2023/7/19時点。過去12カ月のEPS実績値を使ってのPER。 

2023年2Q決算結果

売上高81億8,700万ドル(約1兆1,429億円、前年同期比2.7%増、1Q比0.3%増)
営業利益18億2,700万ドル(同15.8%増、同6.6%増)
営業利益率22.3%(同2.5ppt増、同1.3ppt増)
四半期純利益14億8,800万ドル(同3.3%増、同14%増)
希薄化後EPS3.29ドル
会員数 2億3,839万人(前年同期比8%増、1Q比2.5%増)

ネットフリックスの2Q決算は増収増益だった。EPSは市場予想を上回ったものの売上は市場予想を下回り、また3Qのガイダンスの売上も市場予想を下回った事から時間外取引で株価は8%以上下落した。5月末からアメリカでもパスワード共有問題対策の有料プランを開始したが、期待された程売上が伸びなかった。

売上高は前年同期比2.7%増の81億8,700万ドル、営業利益は同15.8%の18億2,700万ドル、営業利益率は同2.5ppt増の22.3%、四半期純利益は同3.3%の14億8,800万ドル、希薄化後EPSは3.29ドルであった。

2Qの会員数増は前年同期比1,772万人増、1Q比589万人増であった。会員一人当たり平均売上(Average Revenue per Member、ARM)は前年同期比▲3%(為替を考慮しないと▲1%)であったが、広告付き低額プラン、パスワード共有問題対策の有料プランを考えるとARMの低下は当然であったと考えている。

2Qの地域別内訳は以下の通りである。

アメリカ、カナダでは売上は前年同期比1.7%増、1Q比▲0.2%の35億9,900万ドル、会員数は前年同期比3.1%増、1Q比1.6%増の7,557万人、ARMは前年同期比0.3%増、1Q比▲1.1%の16.0ドルであった。

ヨーロッパ、中東、アフリカでは売上は前年同期比4.3%増、1Q比1.7%増の25億6,217万ドル、会員数は前年同期比9.4%増、1Q比の7,981万人、ARMは前年同期比▲2.7%、1Q比▲0.2%の10.87ドルであった。

ラテンアメリカでは売上は前年同期比4.6%増、1Q比の10億7,744万ドル、会員数は前年同期比7.2%増、1Q比3%増の4,247万人、ARMは前年同期比▲1%、1Q比▲0.2%の8.58ドルであった。

アジア太平洋では売上は前年同期比1.3%増、1Q比▲1.5%の9億1,927万ドル、会員数は前年同期比16.5%増、1Q比2.7%増の4,054万人、ARMは前年同期比▲13.3%、1Q比▲4.6%の7.66ドルであった。ARMの他地域より大きな減少は低価格プランに加え以前より継続しているインドでの戦略的な値下げによる。

 

キャッシュフロー、資本構成

2Qの営業キャッシュフローは14億ドルと前年同期の1億ドルより大幅に改善したものの、1Q比では▲34%であった。2Qのフリーキャシュフローは13億ドルと前年同期比約10倍増、1Q比▲36.8%であった。2Qが終わった時点でネットフリックスは今年度のフリーキャッシュフロー予想を従前の35億ドルから50億ドルに上方修正した。上方修正の要因は製作費が予想より低く抑えられている事が要因である。

2Q末時点でのグロス有利子負債は145億ドルで会社予想の100億~150億ドルのレンジ内に抑えてでいる。現預金と短期投資の合計は86億ドルで、ネットデット(純有利子負債)は2Q末時点で59億ドルである。2023年に社債の償還予定はない。2024年に償還予定の社債は4億ドルである。社債は全て固定金利である。ネットフリックスの資本政策は従前と変わらずキャッシュをコアビジネスに再投資する事であり、次にゲームやM&Aに使う事とし、保有現預金は2か月分の売上とし余剰分は自社株買いで株主還元する事であるが、2Qは6.45億ドルを使い180万株の自社株買いを行った。

3Q2023ガイダンス

3Qの会社発表のガイダンスは売上が前年同期比7%増の85億ドル、営業利益が同23.9%増の19億ドル、営業利益率が22%を予定している。

業績推移

Netflix2Q223Q224Q221Q232Q23
(単位:百万USD、EPSを除く)Jun-22Sep-22Dec-22Mar-23Jun-23
      
売上高7,9707,9267,8528,1628,187
売上原価4,6914,9785,4044,8044,673
マーケティング費用575568832555627
テクノロジー開発費用717663674687658
一般管理費409373392401401
営業利益1,5781,5335501,7141,827
営業外収益(費用)     
 支払利息(175)(173)(171)(174)(175)
 受取利息、その他収益220261(340)(71)27 
税引前利益1,6231,622391,4691,679
法人税等(182)(243)16 (164)(192)
純利益1,4401,398551,3051,488
普通株主に帰属する純利益1,4401,398551,3051,488
完全希薄後株式数450450452452452
完全希薄後EPS3.203.100.122.883.29
      
修正EBITDA*5,0955,4244,7435,3635,594
修正EBITDAマージン63.9%68.4%60.4%65.7%68.3%
*修正EBITDA=営業利益+減価償却費用、のれん代償却費用+株式型報酬   
営業キャシュフロー1035574442,1791,440
フリーキャッシュフロー134723322,1171,339

(注:Netflix社決算資料に基づき株式会社pafin作成)

業績予想コンセンサス

 1Q(実績)2Q(実績)3Q(予想)通期(予想)
売上高(百万USD)8,1628,1878,68034,040
完全希薄化後EPS2.88ドル3.29ドル3.24ドル11.24ドル

(注:株式会社pafin調べ)

投資判断

5月よりパスワード共有問題対策の有料プランを100か国以上でローンチしたものの、期待された程売上が伸びなかった事、また3Qの売上ガイダンスが弱かった事により時間外取引で急落した。しかし、6月のニールセンの調査でネットフリックスのシェアは8.2%と2021年5月調査時の6%よりシェアを拡大している。ストリーミング専門企業として唯一黒字を確保しており、広告付き低額プランで会員数は増加しており、パスワード共有問題対策の課金プランをローンチしており、一時期の業績悪化より完全に回復している。財務状況もしっかりしており、株価バリュエーションの高さには納得できないが、安定感があると見ている。

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