株価610.56USD(日中取引終値)
時価総額2,642億USD(約40.6兆円)
自己資本比率43.8%
ROE 26.15%
ROIC 13.42%
PER(実績)51.01倍
PBR12.9倍
配当利回りN/A
EV/EBITDA 12.69倍

*株価は2024/4/18時点。過去12カ月のEPS実績値を使ってのPER。 

2024年1Q決算結果

売上高93億7,000万ドル(約1兆4,430億円、前年同期比14.8%増、4Q23比6.1%増)
営業利益26億3,300万ドル(同53.6%増、同76%増)
営業利益率28.1%(同7.1pt増、同11.2pt増)
四半期純利益23億3,200万ドル(同78.7%増、同148.6%増)
希薄化後EPS5.28ドル
会員数 2億6,960万人(前年同期比16%増、4Q23比3.6%増)

2024年1Qのネットフリックスの決算は売上、EPSともに市場予想を上回り、1Qの会員数が市場予想の二倍近くの932万人増加し、過去最高の会員数2億6,690万人を達成した。しかし、2Qの売上高見通しが市場予想を下回った事から時間外取引で株価は5%近く下落した。

売上高は前年同期比14.8%増、4Q23比6.1%増の93億7,000万ドル、営業利益は同53.6%増、同76%増の26億3,300万ドル、営業利益率は同7.1pt増、同11.2pt増の28.1%、四半期純利益は同78.7%増、同148.6%増の23億3,200万ドル、希薄化後EPSは5.28ドルであった。

1Qの広告付き低額プランの加入者数は4Q23に3Q23比約70%増と大幅に伸びた後、1Q24でも65%増と年末のピークシーズンが終了しても高い伸びを維持し、新規加入者獲得に大きく貢献した。

1Qの地域別内訳は以下の通りである。

アメリカ・カナダでは売上は前年同期比17%増の42億2,400万ドル、会員数は同3.4%増の8,266万人、会員一人当たり平均売上額(ARM)は同7%増の17.3ドルであった。

ヨーロッパ・中東・アフリカでは売上は同17.5%増の29億8,400万ドル、会員数は同18.6%増の9,173万人、ARMは同0.3%増の10.92ドルであった。

ラテンアメリカでは売上は同8.9%増の11億6,500万ドル、会員数は同15.7%増の4,772万人、ARMは同0.3%増の8.29ドルであった。

アジア・太平洋では売上は同9.5%増の10億2,300万ドル、会員数は同5.5%増の4,750万人、ARMは同▲8%の7.35ドルであった。アジア・太平洋地域に関しては広告付き低額プランの他にインド市場をターゲットに戦略的に低価格に設定しているという事情がある。

キャッシュフロー、資本構成

1Q中に4億ドル相当の優先債を手元流動性を使い償還し、360万株、25億ドル相当の自社株買いを行った。

1Qの営業キャッシュフローは前年同期比1.6%増、4Q23比33.1%増の22億1,300万ドルとなった。フリーキャッシュフローは同0.9%増、同35.2%の21億3,700万ドルとなった。

1Q末時点でのグロス有利子負債は140億ドルで、現預金は70億ドルで、ネットデット(純有利子負債)は4Q末時点で70億ドルであった。

2024年通年のフリーキャッシュフロー計画は60億ドル、コンテンツ投資は170億ドルを上限としている。

ネットフリックスは過去数年、資本政策の規律を守ってきた。グロス有利子負債は100億~150億ドル、現預金は売上の2か月分を守った上で、オーガニック成長を補完するようなM&Aを選別して行い、超過収益を自社株買いを通じて株主に還元する。

2Q2024ガイダンス

2Q2024のガイダンスは売上が前年同期比16%増、このうち為替によるインパクトは▲5%、2Qの会員数の伸びは季節性を考慮し、1Qより低下すると発表した。また、来年2025年1Qより四半期毎に発表している会員数とARMの公表を中止すると発表し、これは市場でネガティブに受け止められた。

 

業績推移

Netflix1Q232Q233Q234Q231Q24
(単位:百万USD、EPSを除く)     
      
売上高8,1628,1878,5428,8329,370
売上原価4,8044,6734,9305,3074,977
マーケティング費用555627558917654
テクノロジー開発費用687658657673702
一般管理費401401479439404
営業利益1,7141,8271,9161,4962,633
営業利益率21.0%22.3%22.4%16.9%28.1%
営業外収益(費用)     
 支払利息(174)(175)(175)(175)(137)
 受取利息、その他収益(71)27 168 (173)155 
税引前利益1,4691,6791,9091,1482,615
法人税等(164)(192)(232)(210)(282)
普通株主に帰属する純利益1,3051,4881,6779382,332
完全希薄後株式数452452450444442
完全希薄後EPS2.883.293.732.115.28
      
営業キャシュフロー2,1791,4401,9921,6632,213
フリーキャッシュフロー2,1171,3391,8881,5812,137

(注:Netflix社決算資料に基づき株式会社pafin作成)

業績予想コンセンサス(決算発表前時点)

 4Q231Q242Q24(E)
売上高(百万USD)8,8339,3708,980
完全希薄化後EPS2.11ドル5.28ドル4.27ドル

(注:株式会社pafin調べ)

投資判断

年末年始のピークシーズンを過ぎても新規会員数は高い伸びを維持し、広告付き低額プラン投入の成功によりネットフリックスは業績不振から回復し、ストリーミング市場でトップシェアをキープしている。しかし、今回の決算発表とともに会員数とARMの発表を来年1Qから中止するとの発表はネガティブ材料である。企業からの広告収入も大きくなってきているとの説明があったが、透明性が低下し、ネットフリックスにとって結局はマイナスになるのではと懸念している。また、実績PERが50倍というのは業績の伸びに比べて割高過ぎる印象がある。

サムネイル画像クレジット:wutzkohphoto/Shutterstock.com