株価499.44USD(日中取引終値)
時価総額1.234兆USD(約183兆円)
自己資本比率61.4%
ROE 40.22%
ROIC 41.26%
PER(実績)121.76倍
PER(予想)32.15倍
PBR45.27倍
配当利回り0.03%
EV/EBITDA 95.88倍

                        *注:株価は2023/11/21時点。ROEは過去12カ月の実績数値。

2024年3Q決算結果

売上高181億ドル (約2兆6,854億円、前年同期比3倍増、2Q比34.2%増)
営業利益GAAP   104億ドル(同17.3倍増、同53%増)
Non-GAAP 115億5,700万ドル(同7.5倍増、同49%増)
営業利益率GAAP  57.49% (同47.36pt増、同7.15pt増)
 Non-GAAP  63.78%(同37.88pt増、同6.21pt増)
四半期純利益GAAP  92億4,300万ドル(同13.6倍増、同49%増)
Non-GAAP 100億2,000万ドル(同6.88倍増、同49%増)    
希薄化後EPSGAAP  3.71ドル
Non-GAAP  4.02ドル

売上、EPSともに大幅に市場予想を上回り過去最高益を達成した決算であった。3Qの売上高は前年同期比3倍増の181億ドル、粗利率(Non-GAAP)は同18.9pt上昇の75%、営業利益(Non-GAAP)は同7.5倍増の115億5,700万ドル、営業利益率(Non-GAAP)は同37.88pt上昇の63.78%、四半期純利益(Non-GAAP)は同68.7倍増の100億2,000万ドルであった。

 

セグメント別売上の推移と概況

セグメント別売上(単位:百万USD)3Q234Q231Q24    2Q243Q24
データセンター3,8333,6164,284    10,32314,514
ゲーム1,5741,8312,240      2,486  2,856
プロフェッショナル・ビジュアライゼーション200226295        379    416
自動車251294296        253    261
OEM、その他738477          66      73
合計5,9316,0517,192     13,50718,120

データセンター売上

データセンター売上は前年同期比3.8倍増、2Q比40.6%増の145億1,400万ドルと過去最高売上を記録した。データセンター売上の構成比率は80%と2Qの76.4%より3.6pt上昇した。Hopper Tensor Core GPU アーキテクチャのNVIDIA HGX は世界最高水準のAIコンピューティングプラットフォームの強い需要によりデータセンター売上は過去最高を記録した。InfiniBand を組み合わせた NVIDIA HGX は AI スーパーコンピューターとデータセンター インフラストラクチャのリファレンス アーキテクチャであり、 Adobe Firefly, Chat GPT, Microsoft 365 Copilot, CoAssist等で使われている。コンピューティング売上は昨年の4倍となりネットワーク売上は同3倍となった。大規模な言語モデル、ディープ ・ラーニング、レコメンダー・システム、生成 AIアプリケーションのトレーニングと推論のためのインフラストラクチャへの投資により、NVIDIA アクセラレーテッド コンピューティングに対する幅広い需要が高まっている。消費者向けインターネット企業からの受注は第3四半期に大きく伸び、データセンター収益の約半分を占めた。

Metaではディープラーニング、レコメンダーシステムを本格的に導入しており、広告主が画像やテキストを最適化できるように生成AI にも投資している。Adobe、Databricks、Snowflake、ServiceNow などのエンタープライズ ソフトウェア企業は、自社のプラットフォームに AI Co-pilotとシステムを追加している。また、より多くの企業が自動運転におけるテスラなどの垂直産業アプリケーション向けのカスタム AI を開発している。

データセンター売上の残り半分はCSP(クラウド・サービス・プロバイダー)からである。ハイパースケールCSPのみならず急速に成長しているGPUに特化したCSPからの需要も強かった。NVIDIA H100 Tensor コア GPU は、ほぼすべてのクラウドで一般提供されるようになった。エヌビディアでは旺盛な需要に応えるために四半期ごとに供給を大幅に増やしており、来年もこの状況が続くと予想している。

3Qの終わり頃にアメリカ政府は新たな中国向け輸出規制を発表した。新たな規制により、Hopper および Ampere 100 および 800 シリーズやその他いくつかの製品を含む、多くの製品の輸出にはライセンスが必要になる。中国向けライセンスが必要な製品の売上は過去数四半期の間データセンター売上の20~25%を占めていた。4Qは中国向け売上は大幅に減少するとの会社発表があった。

ゲーム売上

ゲーム向け売上は前年同期比81%増、2Q比15%増の28億5,600万ドルとなり昨年の需要回復が継続している。新学期ショッピング・シーズンの旺盛な需要により、NVIDIA RTX レイ トレーシングと AI テクノロジーが299ドルという低価格帯で人気を博し、売上増に大きく貢献した。PC 市場のパフォーマンスが精彩を欠いているが、ゲーム売上はコロナ前のレベルと比較して 2 倍に増加した。これは、RTX や DLSS などのイノベーションによるものが大きい。RTXやDLSSをサポートするゲームやアプリケーションの数はこの期間に爆発的に増加し、アップグレードされ、新たな購入者を産んだ。現在、RTX 対応のゲームとアプリケーションは 475 を超えている。GeForce NOW クラウド ゲーム サービスのPC ゲームのライブラリは 1,700 タイトルを超えた。

プロフェッショナル・ビジュアライゼーション売上

プロフェッショナル・ビジュアライゼーション売上は、前年同期比108%増加、2Q比10%増加の4億1,600万ドルであった。NVIDIA RTX は、プロフェッショナルな設計、エンジニアリング、シミュレーションのユースケースに最適なワークステーション プラットフォームであり、AI が強力に需要を押し上げている。NVIDIA RTX Ada Lovelace 世代の GPU と、前世代の最大 2 倍の AI 処理レイ トレーシングとグラフィックス パフォーマンスを提供する SmartNIC である ConnectX をベースとしたデスクトップ ワークステーションの新しいラインを発売した。3D 仮想世界を設計、構築、運用するためのソフトウェア プラットフォームである Omniverse の進化を続けている。メルセデス・ベンツは、Omniverse を活用したデジタル ツインを使用して、製造および組立施設の計画、設計、構築、運用を行なっている。

自動車売上

自動車向売上は前年同期比4%増、2Q比3%増の2億6,100万ドルであった。NVIDIA DRIVE Orin SOC をベースとした自動運転プラットフォームの継続的な成長と、OEM 顧客のAI コックピット ソリューションの増加が売上増加の要因であった。鴻海 との自動車パートナーシップを拡張し、次世代自動車 SOC として NVIDIA DRIVE を組み込んだ。FoxconnはEVのODM(original design manuracturing)となった。

4Qのガイダンス

売上高は200億ドル±2%。粗利益率はGAAPベースで74.5%、Non-GAAPベースで75.5%±0.5%。営業費用はGAAPベースで31.7億ドル、Non-GAAPベースで22億ドルを予定している。営業外損益はGAAPベース、Non-GAAPベースともに2億ドルの予定で持分法適用会社の損益を除く金額である。税率は15%、±1%を予定している。

                             

業績推移

Nvidia    3Q23   4Q23   1Q242Q243Q24
(単位:百万USD)     
売上高5,9316,0517,19213,50718,120
売上原価2,7542,218    2,5444,045  4,720
粗利益3,1773,8334,6489,46213,400
営業費用     
 研究開発費1,9451,9521,8752,0402,294
 販管費631625633622689
 買収中止費用           -           -           -           -           -
総営業費用2,5762,5772,5082,6622,983
営業利益6011,2562,1406,80010,417
金利収入88115150187234
支払金利(65)(64)(66)(65)(63)
その他(11)(19)(15)59 (66)
営業外収益(費用)ネット12 32 69 181105
税引前利益613 1,2882,2096,98110,522
法人税(67)(114)(166)(793)(1,279)
純利益546 1,5482,0436,1889,243
完全希薄化後株式数2,4992,5072,4902,4992,494
完全希薄化後EPS0.220.620.822.483.71

    (注:エヌビディア社決算資料に基づき株式会社pafin作成)    

業績予想コンセンサス(決算発表前時点)       

 

FY2024    1Q    2Q   3Q  4Q(E)
     
売上高(百万USD)7,19213,50718,12016,380
完全希薄後EPS(Non-GAAP)0.822.73.073.45

                      (注:株式会社pafin調べ)

投資判断

データセンター売上比率が80%に達し、粗利率(Non-GAAP)は75%まで高まり、四半期純利益(Non-GAAP)は前年同期比6.88倍の100億ドルと市場予想を大きく上回った決算であった。生成AI革命はまだ始まったばかりであり、データセンター売上はさらなる伸びが期待され、利益も大きく伸びるであろう。好決算に関わらず決算発表後に株価が弱含んだのは米国政府より発表された新たな輸出規制により中国向け売上が4Qは大きく減少するとearnings callで言及された事によると思われる。しかし、AI半導体の需要は一部のグローバル企業から各国主導のAIインフラ・プロジェクトまで広がっており、規制によるマイナスより新たな需要の方が大きいのではないかと推測している。AI半導体市場でエヌビディアは機械学習の市場で95%というほぼ独占的なシェアを持っており、この牙城を崩すのは短期的にはほぼ不可能であろう。

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