株価*242.68USD(日中取引終値)
時価総額7,702億USD(約115兆円)
自己資本比率56.9%
ROE*27.14%
ROIC*17.95%
PER(実績)72.61倍
PBR15.82倍
配当利回りN/A
EV/EBITDA44.87倍

株価は2023/10/18時点。ROE、ROICは過去12カ月の実績数値。

2023年3Q決算結果

売上高233.5億ドル(約3.5兆円、前年同期比9%増、2Q比▲6.8%)
営業利益17.6億ドル (同▲52.1%、同▲26.5%)
営業利益率7.6% (同▲9.6pt、同▲2.0pt)
四半期純利益GAAP 18.5億ドル(同▲43.7%、同▲31.4%)
Non-GAAP 23.2億ドル(同▲36.6%、同▲26.4%)
希薄化後EPS GAAP 0.53ドル
Non-GAAP 0.66ドル
生産台数430,488台(前年同期比17.6%増、2Q比▲10.3%)
販売台数435,059台(同26.5%増、同▲6.7%)

3Qは増収減益決算となった。売上高は前年同期比9%増の233.5億ドル、営業利益は同▲52.1%の17.6億ドル、四半期純利益(Non-GAAP)は同36.6%減の23.2億ドルとなった。決算発表の後時間外取引で株価は3%下落して引けた。

BYDとの熾烈な争いの中でEV市場でのトップシェアを維持する事、また金利高止まり局面で需要を喚起するためにテスラは引き続き値下げをした。値下げにより粗利益率は前年同期比▲7.2ptの17.9%となり、営業利益率は前年同期比半減以下の7.6%となった。値下げの他にサイバートラック、AI関連、研究開発費等の増加による営業費用の増加、ギガファクトリーのアップグレード期間の稼働停止コスト、為替の影響等等が利益率の低下の要因であった。

3Qの生産台数は前年同期比17.6%増、2Q比▲10.3%の430,488台であった。販売台数は前年同期比26.5%増、2Q比▲6.7%の435,059台であった。「モデルS/X」「モデル3/Y」の出荷台数内訳は「モデルS/X」が13,688台、「モデル3/Y」が416,800台と量販車がけん引した。

テスラはカリフォルニア州フリーモント、中国上海、テキサス州オースティン、ドイツのベルリンが主力のギガファクトリーであるが、3Qは複数の製造ラインでアップグレードの為に稼働を停止し、生産台数が過去最高の生産台数を記録した2Qよりも10.3%減少した。カリフォルニアのギガファクトリーは「モデルS/X」の生産能力は10万台、「モデル3/Y」の生産能力は55万台である。上海のギガファクトリーは「モデル3/Y」を生産しており、生産能力は95万台と2Qの75万台より大幅に増強した。上海はテスラの輸出拠点であるが、計画的な稼働停止期間以外はほぼフル稼働であった。ベルリンのギガファクトリーは「モデルY」を生産しており、生産能力は37万5,000台、テキサス州オースティンのギガファクトリーは「モデルY」を生産しており生産能力は25万台、またサイバートラックのテスト生産を行っている。

蓄電池事業の3Qの配備量は前年同期比89.5%増、2Q比9%増の4.0GWhと過去最高を記録した。一方、太陽光発電事業の3Qの設置量は前年同期比▲47.9%、2Q比▲25.8%の49MWとなった。太陽光発電及び蓄電事業の1Qのセグメント売上高は前年同期比39.6%増、2Q比同3.3%増の15億5,900万ドル、売上原価は前年同期比16.3%増、2Q比▲4.3%の11億7,800万ドルとなり粗利益は3億8,100万ドル、粗利益率は24.4%となった。粗利益率は前年同期比2.6倍上昇、2Q比6.0pt上昇した。サービス、その他の売上は前年同期比31.7%増、2Q比3.3%増の21億6,600万ドルと過去最高を達成した。その他サービスの主力はスーパーチャージャー・ステーション(急速充電できるステーション)である。売上原価は前年同期比31.7%増、2Q比29%増の20億3,700万ドルとなり粗利益は1億2,900万ドル、粗利益率は5.95%となった。粗利益率は前年同期比1.95pt上昇、2Q比▲1.75ptであった。

3Qのフリーキャッシュフロー(営業キャッシュフローマイナス設備投資)は前年同期比▲74.3%、2Q比▲15.6%の8億4,800万ドルとなった。営業キャッシュフローは2Q比7.9%増であったが、設備投資が同19.4%増であった。現預金及び短期有価証券の3Q末時点の残高は前年同期比23.5%増、2Q比13.0%増の260億7,700万ドルとなった。3Q末時点の総負債額(車両とエネルギーのプロダクト・ファイナンスを除く)は2Q比変わらず4,400万ドルであった。3Q末の負債資本倍率は0.08%であった。

業績推移

Tesla3Q224Q221Q232Q233Q23
(単位:百万 USD)     
      
自動車事業売上(排出権クレジットを含む)18,69221,30719,96320,41918,582
発電、畜電事業売上1,1171,3101,5291,5091,559
サービス、その他売上1,6451,7011,8372,1502,166
総売上高21,45424,31823,32924,92723,350
総粗利益5,3825,7774,5114,5334,178
粗利益率25.1%23.8%19.3%18.2%17.9%
総営業費用(R&D、販管費等)1,6941,8761,8472,1342,414
営業利益3,6883,9012,6642,3991,764
営業利益率17.2%16.0%11.4%9.6%7.6%
親会社株主に帰属する純利益(Non-GAAP)3,6544,1062,9313,1482,318
完全希薄化後EPS(Non-GAAP)1.051.190.850.910.66
      
営業キャッシュフロー5,1003,2782,5133,0653,308
設備投資額1,8031,8582,0722,0602,460
フリーキャッシュフロー3,2971,4204411,005848
現金および現金同等物21,10722,18522,40223,07526,077

(注:テスラ社決算資料に基づき株式会社pafin作成)

業績予想コンセンサス(決算発表前時点)

 1Q(実績)2Q(実績)3Q(実績)4Q(予想)
売上高(百万USD)23,32924,92723,35026,220
EPS(Non-GAAP)0.850.910.660.85

(注:株式会社pafin調べ)

投資判断

BYDとの熾烈な争いの中でEV市場でのマーケット・リーダーを死守するために値下げを継続した。中東での紛争も始まり、金利高止まり、あるいは更なる金利上昇も有り得る不透明な状況である。中東での紛争が第五次中東戦争へ発展すれば原油価格は急騰し、コロナから回復した世界経済を再び大きく冷え込ませるリスクがある。テスラの営業利益率は前年同期比半分以下になったが、今のところはフリーキャッシュフローもプラスであり、負債資本倍率も0.08%と財務リスクは低い。

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