株価*144.68USD(日中取引終値)
時価総額4,608億USD(約71兆2,857億円)
自己資本比率58.7%
ROE*27.87%
ROIC*24.88%
PER(実績)33.05倍
PBR7.23倍
配当利回りN/A
EV/EBITDA29.27倍

株価は2024/4/23時点。ROE、ROICは過去12カ月の実績数値。

2024年1Q決算結果

売上高213億ドル(約3.3兆円、前年同期比▲9%、4Q23比▲15%)
営業利益11億7,100万ドル (同▲56%、同▲43%増)
営業利益率5.5% (同▲5.2pt、同▲2.7pt)
四半期純利益GAAP 11.29億ドル(同▲55%、同▲86%)
Non-GAAP 15.36億ドル(同▲48%、同▲38%)
希薄化後EPS GAAP 0.34ドル
Non-GAAP 0.35ドル
生産台数433,371台(前年同期比▲9%、4Q23比▲12%)
販売台数386,810台(同▲9%、同▲20%)

1Qは売上、EPSともに市場予想を下回る減収減益決算となった。総売上高は前年同期比▲9%の213億ドルで、このうち自動車売上は同▲13%の174億ドル、発電・蓄電売上は同7%増の16億3,500万ドル、サービス、その他売上は同25%増の22億8,800万ドルであった。営業利益は同▲56%の11.71億ドル、四半期純利益(Non-GAAP)は同▲48%の15.36億ドルとなった。

ここ数か月EV市場の減速が報じられているが、自動車売上は前年同期比▲13%、4Q23比▲19%の174億ドルとなった。1Qの販売台数38万6,810台のうち、オペレーティング・リース会計売上が前年同期比▲63%と大幅減少の8,365台となった。これは年初にレンタカー大手のハーツがEVを2万台売却し、ガソリン車に買い替えたとの報道があったが、レンタカー会社向け販売が大きく減ったのではと推測できる。

テスラは今月半ばに全従業員の10%を削減すると車内で通達したと報じられた。

BYDとの価格競争は益々激化し、営業利益率は前年同期比▲5.2%の5.5%となり、1Q22に達成した最高レベルの営業利益率19.2%に比べて14ptと大幅に低下した。

4Q23にはEV販売台数世界一の座をBYDに明け渡したが、1Qは旧正月休みの影響もあり、BYDのEV(BEV)販売台数は減少し、300,144台となり、一方テスラの1Qの販売台数は386,410台と世界一の座を奪還した。

1Qの生産台数は前年同期比▲2%、4Q23比▲12%の433,371台であった。フリーモントのギガファクトリーでセダンのアップグレードに苦戦したためにモデル3の生産が低調であった。モデル3/Yの生産台数は前年同期比▲2%、4Q23比▲12%の412,376台であった。ベルリンではモデルYを生産しているが、紅海紛争の影響を受けて生産台数が減少した。しかし、一台当たりの製造コストは減少した。上海はテスラの輸出拠点であるが、旧正月の休みのために計画的に工場を一時休止した。テスラは新たにチリに新規参入したが、チリへも上海から輸出をしている。

1Qの在庫レベルが前年同期比87%上昇の28日分となった。

蓄電池事業の1Qの配備量は前年同期比4%増、4Q23比27%の4.1GWhとなった。一方、太陽光発電事業の1Qの設置量は1Qの決算資料の中で触れられていないために不明である。しかし、発電・蓄電売上は太陽光発電売上の減少はあったものの、メガパックの売上の伸びに支えられ前年同期比7%増の16億3,500万ドルと過去最高を達成し、売上原価は前年同期比▲9%、4Q23比10%増の12億3,200万ドルとなり粗利益は4億300万ドル、粗利益率は24.6%となった。粗利益率は前年同期比13.6pt上昇、4Q23比2.8pt上昇であった。サービス、その他の売上は前年同期比25%増、4Q23比6%増の2億8,800万ドルと過去最高を更新した。その他サービスの主力はスーパーチャージャー・ステーション(急速充電できるステーション)である。売上原価は前年同期比30%増、4Q23比5%増の22億700万ドルとなり粗利益は8,100万ドル、粗利益率は3.54%となった。粗利益率は前年同期比▲3.81pt、4Q23比0.82pt上昇であった。

1Qのフリーキャッシュフロー(営業キャッシュフローマイナス設備投資)は赤字に転落し▲25億3,100万ドルとなった。営業キャッシュフローは前年同期比▲90%、4Q23比約18分の一の2億4,200万ドルであった。設備投資は前年同期比34%増、4Q23比20%増の27億7,300万ドルであった。現預金及び短期有価証券の1Q末時点の残高は前年同期比20%増、4Q比▲8%の268億6,300万ドルとなった。1Q末時点の総負債額(車両とエネルギーのプロダクト・ファイナンスを除く)は前年同期比及び4Q23比23%増の5,400万ドルであった。1Q末の負債資本倍率は0.08%であった。

業績推移

Tesla1Q232Q233Q234Q231Q24
(単位:百万 USD)     
      
自動車事業売上(排出権クレジットを含む)19,96320,41918,58221,56317,378
発電、畜電事業売上1,5291,5091,559 1,4381,635
サービス、その他売上1,8372,1502,166 2,1662,288
総売上高23,32924,92723,35025,16721,301
総粗利益4,5114,5334,178 4,4383,696
粗利益率19.3%18.2%17.9% 17.6%17.4%
総営業費用(R&D、販管費等)1,8472,1342,4142,3742,525
営業利益2,6642,3991,7642,0641,171
営業利益率11.4%9.6%7.6% 8.2%5.5%
親会社株主に帰属する純利益(Non-GAAP)2,9313,1482,3182,4851,536
完全希薄化後EPS(Non-GAAP)0.850.910.66   0.710.45
      
営業キャッシュフロー2,5133,0653,3084,370242
設備投資額2,0722,0602,4602,3062,773
フリーキャッシュフロー4411,0058482,064▲2,531
現金および現金同等物22,40223,07526,07729,09426,863

(注:テスラ社決算資料に基づき株式会社pafin作成)

業績予想コンセンサス(決算発表前時点)

 3Q(実績)4Q(実績)1Q(実績)2Q(予想)
売上高(百万USD)23,35025,16721,30123,500
EPS(Non-GAAP)0.660.710.450.59

(注:株式会社pafin調べ)

投資判断

1Qは旧正月の休みがあったためにEV売上世界一の座をBYDよりテスラは奪還したが、2Qは苦しい戦いになると予想される。EV人気は鈍化しており、在庫が大幅に積みあがっているのが一番の懸念材料である。世界中でハイブリッド車が人気を博しているが、ハイブリッド車を持っていないテスラは需要を喚起する為には価格を更に下げざるを得ず、2Qは営業レベルで赤字に転落する可能性もあると考えている。1Qで営業キャッシュフローは大幅に悪化し、フリーキャッシュフローは赤字に転落した。株価バリュエーションは実績PERが33倍と割高であり、株価パフォーマンスは厳しいものになると思われる。

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